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11話

 それは衝撃波のようなものかと最初は思われた。

 疑問を解決するために一気に接近を仕掛け、再び攻撃する。


 こちらの飛び蹴りがグッシングの胸部へ命中した瞬間再び弾き返された。


 奴の体からは大量の気を感じる。


 俺は一瞬で状況を予測した。

 獣気が膨張と収縮という事象を発生させるものなら、あちらは物質同士が干渉して反射する力と融合を制御するものを使えるのではないか――と。


 この答えから奴を倒す方法は――。

 

 大量の海水を獣気の収縮の力で圧縮させて開放させてやろう。

 どこまでの力なら干渉させられて耐えられるかだ。


 俺は奴に気取られないよう、船底の海水を獣気を放出して一点に集めはじめる。


 船が大きくゆっくりと左右に揺れる。

 船底で膨大な量の海水が圧縮され凝縮されているためだ。

 

 グッシングは身構えたまま無言だ。

 先ほどの船首まで吹き飛ばす攻撃もさほど効果はなかった。

 グッシングはもしかしたら攻撃力は高くないのかもしれない。

 それか、船体を維持しながらでは防御に徹する他ないのかもしれない。


 奴はこちらがどう攻撃するか待っているのだろうが、1回で決めてやるつもりだ。


 決着は一瞬だった。


 再び何らかの詠唱を始めたグッシングの作った一瞬の隙を利用し、海底から黒い圧縮された水の弾を取り出し、グッシング目掛けて投げ、棒状になる形で圧縮を開放した。

 その恐るべき水圧による鉄砲水は艦橋の真下に人が這って入れるほどの穴を作り、グッシングは水圧で吹き飛ばされ、その真上の壁に叩きつけられ沈黙した。


 五体満足であるのが不思議なぐらいの威力の攻撃であったが、奴は死なずに意識を失っただけだった。


 その後、俺たちはレンツェと連絡を取り、グッシングを拘束。

 船を停船させ、日ノ本へ連絡を取った上でグッシング自体は俺たちの帰りの船に一旦隠してすごした。


 船の荷物については量子加速器か何かと思われるものだったが、これが何なのかは結局わからなかった。


 目的は停船のみとされていたため、グッシングはヴァナルガンド側の人狼の戦闘員に海上で引渡し、

 マヤと俺は来た方向と同じ道筋で日ノ本へと戻った。


 銃を持ち帰りたかったが空港は正規の入国手続きのため、衣服等以外何も持ち込めなかったのが残念だ。



 そして鮮烈なデビュー戦を見事に決め、40万ドルの賞金を受け取ったのだった。


~~~~~~それから3年後


 世界が魔獣で溢れ、亜人と人類+獣人連合による戦争の戦場となった地球で、

 二人の優れた人狼が世界を駆け回っていることが工作員や特殊戦闘員の間で噂になっていた。


 一人は日ノ本の元人間であり、日ノ本の切り札の1つとして活動するエージェント。

 もう一人はその日ノ本の人間を補佐、管理しつつパートナーとして付き添うヴァナルガンドのとある名家の当主であった。


 その当主は僅か2年でオーフェンリアにおけるフォルフィール家を、かつて国内で誇っていた地位まで完全に回復させ、フェンリルの申し子の導き手としてヴァナルガンド内では注目されていた、


 彼らは決して最強ではなかったが。

 最優であると評価されている。

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