序章 転移は突然に
キーン コーン カーン コーン
(ふーっ、 今日の授業が全部終わった これでやっと家に帰れる。)
俺は、鞄に荷物をまとめて帰宅する準備をしていた。
教科書などは全部机の中に入れっぱなしにして最低限の荷物だけを持ち、さっさと教室をあとにした。
廊下に出てまっすぐ昇降口に行き、上履きを着替え一番乗りで自転車の元へたどりつく。
そして、まっすぐ家に帰宅する。
家に着いたら、すぐに自分の部屋に行き、鞄と上着をベットに放り投げてパソコンを起動する。
「ただいまー!!やっと昨日の続きが見れる!」
一人パソコンにむかって帰宅を告げる、当然返事は帰ってこない。なぜなら今この家は俺一人しかいないからだ。今日は仕事で親は夜遅くまで帰ってこない、つまり親が帰ってくるまでパソコンに没頭することが出来るのだ。パソコンがなければ生きられない俺にとっては、まさに至福の時である。
「さーてっと、あの動画の続きが見終わったら次はなーにしよっかなー♪」
「ひさしぶりに適当なブラウザゲームでもやろうかな?」
俺は心を躍らせながらマウスを操作する。
「おっこのRPGなんかおもしろそうだ、よし今日はこれをやるか!」
==数時間後==
「あーつかれた、クリアするのに結構時間かかっちゃったなー」
「そういえば帰ってから何も食べてねーや、腹減ってきたしなんか買ってくるか」
かれこれ帰宅してから四時間程たっていた。ゲームをやってるときは気にならなかったが、クリアして気が緩んだのか疲れがどっと押し寄せてきた。さすがに何か食べないとまずいと思い、パソコンを起動した状態のまま近くのコンビニへとむかった。
そこで適当な弁当とお茶を買い、家に急いで戻った。
帰ってすぐにパソコンの前に座り、やっていたゲームを閉じ動画サイトを開いた。
そして、トップページから検索して、好きな動画を探し出す作業が始まる。
二十分くらいたつと、目当ての動画も見つかり一安心する。
やっとこれで飯が食える、そう思いながら動画の読み込み時間を利用して、買ってきた弁当を温めにいく。
弁当を温め終えると、部屋に戻りパソコンの前でふたを開ける。
そして、先ほど見つけた動画を見ながら遅めの夕食をいただく。
そのまま時は過ぎ、時間は深夜を過ぎたあたりで、「、、、そろそろねるか、、もうこんな時間だし、、明日も学校あるし、、、でも、、あとちょっとだけ、、大丈夫。今見てるので最後だから。これ見たら電源を落としてベットに入って寝る。なあに簡単なことさ、俺ならできる。絶対できる。だからもうちょっとだけ、」
==二時間後==
「だ、だいじょうぶ、まだ、だいじょうぶ、、いま三時だから、今から寝れば学校に行くまで三時間半はねれる。だから大丈夫。」
俺は悪くない、あの動画サイトが悪いんだ、続きが気になるような終わり方しやがって、 それに一つの動画の再生時間が十分くらいだったから、もう一回くらい見ても大丈夫だと思って、気が付いたらこんな時間になってたんだ、でも、 さすがにもう限界だ。
眠すぎて目があかない、朦朧とする意識の中パソコンの電源を落とし目を瞑ったままベットの方へ歩み寄る。そのまま倒れこみ俺は泥のように眠った。 そして俺は二度と“この世界で”目を覚ますことはなかった。
そう。それは突然起こった。
いつもどうりの日常、かわらない毎日、それが今日を境に、音を立てて崩れ落ちたのだった。
泥のように眠っていた俺はしばらくの間その異変に気づかなかった。
(はあぁー気持ちいな―まるで原っぱで寝転んでるみたいだ。限界まで睡魔をためて寝るとこんなに気持ちいのかぁー 癖になりそうだなぁー、こうなると起きるのが嫌になってくるなぁ、まぁ、一回ぐらい学校なんて休んでも大丈夫だよね。それに、今はこの状態を一秒でも長く味わっていたいんだから。学校なんてどうでもいいや、おやすみ。)
(あれっ、おかしいな、寝る前にエアコンなんて付けたっけ?なんか風が吹いているような・・それにベットの感触もおかしいぞ?まるで芝生みたいな感触がする。どういうことだ?)
気になった俺は目を開けてあたりを見回してみた。そこには信じがたい光景が広がっていた。
見渡すかぎりに広がる大草原、その中に俺はいた。一枚の紙切れを握りしめて。
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