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呪縛な女
ジロウはランニングマシーンに乗りながら、ぼんやり離婚について考えてみた。
慰謝料、養育費で雁字搦めな自分が容易に想像できたので、走るピッチを速めた。
あと、15日。
準備は着々と進んでいた。
行先は大阪の泉佐野という場所。
ジロウの勤める会社は、厨房器具の販売を手掛ける中堅企業で東京に本社があり、大阪に支社を構えたばかりであった。
ジロウは「会社の為であれば私は大阪支社を成功に導く自信があります」などという趣旨の文言を上司に打診し、自ら移動を希望した。
勿論、会社の為ではなく「自分の為」であった。
今まで給料、ボーナスの類はすべて妻に没収され、おこずかいとして月に3万。
スポーツジムに1万。残りの2万でなんとか生活していた。ジロウとしてはまさに「縛られた」生活であった。
そんな呪縛から脱出のいい機会がやってきたのだ。
ジロウはトレーニングを終えるとすっきりした気持ちで、帰宅し冷蔵庫を開けると郊外のディスカウントストアーでケース買いをした発泡酒を取り出すと、一気に呷った。
簡単に酔えた。
今日言おうと決めた。




