「今日は、お疲れ様」
「アカリです。
早速メールしました。届いていますか?
まだまだ暑いので身体に気をつけて。
またこちらに戻ってくる時は、連絡下さい。」
私は、画面の送信をそっと押した。
しばらく待ってエラーが出ない事を確認してからスマホをトートバックに仕舞う。
終電間近の駅のホームは、平日なこともあって人が疎らだ。
帰ったら、明日の準備をしなきゃ
大学卒業まであと半年程、就職先も決まって何かと忙しい日々を過ごしている。
アカリは、地元に戻らず、大学のある関西に残ることになっている。今日は、卒業を待たず、地元に帰ることになった友人の送別会だった。
特別仲が良かった訳ではない。大学で出来た友人の中の一人だ。
学内メールでは、連絡事項のやり取りも少なからずしていたが、個人携帯のアドレスは知らなかったので別れ際、友人達と一緒にお互い教えあった、ただそれだけだった。
礼儀として一度は送ったけれど、その内、疎遠になるんだろうな
確信に似た予感があった。
これから社会人になれば、お互いに自然とそうなっていくものだ。特に相手は、直ぐに会える距離にいない上に異性なのだから。
そんなもんだよね
そう思いながら、ホームへ到着した電車へ足を踏み出した。