4話
ガゴン! 鈍い音を立てながら、メタルボアは消滅する。と、同時にレベルも上がった。……ふふ、いい感じだよ。
あれから石ころを限界まで拾っては投げ、拾っては投げてを繰り返して、今では限界容量まで持った石ころ十分の一くらいでメタルボアを狩れるようになってきた。とてつもなく地味な成長も続けばいいことあるんだね。石ころ三分の一くらいで倒せるように成長した時なんか、嬉しすぎて「僕の石ころは世界一イイイイイイィィィィ!!!」とか叫んじゃったよ。今はその三倍くらいだからもう宇宙一を名乗ってもいいかな? 石ころの。
……いや違う。石ころのじゃなくて、石ころを投げる僕の腕が宇宙一だよ。まったく。危うく僕が石ころになるところだった……これが孔明の罠というやつなのかな? (答え:お馬鹿さん)
む、なんか失礼なことを書かれた気がする。……書かれたってなんだろう?今の僕ちょっと変なこと考え過ぎかも。
まあ、いいや。とにかく成長は嬉しいよね。現実でもダーツの腕が上がると嬉しくなるし、背丈と違って限界がない感じが好きだ。こっちにはスキルレベルがあるけど、気分的なもので。……背丈はもうちょっと欲しかったんだよね。
それと、やっぱりステータスの影響は大きかった。ステータスを上げたら攻撃の威力も上がったけど、それ以上に体がさらにスムーズに動くから、単純にやりやすい。メタルボアの突進も今はスキップしながらでも躱せるようになった。こうなったらもうあの猪野郎なんか怖くない。そうすると、あのメタルボディを観察する余裕まで出来てきた。冷静に見ると、やっぱり格好良い。テイムするスキルでもあったら取ってみようかな。
とと、そういえばレベル上がったのにカード見てなかった。
name:キョウヤlv13
skill:投げナイフlv5 投擲lv16 投げlv1 ブーメランlv3 ダーツlv1 手榴弾lv1 鍛冶lv1 木工lv1 素材加工lv1 投神lvMAS
status:HP:104
MP:37
STR:14
VIT:14
DEX:79
INT:14
MIN:14
AGI:79
残りステP:2
残りSP:9
……なんかDEXとAGIがおかしいのは気にしないでおこう。スキルとかの影響だろうし。さてと、またポイントを振って……。
status:HP:104
MP:37
STR:14
VIT:14
DEX:80
INT:14
MIN:14
AGI:80
残りステP:0
残りSP:9
これでいいか。というかこんなことしてるから二つだけ突出するんだよね。これが一番攻撃力に響きそうだからこのままで行くしかないんだけど。
そういえばHPが百の大台に乗っている。これで少しくらいなら食らっても平気だね……多分。ちなみにHPが二桁のときは、メタルボアの突進で弾かれた石ころが当たっただけで半分持ってかれた。それで石ころに裏切られた気持ちになったから、あの時は石ころ封印してブーメランで戦ってたら、スキルレベルが上がったけど肝心のブーメランが壊れてしまった……。
そこで冷静になって考えてみると、石ころ拾い尽くしたところで戦えばいいことに気がついたから、また石ころ投げに戻って猪狩りを続けた。……何してるんだろうね僕。
まあ、レベルが上がったから良しとしよう。
レベルが上がったついでに、一旦街に帰ろうかな。一回投げナイフも作ってみたいし、難しいかもしれないけど金属製のブーメランも作れるかもしれない。この世界は何事もチャレンジあるのみっぽいからね。折角取得したんだから生産もやってみないと。そうと決めたらレッツゴーだね。
……転ばないように気をつけながら。
さてと、街に戻ってきた。帰りは緑のある方を目印にすればいいから簡単でいいね。
ナイフを作るならまずは鍛冶場? を探さないとだねー。
……鍛冶場は見つけた。見つけたんだけど……! 利用料取られるとか聞いてないよ! 僕今一文無しなんだし、どうしようもないじゃん……。
この世界の通貨の単位はLというらしい。そして、プレイヤー達は最初、駆け出しの冒険者という設定から始まるので、装備にお金を使ってしまって一文無し状態からスタートしているようだ。
……また出たよ変にリアルな設定。初期って普通ちょっとは持ってるんじゃないのかな? 装備にお金使っちゃったからその身で稼ぐしかないなんて、駆け出しは駆け出しでも間抜けな駆け出しだよ……。
メタルボア素材売れば少しは稼げるかなぁ? 売れるところ探さなきゃ……。
ちなみにこれじゃ生産系特化の人無理じゃん! とか、思ってたら生産特化にしたときは、お金が支給されることが後日判明したよ……。
いやーはっは……。ほんとは生産職人と出会わせたかったけど上手いこと持っていけなかった……。
次こそ会わせてやる……!