2話
今日はたまたま休みなので連続投稿中
じゃあ、早速西の草原とやらに行きますか。
……とてもじゃないけど人が多すぎて戦えない。なにこのごった煮状態。もしかしなくても大半の人はここから始めるとかかな? でも、こうも人が多いとまともに戦えない。むこうでスライムっぽいのが湧いたと思ったら剣で貫かれ、ウサギが出たと思えばハンマーで潰され、誰もいないとこにスライム湧いて近寄ろうとしたら矢が突き刺さる……ここはどこのバーゲンセールですか? こんな激しい戦場見たことないよ……。
もういいや。初心者的にきついかもしれないけど別のとこ行こう。どこかどこか……北の岩山行くかな。多分金属取れるだろうし、ナイフやらダーツの矢作りたいしね。とりあえず行ってみよう。
そして岩山へ……じゃなくて、普通に岩山へ行く。というか草木一本も生えてないから何か荒々しい所だなー。昔見た映画とかだったらここには盗賊のアジトが! とかありそうなくらいに荒々しい。ヒョオオオオォォォ……とかそういうのが似合いそうだよ。あれ、それじゃ岩山というか荒野……こ、細かいことは置いとこう!
まあ、そんな雰囲気の岩山だけど、目論見通りに人はほとんどいない。多分いるのはβ組の鍛冶師とか、その手伝いとかなんだろうなぁ。別にこっちなんて気にされないだろうし、まだ誰もいない方へレッツゴーだよ。
と、少し気合入れて歩いてたところでこけた。それはもう盛大に。周りに人がいなくてよかった……ついでに少し泣いた。余りにも痛いのでカード(ステータスカード)を見ると
name:キョウヤ
HP:7/10
MP:10/10
「はぁ?!」
ちょっと減っていた。これもVITが低いせいなのか……? いや。おかしいこけただけでダメージなんて入るはずない。入るとしても何か別の要因があるはず。そう思って見回すと、足元に石ころが。石ころが……僕の体は石ころに負けたのか。ふん、現実だったら絶対痛いもんね! 体が弱いんじゃなくてこのゲームがリアルなんだ! ……ここまで考えて虚しくなってきた。と、同時にいや待て、という思いも出てきた。石ころでダメージを受けるなら、逆に石ころでダメージを与えられるんじゃないか? そう思って石ころを拾ってみる。
アイテム:石ころ
なんの変哲もないただの石ころ。価値なし。当たるとちょっと痛い。
これは使えるんじゃないだろうか。僕の持っている投擲スキルを使えば投げることもできるだろうし。そうだよ、戦国時代には足軽が鎧着こんだ武者相手に、石ころに始まりさらに色んなものを投げつけ討ち取っていたはず。つまり、石ころは武器だ! そうと決まれば拾おう。
そこらへんにある石を20個くらいアイテムボックスの中に入れたところで、目の前になんかいた。なんかこう、金属質な……猪? ロボットみたいでちょっとかっこい「ぶもおおお!!!」い……て、待ってよ! これなに、いきなり襲われるの!? 焦ってそのまま逃げる。必死に転がってやっと猪? から距離を取ることができた。猪? もう猪でいいや。猪はすぐには突っ込んでこず、しばらくしてからまたあの突進を仕掛けてきた!
「って、待ってってば!」
悪態を付いてみるけど、相手は猪。しかも金属製。通じるはずもなく、また避ける。さっきと違いちゃんと見えているので、転がらなくてよかった。これはAGIに振った恩恵なのかな? 素早く動ける気がする。猪はというとまた止まってこちらに向きなおる。よく見たら足をザッザッ、と踏み鳴らしている。多分突進にはため時間がいるんだろう。と予測して、今度はこっちの番だと、アイテムボックスから投げナイフ×100を取り出す。百本もあれば倒せるだろう。次の突進を避けて、止まっている時にナイフを投げる! ナイフは狙いを外さず、猪の体に吸い込まれ――――カァーン!! と甲高い音を出しながら、弾かれた。
「ハアアァァァ!?」
いや流石にこれは無いよ……。ほんのちょっとは体力削ったみたいだけど、カァーン!! て……。金属製なんだから予測しろってこと? いやいやいやいy「ブモッ!」いやあああ! あ、危ない。こいつには容赦とかないのか……! もういいよ、そっちがその気ならこっちも投げナイフで相手してやる! (逆恨みのうえに自棄)
はぁはぁ……。あれから十分間避けては投げ、避けては投げを繰り返し相手の体力は十分の一を切っていた。途中でスキルのレベルが上がる音がしてたから、多分こいつは格上なんだろう。……ていうかそうじゃなかったら僕の心は折れる。割と切実に。
そんなことはどうでもよく、遂に投げナイフが切れた。ここでどうするか迷う。ブーメランは所持してるのが木製なので、効くとは思えないし、ダーツも言わずもがな。投げはあの突進をカウンターできるとは思わないし、そもそも近寄って牙にでも当たろうものなら、一発で死にかねない。そしてなぜか手榴弾さんは支給されてなかった……強いのかな?
迷っていたとき一つ閃いた。あの石ころどもならリスクなしで攻撃できるんじゃないか? (ちなみにブーメランは耐久度を、ダーツは数を出すのを渋った)どうせそのへんで拾った石ころだし、投擲もあるし、さっき石ころについて熱く語ったし! よし、石ころ投げよう。
「これでも喰らえぇ!」
雄叫び? と、ともに投げた石ころは猪に命中し、ガゴン! と鈍い音を立てた。猪のバーを見てみると、ナイフが当たった時より効いてた。なんかすごいがっくりくる……。
まあ、これ幸いと石ころ投げてたら、遂に猪は「ブモオオオ……」と断末魔をあげ崩れていった。
「はあ、疲れたなぁ……」
ドロップしたらしい品物を確かめる。
・メタルボアの革
・メタルボアの牙
メタルボア。そのまんまだね。詳しくは出ないってことは、鑑定系のスキルでもあるのかな? まあこれ、手触りとかからしても金属だろうし、ナイフでも作ろう。
さて、レベルは……
name:キョウヤ:lv4
skill:投げナイフlv5 投擲lv3 投げlv1 ブーメランlv1 ダーツlv1 手榴弾lv1 鍛冶lv1 木工lv1 素材加工lv1 投神lvMAS
status:HP:30
MP:15
STR:4
VIT:4
DEX:20
INT:4
MIN:4
AGI:20
残りステP:6
残りSP:3
わー……みっつも上がってるよ。ステータスもちょっとずつ上がってる。DEXとAGIが多いのはスキルの関係もあるんだろう。見慣れないSPは……新しいスキルを取るのにいるのか。なるほど。これは多分投げナイフのlv5で増えたのかな? 最初だしすぐにたまるのだろう。
にしても、こんなに上がってるってことはやっぱりあいつ格上だったんだなー……。よかった。主にプライド的な意味で。
石ころの方が効いたのは……多分衝撃が入るからだな。それならブーメランでもよかったかも。でもこれならハンマーとか使う人なら楽そうなのになんでみんな来ないんだろう? まあ、そのおかげで人少なくて助かってるんだけど。
ピースに折角教えてもらっといてなんだけど、しばらくはここでレベル上げとかしようかな。
猪狩りをしないのは猪が強いからです。ハンマー系は近寄らねばならず、また重いので少し遅いです。それに猪は近づくと首を振ってくるので首を振る前にハンマーで一撃離脱とかはよほどうまくないときついです。剣ならはじかれます。なのでもう少しレベルが上がってから狩ります。