003理由
「冷静に考えてみろよ。」
リュウさんがいつの間にか復活してた。結構、気絶してましたね。
「言われてみればそうですね。ただの女子大生にあの2人が相手にするとは思えませんし。」
「何かアンタ秘密でもあるのか?」
客相手に『アンタ』はないでしょ。
「とにかく、命が狙われるような心当たり無い?」
「あるにはありますけど。そんなことで命が狙われるなんて思えないし。」
「どんな小さなことでも構いません!教えてください。」
「遺産相続に関することなんです。」
「遺産相続ですか。」
「また、いかにも。って感じだな。」
「で、詳しく教えてくれますか?」
「実は、先日、うちの祖父が亡くなって遺言書の中身が発表されたんです。そしたら、『私と兄にそれぞれ4割、残りの2割を叔父さんたち5人で山分けすること。』」
「また変わった内容だな。」
「ご両親はいらっしゃらないのですか?」
「2人とも私が小さいときに亡くなりました。」
「スミマセン。」
「いえ、気にしないでください。あの、続けてもいいですか?」
「…あっ、どうぞ。」
「まだ続きがあって、『ただし、私と兄のどちらかが遺産を放棄した場合その4割を含めた6割を叔父さんたちで山分けすること』っていうことになったんです。」
「野暮なこと聞くけどよ、遺産ってのはいったい全部でいくらぐらいなんだ?」
「さぁ?たぶん7000億は軽く、下手したら兆はいくと思いますけど?」
「「えっ…………?」」
「つまり、最低でもあなたの手元には…」
7000億×4割=2800億円也
「その、叔父達には…」
7000億×2割÷5人=280億円也
「あわよくば…」 7000億×(2割+4割)÷5人=840億円也
7000億×(2割+4割+4割)÷5人=1400億円也
ちょっとした沈黙が流れた。そして、
「「それだーーー!!!」」
2人同時ツッコミ。
「客だからヒドイことは言えないが、あんた実は相当のアホか?それとも、お前の脳は蟹ミソか?大体、280円と840円だったら大したことは無いが、280億と840億じゃあ相当な差があるぞ。しかも、遺産が下手したら兆だぁ?仕舞いにゃ、シバキ倒すぞ!!」
リュウさんひどすぎるよ。
「リュウ、あまりにも言い過ぎですよ。」
カズキさんは私の味方をしてくれるの!?
「性格なんてそう簡単に変えられるものじゃありません。簡単に変えられたら、こんなことで苦労はしません。ここはあきらめましょう。」
カズキさん、それってフォローのつもりですか?
「とにかく、相手は自分の相続する額を増やす為に、あの2人にあなたを襲うようにしむけたようですね。」
「そんなふざけたことをするような奴、アンタ心当たりねえか?」
「1人だけいます。」
「誰ですか?」
「叔母のミナミ=ケイです。あの守銭奴以外ありえません。」