茂
「光輝、顔色悪いけど大丈夫か?」
「無理はしないほうがいいよ…」
宮國と健二が心配そうな眼差しで言う。
学校を1日休んだが、俺の精神状態は全然改善されなかった。
今でも吐き気が止まない。
健二曰く、俺の顔色は最悪らしい。
「もっと休んだほうがいいって…」
健二が言う。
俺も出来ればそうしたい。
しかし、それは出来ない。
一応、俺の通っている学校は進学校でなかなか有名なのだ。
だから何日も休めば到底授業に追いつくことができなくなる。
1日休んだのも正直大きなダメージだ。
「大丈夫。俺は不死身だ。」
俺はそう言って周りに笑顔を見せる。
しかし、明らかに苦し紛れの笑顔だった。
2人は心配して俺を介抱しようとしたが、時間の流れには逆らえられない。
チャイムが鳴り、授業が始まった。
俺は必死に遅れた分を取り戻そうとした。
しかし、ノートを取ろうと下を向く度に吐き気がしてしまいまともに授業を受けれなかった。
…増々授業に遅れが出てきた。
「はぁ…」
俺は屋上に居た。
今日は1人になりたい気分だった。
すると、かなり気分が良くなった。
「まさか、リア充が近くにいないほうが体が楽なのか…」
ここまでリア充を体が嫌っているとは…
刹那、屋上の扉が開く。
すると、カップルと思わしき二人組がやってきた。
その途端に吐き気がしてきた。
俺は地面を這いずりながら物陰に潜んだ。
「ちょっと~茂ちゃん」
「大丈夫だって~屋上には誰も居ないって。」
茂ちゃん?
嫌な予感がした。
そして、その予感は当たってしまった。
茂ちゃん…
宮國茂…
また、非リア充同盟からリア充が発覚した。
「えーここでするの?」
「いいじゃねーかよここで。」
そう言うと宮國は女の唇に唇を重ねた。
…死ねよ
俺は遂に友人に対してその感情を生み出してしまった。
今までに死ねと思うことはあったが仲のいい友人なんかにこういう感情を持つのは始めただった。
あれから何分経っただろうか。
あれからどんどん過激になっていった。
俺自身が興奮しないわけも無かったがそれ以上に憎しみが大きかった。
性欲が憎しみに負けるとは…
殺したくて殺したくて仕方がなかった。
しかし、ここでもチキンな俺が止める。
こいつがいなくなれば俺は殺すだろう。
刹那、あの夢が頭に浮かぶ。
宮國と健二に裏切られたことから始まった殺人…
まさに今日、俺は宮國にも裏切られた。
健二にも前に…
てことは、このままいけば正夢になる。
「俺は殺人者になっちまう…」
さっきまで心に湧いていた性欲や憎しみは一気に冷めた。
そして、恐怖心が生まれた。
怖い…
怖い…
怖い…
全身が震える。
また、あの時の感触が蘇る。
全身から汗が吹き出す。
2人が夢中になっている間に俺は屋上から逃げ出した。
その日、家でまた暴れたことは言うまでもない。




