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はなさないで  作者: yukina
1/1

ネガイ

35歳という切れ目の年が近づいてくる。

この年まで、本気で付き合った相手はいない。

周りは、既に今年小学生や、中学生の子供を持って、自分の家族を持っているのに。

私は未だに一人。


このまま。私は独りで人生を終わらせるのだろうか。

自分の家族も持たないまま、年を取って死んで行くのだろか。


もし、本当にこの世に神様がいるなら、叶えて欲しい。

私に家族を、下さい。




「なんて・・・、むしのいい願いなんて叶うわけないか・・・・。ん?」



自分の願いに失笑し、何気なく視線を斜め右に向けると、何かが横に倒れていた。


何だろうと首を傾げながらそれに近づく。



「板?かな・・・・。」



そっと手を添えながら、土を払い起こす。

すると、何やらミミズ字が姿を見せた。


「・・・・。何かのお札かな?」


なんと書いて有るのか判らない。

迷った挙げ句、知り合いの寺に持って行く事にした。

またそのままにして、この板札に祟られたのでは残りの人生最悪に終わってしまう。






「随分古い板持ってきなすった」


知り合いのお坊さんは、笑いながらゆっくり優しく受け取る。文字が書いてある事に気付いたのか、ふむふむと頷く。


「すいません。払い焚きしていただけますか?」

「ええ、構いませんよ」

「ありがとうございます。

ゆっくり休んで下さいね。」



私は、軽く板を撫でながら板に向かって話す。

なんとなく、声を掛けたくなった。


それを見ていたお坊さんは、ニコニコしながら、私を見た。



「・・・・、で、では、仕事に行ってきます!」


恥ずかしくなって、慌ててその場から離れた。


「行ってらっしゃい!」と、お坊さんから声がかかる。

私は、なんだか胸がムズムズした。

旦那や子供に言いたい。















「綺麗な主に出会いましたな?」



坊主が優しく撫でると、

くすんでいたはずの板が白く輝き出す。


まるで、坊主の声に呼応しているかのように。




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