60.実力主義?
この学院では生徒は5つのランクに分けられる。
一つ目はプラチナ。
才能がある最も優れた魔法師志望が集まる、この学院のトップだ。
二つ目はゴールド。
魔法は優れているが才能がない、優秀だが何か問題があるといった生徒が集まるランクだ。
ちなみにアートお兄ちゃんやカイトさんはここに当てはまる。
三つ目のシルバーは才能がある、または将来を期待されている生徒が集まり、四つ目のブロンズは標準くらいの生徒が集まっている。
そして僕がいる、五つ目のアイアン。
ここは、才能がない、何らかの理由で上にいけないなどの生徒が集まるランクだ。
「いやー、ある程度は予想してたが、まさかこれほど露骨にやってくるとは思わなかったな!」
「カイト、笑い事じゃないぞ!
こんな階級制度のせいでレクトと会える時間が減ってしまう……いっそ生徒会に殴り込めば––––––」
隣で騒ぐお兄ちゃん達だが、この結果は確かに僕達も予想外だった。
[予想が外れましたね。
ある程度のメンツを守るために最終的にはシルバーくらいには入れると思っていたのですが……]
(それは僕もそう思った。
主席不在にするくらいだったら平民って公表すればよかったのに。)
1ヶ月前。
冬の寒さも落ち着き始め、そろそろ春がやってくる頃、僕は貴族学院の入試を受けた。
結果は前も言った通り筆記満点。
実技に関しては魔族の使っていた火球で試験会場を吹き飛ばし、測定不能。
これ以上ない最高の結果だったと思ったのだが、その1週間後に送られてきた合否発表の紙にはこう書かれていた。
――――――――――――――――――――――――
合格
筆記 1/106位
実技 1/106位
総合評価 アイアン
――――――――――――――――――――――――
この結果が届いた時、まずお兄ちゃんがブチギレた。
「はぁ!?どっちも首席で総合がアイアン?
学院側は頭がおかしくなったのか!?」
ルイ様も憤りを隠せない様子で頷く。
「全くもってアート君の言う通りだ。
一度学院に問い合わせてみよう。」
そうしてルイ様が学院に問い合わせた結果返ってきた答えは……
『成績は申し分ないですが、育ちに少し問題があるので……
今回の首席発表でも首席は不在ということにさせていただきます。』
つまり翻訳するとこうだ。
『平民だからランクを上げることはできないし、平民が上位と知られると貴族達の不満が抑えられなくなるので、今回の首席表彰はしない。』
[……実力主義の実の字も見つかりませんね。]
(本当にね……)
そんなこんなで僕は、最低ランクからのスタートを余儀なくされたのであった。




