55.カイトの両親
「えっと、失礼します!」
「おお、君がレクトくんかい?息子から話は聞いているよ。」
「ほら、立っていないで好きなところに座りなさい。」
カイトの両親に対する第一印象は、"優しい人"だった。
優しい人というのも僕の知っている貴族の大半は、平民を見下し、利用するものだと考えていた。
だけどこの人達は礼儀作法も爵位も持っていないただの平民の僕に対して、嫌な顔一つせず席を勧めてくれている。
「いやー、それにしても息子が私達を頼ってくれるなんてなぁ。
最近だと反抗期で私とは目を合わせてもくれないんだ。」
「それはあなたが『お父様だよ〜』とカイトに付きまとうせいでしょう……そのせいで最近は私まで冷たくあしらわれることが増えた気がしますし……」
「はっはっはっ!それもそうかも知れないな!」
どんどん話が脱線している気がして、声をかけようか迷っていると、僕をここまで連れて来てくれた執事さんが助け舟を出してくれた。
「ゴホンッ、旦那様、奥様、レクト様が困っております。
そろそろお話を進めたほうがよろしいかと。」
「おお、そうだった。レクト君待たせたね。」
「いえ、えーっと?」
(あれ、名前なんていうんだろ?)
最初こそ緊張していたが、この2人の会話を聞いて自然に緊張がほぐれたようだ。
だからこそ失礼のないようにしたいのだが……
僕が悩んでいると2人は気づいたようで、自己紹介を始める。
「自己紹介が遅れたね。
私の名前はルイ・オルフェルだ。
好きなように呼んでくれ!」
「同じくカナツ・オルフェルです。
私も好きなように呼んでください。」
「はい、ルイ様、カナツ様!」
自己紹介が済んだところでルイ様が話を戻す。
「それでだ、まず最初に君は1ヶ月前の魔族討伐に大きく貢献してくれたらしいね?
そのことについて、まずはありがとう。
君のおかげで街の住民が救われた。」
だが、とルイ様が続ける。
「その力はとても危険な力だ。
まだ選定の儀を受けて半年くらいの少年が、魔族の中でも幹部クラスの者を撃退したのだからな。
だから……」
「学院で力の制御を学んできて、と言うことですか?」
ルイ様は少し驚いたようだが、すぐに表情を戻す。
「そうだ。だからレクト君には学院に通ってもらう訳なんだが……レクト君、読み書きはできるかい?」
「?はい、読み書きできますよ?」
そう返すとルイ様はニヤッとして、僕の前に紙を一枚置いた。
「よし、なら今からレクト君にはテストを受けてもらう。
レクト君の学力を測るためのものだなら気軽にやりなさい。」
「……わかりました。」
こうして抜き打ちテストが始まった。




