53.鏡魔法のリスク
「レクト、学院に通ってみないか?」
「へ、学院?」
決闘も終わり、お兄ちゃん達と宿に帰ってくると、真剣な表情でお兄ちゃんにそう言われた。
「学院って……どうしていきなり?」
「今回の決闘で分かったことなんだが、レクトの魔法は少し他の魔法とは違うんだ。」
確かに鏡魔法が他の魔法と比べて少し変だなと思った事はあったが、そこからなんでいきなり学院の話が出てくるのだろう。
「確かに変だなと思ったことはあったけど、それが学院とどう関係が?」
「うーん……レクト、まず魔法って何か知ってるか?」
[神から授かった力を魔力を使って行使することです。]
「神から授かった力を魔力を使って行使することでしょ!」
メモの言っていることを復唱しただけだが、元は僕の記憶だから問題ない!と思う……
「おお、よく勉強してるね。
それでね、基本的に行使できる魔法は適性のある属性だけなんだけど……鏡魔法は鏡に写せばどんな属性でも無制限に使える。いわゆる神話に描かれているレベルの魔法なんだよ。」
「そうなんだ……確かに写すだけで大体の魔法は使えちゃうもんなぁ。」
だから、とアートは続ける。
「その力は魔法の知識が全くなくても僕を倒せるくらい強力な力だよ。
でも万が一、魔法が暴走でもしたら?
誰かに洗脳されたとしたら?
それを確実に周りが止められると断言できる?」
「それは……」
正直難しいだろう。
さっきの決闘でお兄ちゃんは手加減していたように、僕も使う魔法を制限していた。
下手したらお兄ちゃんが死にかねないからだ。
だがその制限していた魔法を使って、僕が暴れたとしたら……
「……少なくとも街の一つや二つ滅ぼすのなんて容易いことかも。」
「そうだろ?
その鏡魔法って言うのはとても強力な分、使う責任が伴うんだ。」
「じゃあ僕はこれから魔法を使わない方がいいの?」
「それは違うよ。
今まで通り魔法を使いたいなら、もっと魔法について学べばいいんだ。」
「学んでどうするの?」
アートはまたうーんと悩んでから答えた。
「例えば包丁はただ振り回したりしたら危ないだろ?
でも僕達は使い方を知っているから食材を切るのに使うんだ。
それと同じでレクトの鏡魔法も使い方さえ正しく理解できていれば安全に使えるはずだ。」
「なるほど……それで学校に行こうって話になったんだね。」
お兄ちゃんは頷く。
[これはレクトにとっても悪い提案ではないと思います。]
「そうだね……じゃあ僕、学院に通ってみたい!」
「わかった、そう言ってもらえて嬉しいよ。」
「ちなみにどこの学院に通うの?」
「あ、話してなかったか?
レクトが通ってもらう学院は、貴族学院だ。」
「え?貴族、学院?……えぇぇぇぇぇ!?」
宿にレクトの叫びが響き渡った。




