46.兄との再会
四章開幕!
僕は今、かなりの窮地に立たされている。
『メモ、お兄ちゃんに今の状況をどう説明すればいいと思う?』
[……暴走を止める手段はないと思われます。]
『ですよね〜。』
兄は優しい言い方で言うと弟思いだ。
辛い言い方でいうと……まぁ、うん。
そんな兄が今の僕を見れば……間違いなくこんな目に合わせたやつを消してやるとか言って飛び出していくだろう。
(どうしよう。
アートお兄ちゃんが来ることを全く予想していなかった……)
確かにあの性格を考えれば、ここまで追いかけてくることは容易に予想できたはずだ。
それでもそのことを考えなかったのは、僕がそれほど冒険者に夢中になっていたということだろう。
「とりあえず事情を……聞いてくれるなら苦労しないんだよなぁ。」
クラウンと戦った時並みに頭を働かせていると、今度は廊下を走ってくる音が複数聞こえた。
(やばい!?とりあえず……寝たふり!)
寝たふりは全てのことを解決してくれるだろう。
きっとそうだ、うん。
その瞬間バッとドアが開く。
「レクト!」
「ちょ、俺を置いてくなよ。」
聞こえてきたのはお兄ちゃんと、誰か知らない人の声だ。
(寝たふりは全てを解決してくれる。)
[レクト、現実逃避はやめましょう。]
だがその寝たふりすらお兄ちゃんにはバレバレのようだ。
「あれ?レクトの呼吸のテンポが起きてる時と同じテンポだが……」
「呼吸のテンポってなんだよ!
まじで弟の前ではただの変態じゃねえか……」
僕は若干自分の兄に恐怖を覚えつつも体を起こす。
「久しぶり、アートお兄ちゃん……」
「レクト!一体どうしたんだ!?
理由次第では僕がレクトをこんな目に合わせたやつを倍以上に返して……」
だがアートが最後まで言葉を言い終わる前に、隣からゲンコツが落ちた。
**
「ごほん。
俺はこいつ……じゃなくてアートの親友のカイトだ。
よろしくな!」
兄の暴走を止めてくれた救世主は、どうやら兄の学友らしい。
「うー、いきなり叩くことはないじゃないか!
レクトもそう思うだろう!?」
「ノーコメントで。
あ、いつも兄がお世話になっております。」
「おう!」
「おい!?」
そうして軽くふざけ合っていると、アートお兄ちゃんがいきなり真面目な顔で話を持ち出した。
「それでレクト、今まで何があったんだ?」
「え〜とね……」
冷静なお兄ちゃんが珍しすぎて怖いところがあるが、暴走よりはマシなので追い出されたところから今回の件のことまでを大雑把に説明する。
「……というわけなんですよ。」
「……そうか。遂にあいつらはやってくれたか。」
僕が説明し終わると、兄は珍しく無表情で何かを呟いた。
(珍しいな?
アートお兄ちゃんがこんな話を聞いて大人しくしてるなんて。)
「アート、何する気だ?」
「いや?
レクトがいたから許してやっていたが、レクトがいないならもう遠慮はいらないと思ってね……」
前言撤回。
大人しくなんてする気はなさそうだ。
追加です。
詳しくは活動報告の方に書こうと思いますが、ここのところ忙しくてなりそうなので、少しの間投稿頻度を不定期にかえさせていただきます。




