42.勇者
あとこれ含めて2話で、霧の道化編は終わりです。
組合長が出ていってしばらくすると、ケントとエミーが入ってきた。
「レクトお兄ちゃん大丈夫?」
「大丈夫だよ!」
「大丈夫な訳ないだろ……まあいいや。エミー、少し外で待っててくれない?」
「えー、まあいいよ。」
エミーが出ていくと、僕はケントと2人きりになる。
気まずい空気耐えられず、僕はケントに話を振る。
「ケント、それで話って?」
「……俺はレクトのしたことにビビって何もできなかったし、レクトの足を引っ張っていただけだった。
だから、俺は変わりたいと思ったんだ。」
そう言ってケントは話を続ける。
「見えてたかどうかはわからないけど、俺はいきなり声が聞こえたかと思うと、謎の光に包み込まれたんだ。
その光を見たお母さん達がすぐに駆けつけてくれて、俺達はレクト意外ほぼ無傷で保護された。
そしてレクトがこの教会に運び込まれた時に、お母さんがその光のことを調べてくれたんだ。」
少し悲しそうな表情でケントは続ける。
「お母さん曰く、その光は勇者が出てきた時に放たれる光で、勇者は破魔属性っていう特別な属性を持っているらしいんだ。
それでさっき教会で事情を説明して、特例で適性検査受けたら……破魔属性って出てきた。」
つまり知らないうちにケントは勇者になってしまったようだ。
だが、なんでそんなに悲しい顔をしているのかがわからない。
「勇者になれて嬉しくないの?」
「まぁね。
勇者は世界の危機が訪れた時に現れるんだけど、世界の危機ってことはそれだけ強力な敵と戦わなければいけないってことなんだって。
だから……怖いんだ。」
ケントは僕を見て続ける。
「その世界の危機を倒すために、俺は10歳になったら貴族学校に入って、魔法の修行をすることになったんだ。
その後に世界の危機を救うために旅に出ることにした。」
ケントはとても緊張した様子で言う。
「それで、その旅に……レクトもついてきて欲しいんだ。
嫌なら断ってくれていいんだけど……」
最後らへんの声は聞き取れないぐらいに小さくなっていた。
その言葉を聞いた僕はふふ、と笑って言う。
「当たり前でしょ!
友達が危険な目に遭っているって言うのに、笑顔で楽しくなんて過ごせないからね!」
僕がそう言うと、ケントは驚いたような嬉しいような表情を浮かべ、レクトらしいねと笑った。
勇者 古くから世界の危機に現れ、闇を祓うものとして文献に残されている。




