37.切り札
クラウンの出現。
これは予想していた中で最も最悪に近いものだ。
「……久しぶりだね。」
「元気にしてたかい、レクトくん♪」
クラウンは劇の終わりに会った時と同じノリで返してくる。
(とにかく魔力で傷を塞がないと。)
「……なんでこんなことするの?」
「上からの命令なんだよ♪悪く思わないでね♪」
時間を稼ごうと話を振るが、適当にあしらわれてしまう。
(残り魔力はわずか、クラウンは無傷、絶望的だね。)
クラウンの魔法がわかっていない以上、下手に手出しすることもできない。
属性は水と風だと思うが……
「もう少ししたらAランクの仲間が来るよ。
逃げるなら今のうちじゃない?」
「このまま君を倒すのなんて1分もかからないと思うし、君を倒してから逃げることにするよ♪」
勿論仲間が来るなんて嘘だが、今ので1つわかったことがある。
それは僕の2つ目の切り札が効く可能性があるということだ。
勝ち筋が見えたところでケント達を確認すると、男がケント達に殴りかかっているところだった。
(まずい!あっちを……)
「よそ見とは余裕だね♪」
「土砕。」
「っ!」
僕はギリギリのところでクラウンの放った水球と、サイの拳をを躱すと、僕の後ろにあったテントが吹き飛び、今いた地面にクレーターができている。
(風纏で魔力が削られている以上、長期戦は不可能……なら、一瞬で終わらせる!)
クラウンがもう一度こちらに手をかざし、サイが拳を構えた瞬間に、僕は切り札の2つ目をきる。
「映鏡!」
「ッ!?体が……」
「動かない……」
今映し出したのはギルド長室のやり取りで写した殺気だ。
さっきクラウンは逃げると言った。
つまりAランクと戦えるほどは強くないという前提で賭けに出て、その賭けにレクトは勝った。
僕は動けないであろう2人に魔法を叩き込む。
「映し鏡×30!」
映し出したのは火球。
数の暴力がクラウンとサイを襲った。




