32.脱出前夜
リアクション等よろしくお願いします。
「……俺はエミーと隠れている最中に攫われたんだ。」
ケントは少し迷っていたようだが、諦めたように話し始める。
「エミーと少し離れたところに隠れていたら、白いモヤが出てきて、いきなり人の声が聞こえたんだよ。」
キリックのことだろうなと思いながら話を聞く。
「そいつはここら辺にいるらしいんすけど、とか言いながらエミーの隠れている方に向かって行ったんだ。
俺はなんとなく嫌な予感がして、咄嗟に隠れていた場所から飛び出したんだ。
そうすると見つけた、とか言われて、いきなり意識が朦朧として……気づいたらここにいたんだよ。」
やはりケント達も同じように捕まってしまったらしい。
「ここにきてからは何かあった?」
「暗くて顔は見えなかったけど、誰かが食事と飲み水を一回だけ持ってきたな。
朝まで持ってこないから大切に使えって言ってたよ。」
「他には?」
「特には……あ!そいつが帰って行く時にボソッとあと1日の辛抱だ、って言ってたよ……」
ケントは言いながらどんどん顔が青ざめていく。
(つまり明日には僕達に何かするつもりってことだよね。)
思ったより時間がなさそうだ。
(作戦なんて思いつくわけもないし……こういうときは!)
『メモ!作戦考えて〜。』
[自分でやるわけではないんですね……
作成中…………朝に食べ物を届けにきた時に、届けにきた人を倒して脱出し、戦闘をなるべく避けながら逃げるのが最善だと思われます。]
思いの外シンプルな作戦がでてきて少し疑問に思う。
『そんなシンプルで大丈夫かな?』
[敵戦力がわからない以上戦闘を避けるのは必須となり、届けにきた人を倒すのは敵がどれだけいるかわからない以上、数が減るに越した事はないからです。]
『倒せるかな?』
[見張りぐらいはいるかもしれませんが、レクトを同じ牢屋に、しかも拘束もせずに入れている時点で、たかが子供と舐められている可能性が高いからです。
なので不意打ちで1人持っていくことは可能でしょう。]
『でももし倒せなかったら?』
[その場合脱出しても捕まる可能性が高いです。]
『それもそうか……ありがとメモ!』
(そうと決まればやる事は……)
「僕がここにきてから何時間経ったかわかる?」
「1時間程度だよ。」
「良かった、まだ時間はありそうだね。」
外はまだ暗いだろうし、魔力を回復させる時間はありそうだ。
(今日は消耗続きで魔力がやばかったんだよね。)
魔力を回復させる時間があるなら、と思って魔法を使う。
「映鏡。」
魔法で映し出したのは時計。
最近店で写してきたものだ。
ここでは太陽の光などが通らないため、朝かどうかを判断するのに時計は必須である。
「え、どこから出したの!?」
「僕の魔法だよ。」
驚いているケントを無視して僕は次の魔法を使う。
映し出したのは僕がいつも使っている、子供でも持てるレベルの短剣だ。
(じゃあ、あとは……)
僕は隅に固まっていた子供達を呼び寄せる。
「みんないい?明日の朝、僕についてきて。その時は絶対に僕の側を離れちゃだめだよ。
うまくいけばお母さん達に会えるからね!」
子供達はお母さんに会えると言ったところから、顔が希望に満ちた顔になった。
だがやはりケントの表情は暗いままだった。
「ケント、明日の朝に脱出する。その時にこれを持っておいて。」
そう言ってケントに短剣を渡す。
「これは?」
「いざとなったらこれを使ってみんなを守ってあげてね。」
「……いざとなったらって?」
「僕が離れてしまった時とか、僕が……」
「わかった。」
ケントは覚悟を決めたように頷いた。
こうして子供達は眠りにつき、僕は寝過ごしたら最悪のため今夜は徹夜することになった。
魔力は時間経過で回復します。
すぐに回復させられるようなアイテムもあります。




