21.間話 魔力制御との出会い(レミー視点)
レミーの間話です。
ストーリーに関わるので、ここに突っ込んじゃいました。
あと2話くらいで終わらせる予定です。
私はレミー、Dランク冒険者だ。
一応貴族ではあるが、5人目に生まれた子供だから特に期待もされていない、自由な立場だった。
うちの家は風属性魔法の名門で、強力な風属性魔法を使う人を多く世に出してきた。
かくいう私も適性は風属性魔法で、一時期両親から期待されたりもしたが、強力な風属性魔法は使えず、すぐに興味をなくしたらしい。
それでもある程度の事はしてくれたし、貴族学院にも入れてくれるらしく、親には感謝している。
適性が風属性魔法だとわかり、強力な風属性魔法が使えなかった私は、ひどく落ち込んだ。
だか本で魔力制御というものを学び、早速実践してみることにした。
すると私には魔力制御の才能があったらしく、驚くほど簡単に魔力を操ることができた。
魔力制御の楽しさにハマってしまった私は、来る日も来る日も魔力制御をやり続けた。
2ヶ月ぐらい経った頃だろうか。
家に冒険者がやってきた。
どうやら有名な冒険者パーティらしく、両親が丁寧な態度で頭を下げていた。
その日の夕方、いつも通り庭で魔力制御をしていると、冒険者に話しかけられた。
「お前!?それをどうやって学んだんだ!?」
その男は私に詰め寄って、意味のわからないことを呟き始めた。
「魔力をそんなに自由に操るなんてコヨミにもできるかどうか……おいお前、それをどこで学んだ?」
失礼な言い草にムッとしながらも、私は正直に答える。
「学んだも何も、本を読んだだけだけど?」
「はぁ!?お前、それが独学だって言いたいのか!?」
驚いてばっかりだなこの人……なんで思いつつも、私は答える。
「そうに決まっているでしょ?学院にすらまだ行ってないんだから……」
「そう、だな……お前、これを見てみろ。」
その男はそう言うと、脇から剣?を抜いた。
「ちょっ、何してんの!?」
「よく見てろよ……はぁ!」
男が剣を振り下ろすと、剣に魔力が流れ、水の飛沫が飛んだ。
私はその完璧な魔力制御に心を奪われてしまい、その男に詰め寄る。
「なにあの綺麗な魔力制御!すごい!」
「やっぱり見えてんのか……おいお前、冒険者にならないか?」
いきなり男は変なことを言い出した。
「冒険者?なんで私がそんなものにならなきゃいけないわけ?」
「そんなものって……じゃあこれならどうだ?俺はお前に魔力制御の仕方を教えてやる。だからお前は冒険者になれ。」
魔力制御!と目を輝かせそうになるが、あまりにも怪しい条件に疑問を抱く。
「そんなことしてあなたに何の得があるの?特にメリットがあるとは思えないけど……」
「優秀な冒険者がこの国には少なすぎるんだ。お前みたいな優秀なやつを育てれば、俺たちは必然的に依頼数が減り楽をできる。」
例えばと男は続ける。
「俺たちがここで受けた土竜の退治も、お前がもっと強くなれば1人でできることだ。」
竜を1人で、なんていう想像が一瞬頭の中に生まれたが、竜はSランクの魔物であり、Sランクが出てくるような依頼だ。
そんなことありえない、と言おうとしたが、男の真剣な目は嘘を言っているようには見えなかった。
「……わかったわ。その条件を呑んであげる。」
「なんで偉そうなんだよ……まあいい、俺はSランクパーティ所属、魔剣士のカイだ!よろしくな!」
カイと名乗った男は、にやっと笑った。
カイと話した日の夜、私は目の前の状況に困惑していた。
「なんで、あんたは、そう後先考えずに話を進めるの!」
「痛い痛い、ごめんって!」
「これに関してはコヨミの言う通りだな。」
カイは2人の女性にこっぴどく叱られていた。
こんなことになった理由は少し前に遡る。
カイは家に戻ると、今日の夜、俺たちの使っている部屋に来いと言った。
言われた通り私は夕食を食べると、掃除をしていたメイド達に部屋の場所を聞き、カイが使っている部屋に向かった。
そして叫び声が聞こえてきた部屋のドアを開ける
と、今の状況に至るといった感じだ。
「あのー、すいません。」
私が話しかけると3人は気づいたようで、カイが
逃げるように近寄ってきた。
「よ、レミー。さっきぶりだな。」
カイがそういうと、1人の女性に後ろから頭を叩かれた。
「こんにちはレミーちゃん。うちのバカが失礼したわね。」
その女性は笑顔でそういうと、こちらに手を差し出した。
「私はコヨミっていうの。よろしくね。」
「レミーです……よろしくお願いします。」
あまりの変わりように少し怯えながらも、私は手を握り返す。
すると後ろからもう1人の女性が近寄ってきた。
「私はタントと言う。よろしく頼む。」
その人は私を睨みながら名乗った。
(嫌われてる?まだ何かした覚えはないんだけど……)
するとコヨミが言った。
「レミーちゃん、勘違いさないであげてね。この子は顔は怖いけど、根はいい子だから。」
「そうだぜレミー。顔は、怖いけどな!」
カイが笑いながらいうと、今度はタントさんに頭を叩かれていた。
なんも言わなきゃいいのに……なんて思っていると、カイがいきなり真剣な顔になった。
「レミー、今日ここにお前を呼んだのは仲間を紹介するためだ。コヨミは魔法師、タントは盾士で、どちらも俺と同じSランク冒険者だ。」
「はぁ……」
(どうして仲間を私に?魔力制御を教えてくれるんじゃなかったの?)
私が疑問に思っていることを察したのか、カイは言った。
「お前には俺ら全員から指導を受けてもらう。これは決定事項だ。」
「はぁ?なんでそんなめんどくさいことをしなきゃいけないわけ?」
「それについては私が説明するわ。」
私がめんどくさそうに言うと、コヨミさんが前に出てきた。
「レミーちゃん。あなたにはなるべく早くSランクになって欲しいの。だから剣はカイ、立ち回りはタント、そして魔法は私が教えるのが一番効率的だってことになったのよ。」
私はSランクという言葉に首を傾げる。
(Sランク?私は冒険者になって欲しいと言われただけで、そんなに本気でやるつもりはなかったんだけど……)
私のそんな様子を見ると、タントさんがため息をつく。
「カイ、お前何にも説明してないな?」
「戦力が足りないってことは説明した……」
カイがそう言い終わる前に、タントさんのゲンコツがカイに落ちるのであった。
Fランクにはスライム。
Aランクにはレクト達が戦った熊。
そしてSやSSは竜や一部魔族。
こんな感じで脅威度別にランク分けされており、パーティなら自分より1ランク上の魔物を倒せると言われている。
盾士 仲間を守ることに特化したパーティ専用の役職。




