廊下での足踏みトラブル
「中世風なのに現代的」――そんな不思議な要素が詰まった王立アカデミーで、ちょっと気の抜けた放課後が始まる。
広大な校舎を移動するだけでも一苦労なのに、生徒たちは思い思いの目的地へ向かい、廊下はごった返し。そんな日常ならではの雑多さの中、主人公・清夜は「急いで帰りたい」という一心で先を急ぐのだが、彼の行く手には予想もしないトラブルが待ち受けているようで……。
気楽な下校のはずが、一瞬にして痛みと苛立ちをもたらす「足踏まれ事件」に巻き込まれる清夜。これは単なる序章にすぎないのか、それとも――。さて、次はどんなドタバタが待っているのか、続きが気になる幕開けだ。
王立アカデミーはとにかく広い。校舎だけで何棟もあり、中庭や連絡通路が迷路のように連なっている。正門や昇降口へ一直線で向かおうにも、複雑な廊下を通らなきゃならないのが面倒だ。
俺は自分の教室がある南棟の3階から階段を下り、最短ルートで昇降口へ向かう廊下に出た。周囲にはまだ多くの生徒がいる。金曜の放課後だから、帰る人もいれば部活やバイトに行く人もいて混雑しているのだ。
そんな中、突然ドスンと足に衝撃が走る。
「うわっ、痛ぇ…!」
見ると、ちょっと荒っぽい上級生が俺の足を踏んづけている。騎士風のローブを肩にかけ、イヤホンまで付けてるから、全然こちらに気づいていない様子。
「なんだよ、踏まれた側の気持ちも察してくれよ…」
文句を言いたいが、上級生に絡んでも面倒くさそうだし、足を引っ込めてやり過ごすしかない。
足はジンジンするし、イラッともするけど、とにかく早く昇降口へ行って下校したい。誰がこんなトラブルに巻き込まれるなんて思うだろうか。
(まだ始まったばかりだけど、嫌な予感がする…)
心の中でそう呟きながら、俺は先を急ぐ。
読んでくださり、ありがとうございます。広い校舎、複雑な廊下、そして個性豊かな生徒たちが行き交う放課後のアカデミーは、ただ歩くだけでもなかなか波乱に満ちているようです。
ほんの些細な偶然が、笑い話にもなれば、清夜のような「なんだよ…」という嘆きにもつながるのが学園生活の面白さ。そして、中世的な風景を背景にしているからこそ、どこか物語じみたドラマチックさも漂っています。
清夜が足を踏まれたこの瞬間が、どんな展開のきっかけになるのでしょうか。次回以降も、ぜひ一緒に物語を追いかけていただければ幸いです。