すべては早く帰るために
この物語は、中世の荘厳さと現代の利便性が入り混じる不思議な学園「王立アカデミー」を舞台にした、青春ストーリー。
外観は大聖堂のように重厚でありながら、電子黒板やICカードが日常的に使われるというギャップが、学校生活に独特の彩りを与えている。
主人公・朝霧 清夜は、部活に追われる毎日の中で、恋人・優依との時間を大切にしたいと願う高校2年生。
金曜の放課後、彼女とゆっくり過ごすために「今日は絶対に早く帰る！」と意気込む清夜の姿から、彼の日常がどんな騒動に満ちているのか——
ここは「王立アカデミー」。外観はまるで中世の大聖堂のようだけど、校内には最新の電子黒板が設置され、生徒証はICカードという不思議な学園だ。
俺、朝霧 清夜は、そのアカデミーに通う高校2年生。今日は金曜日で、部活も臨時休み。おかげで放課後は早めに帰れるはずだった。
理由はシンプル。俺には優依という彼女がいる。最近は部活やテスト勉強でなかなか一緒に過ごせていなかった。だから、今日は絶対に早く帰って優依とゆっくりしたい。
「清夜、ホームルーム終わったぞ。帰るんだろ？」
担任のハーゲン先生がそう告げると同時に、チャイムがゴーン…と鳴り渡る。この古風な鐘の音も、アカデミーの“中世風”を醸し出す演出のひとつだ。
俺は「よし、終わった！」と勢いよく席を立ち、周囲のクラスメイトに軽く別れを告げて教室を出る。
「今日はマジで速攻帰る！」
廊下にはすでに部活へ向かう生徒や、友達同士でダラダラ喋りながら帰ろうとする連中が行き交っている。中世風の石造りの壁と、ところどころに飾られたステンドグラスが不思議な雰囲気を漂わせるが、俺としてはそんなことに浸ってる場合じゃない。
「優依、もう帰っちゃったかな…」
思い浮かぶのは彼女の笑顔。最近はろくに話せてなかったし、たまには一緒にご飯でも食べたい。そんな期待を抱きつつ、長い廊下を足早に進む。
読んでいただき、ありがとうございました。
中世の雰囲気を残しつつ、最新テクノロジーが混在する「王立アカデミー」では、石造りの廊下を電子黒板の光が照らし、生徒たちはICカードを手に学園を駆け回ります。
そんな不思議な世界の中でも、清夜の心を支えるのは、結局のところ“恋人に会いたい”というシンプルな想い。部活や勉強に忙殺されながらも、ふとしたときに思い浮かべる優依の笑顔が、彼の日常に活力を与えてくれます。
きっと誰しもが、人生のどこかで「早く会いたい」「早く帰りたい」と熱望した経験を持っていることでしょう。この物語が、そんなあなた自身の甘酸っぱい記憶や、どこか懐かしい情景を思い出すきっかけになれば幸いです。
