深夜未明。
真夜中の鏡の中を見つめると
底には何も映らない沼の様な顔
泥の中で輪廻するみたいに呼吸する
誰にも見せたことのない裸
まだ動いている柔らかな心臓
鋭く尖った指先の爪 繰り返し突き刺さる
時間が幾度となく止まって 鏡に映る
逆さまの時計の針と さっきまで閉じていた瞳
埋もれたままの 戻れない過去の
血の通わない今の 手首の内側の
どれを選んでも 架空にしか成り得なかった
未明の選択 深夜の未遂 すり抜けていく輪の中
今日が断ち切れた 通わせた想い出
身体の中を巡る 夢とか希望とか
目に見えない未来へと置いて 遠ざかる意識
呼吸を止めた今 触れない脈拍 秒針は動く
手を伸ばす 鏡の中の腕たち 泥の様な
温かく包む 甘い匂い 優しかった
いつか そこに居た日
目を開いた 誰も居ない部屋の その後ろ
クローゼットと 窓際のカーテン
月明かりの無い 夜の隙間を閉ざした瞳
そっと吹いた風が
何も言わない時間を
何も身につけていない 裸の上を
滑るように 撫でるように すり抜けた
誰かの匂いを 傍で感じた
意識が目覚める
夜明け前の 何も聴こえない時間




