第93話:脱皮
〔え、えー…、皆さま大変長らくお待たせいたしました。
魔物サイドの蛇女が少々トラブルのため、試合開始時間を遅延させていただいた事を深くお詫び申し上げます。
改めて、これより第1ラウンドを開始します!〕
アナウンスの声がアリーナ内へ響き渡る
結局試合は行うみたい
「ハァ…ハァ…、犬頭、アンタ後で覚えときなさいよ。
ニンゲンを殺ったあとに、必ずアンタも…
うっ…、痛…ッ!」
「クーン…」
俺らと闘う前に仲間割れしてしまった魔物チームは既にボロボロだ
何かちょっと悪いことしたかな…
いくら魔物とはいえ、仲間同士で争わせるなんて…
因みに今、犬頭が言った言葉は『とっとと帰って鼻うがいがしたい』だ
お前の相棒どんだけ臭いんだよ!!
まぁ、それはあいつには言わないでおこう
また暴れられても困るし…
それにしても、コイツらよく見たら同じ装飾品を首に付けてるな
いや、装飾品ってか首輪みたいに見える
ふつうに仲悪いし、お揃いのアクセとかではないのかも
そして魔物側に賭けていた客からはブーイングの嵐だった
「ふざけるな!!
こんなのは無効だ!金を返せ!!」
「そうだ!
第1ラウンドで魔物がやられているなど前代未聞だ!」
会場が避難の嵐に巻き込まれる
…ケッ、金の亡者どもめ
「フン…こんな痛手、屁でもないわ!
アンタに傷つけられたお肌に比べたらねぇ!!」
ヒュオッ!!
「うおっ!?いきなりかチクショウ!」
蛇女は身体をくねらせながら、俺に向かって突進して来た!
チッ!やっぱコイツのスピード速い!
間一髪、身体を横に転がして攻撃を避ける
「レイト!……っ!?
なるほど、アンタが私の相手ね」
フレイの前には犬頭が立ちはだかっていた
リック並の筋肉をこれ見よがしに見せつける
「ワン!ワン!」
「えーと…
『あの悪臭女と相棒変わってくれない?オレ、君の方が良いニオイするから好き』…だって」
「「何ですって!?」」
フレイと蛇女は同時にハモった
セリフまで一緒だ
実は仲が良いのか?
「あいにく私はもう男は間に合っているのよ!
女を口説きたいなら、もっとマシな言葉を使いなさい!
『雷投槍』!」
バチィッ!
雷を付与したボロボロの槍を犬頭の胸目掛けてぶん投げる
あの技、ジオンも使ってた魔法だ!
ハルートもだけど、雷魔法って流行ってるのかな?
犬頭は攻撃を食らうと、さすがに敵対行動をされたからか、フレイから距離を取り警戒を始めた
よし、あっちは大丈夫そうだな
問題は……
「何よ…、アタシだって好きでこんな水浴びもできない場所に居るわけじゃない…!
そもそもこんな地下に何日も幽閉されたら、誰だってちょっと臭くなるじゃない…
だからアタシ…ホントは臭くなんか…ッ!!」
「お、おい…?」
「うっ、うっ…!うあああああん!!」
ええええええ!?
な、泣いちゃった……
いやこれ…!
流石に敵とはいえ、泣いてる女を攻撃するのは無理だ!
ど、どうしよう…?
「ねえ!ニンゲン!
アタシ別に臭くないでしょお!?」
「え!?う、うん…?」
涙ながらに彼女は俺の胸ぐらを掴みあげてきた!
あっ…ヤバい!油断した!
懐に入り込まれた!
「じゃあ…嗅いでみなさいよ」
「はっ?」
「ホラ、嗅いでよ!!
アタシ臭くないって言ってよ!!」
蛇女は身体を俺に巻き付けると、頭を掴んで自分の胸に押し付けた!
おうふ…や、柔らか…
「何してんのレイト!
まさかアンタ女だったら何でもいいの!?
信じらんないこのケダモノ!」
「ムググ…ッ!プハッ!ち、違う!誤解だ!」
犬頭と渡り合いながらも、フレイが罵倒してくる
は、早く離れないと…!
しかし、蛇女の拘束はそう簡単に解けるものじゃない
前にも経験したが、とにかくキツい!
長い胴体を絡ませて、獲物の身動きを取れなくするからな…
「ねぇ!早く答えてよ!
アタシ臭くないでしょ!?」
「フグッ!?」
また胸に押し付けられた!
酸素が足りず、圧迫された状態で必死に息を吸い込んだその時、仄かに酸っぱいような…若干スパイシーな香りが俺の鼻腔を刺激した
そして、俺は禁断のひと言をつい口にしてしまう
「クサ…」
「…ッッッ!!!」
蛇女は俺の呟きを聞くと、身体を緩めて拘束を解いた
た、助かった!!
急いで彼女から距離を取って剣を構え直す
……?
あれ?なんか様子がおかしい…
「……………」
「おい…?どうした、丸まって…」
蛇女は身体を丸めて、そこから動かなくなった
防御?いや、それにしては妙だ…
この嫌な気配…
まるでドラゴンと正面から向き合った時のような突き刺す殺気が感じられる
「…まさか!?
レイト気を付けて!
その魔物、『脱皮』してるわ!
この…っ!しつこいのよ!」
「えっ!?」
脱皮だって!?
それって、爬虫類がするあの…?
魔物までするのか
フレイは即席で作った木刀で犬頭と肉弾戦を演じている
というかあいつ、よくこっち見ながら闘えるな
俺の目の前にいる蛇女は、顔を伏せながら問いかけてきた
「ニンゲン…
アタシたち『蛇女』が最も生きる悦びを感じる瞬間って、何だか分かる…?」
「さ、さぁ…」
「じゃあ、教えてあげる」
パァン!!
圧縮した身体を解放させると、彼女から皮膚や鱗が爆散した
そして、その裸体に近い身体はとても美しく、しなやかな下半身は白い鱗で形成されていた
縦に瞳孔が開かれた眼をこれでもかと見開き、狂ったように叫びだす
「惚れた女が魔物と分かった時の絶望してる男を生きたまま喰らうことよ!!
アハッ…!アハハハハッッ!!!」
こんにちは、黒河ハルです。
貴重なお時間を消費して読んでくださり、とても嬉しいです!
なんだかラミアがちょっと可哀想ですね笑
いちばんひどいのはコボルトですが…
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