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スター・スフィア-異世界冒険はおしゃべり宝石と共に-  作者: 黒河ハル


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第65話:対等な関係

「さて、2人とも。

ここからはできる限り私語は慎んでくれ。

そして、住民と目線を合わせてもダメだ」


「は、はい…」


「なんだァ?エラい物騒な街だなオイ」



門番の私兵にジオンさんが何かを手渡すと、道を空けた

そ、そこまでするほど危険なエリアなんでしょうか…



門をくぐった先にはこれまで歩いていた街並みとはうってかわり、うす暗く…陰湿な雰囲気を感じさせるストリートが私たちを迎えた



「彼の屋敷はここを真っ直ぐ行った所にある。

さあ、行こうか」



すれ違う通行人はみんな、私たちを蔑むような視線を浴びせてくる

いや…私〝たち〟じゃない、〝私〟だ



「人族…!コイツらのせいで俺たちは…!」


「また、私たちから奪い去る気…?」


「クソ!ここは俺らの街だぞ!」



どうやら王都の中でもここは特に人族を恨んでいる亜人族が集中しているようだ

まだ直接的な暴力は無いにしろ、ここまで悪態をつかれるのは怖い…



「シルヴィア様、ご安心を。

有事の際は私がお守りいたします」


「は、はい」



エリザベスさんが住民に聴かれないようコソッと小声で耳打ちをしてくれた

そうですね…

仲間が居るのですから、今はジオンさんを信じて進みましょう



☆☆☆



ジオンさんについて行くこと数分、私たちは先ほど彼が言っていた屋敷に到着した

これは…



「なんつーか…ボロっちいな。

『迷いの森』の屋敷よりやべェ」


「こらリック!口を慎みなさい!

…まぁ私も同じことを考えましたが」



以前、『理の国(ゼクス)』でレイトさん達と一緒に行った屋敷と同じくらいボロボロだった

壁は所々崩れ、一角には『魔蜘蛛(アトラク)』の巣が張り巡らされている…


本当にこんな所に人が住んでいるのでしょうか?



「ふふふ、あまり言ってくれるな。

彼も必死でこの街を変えようと奮闘している」


「そろそろ参りましょう。

坊っちゃま、お手土産は持っておいでですか?」


「ああ、もちろん…」


コンコン


ジオンさんは今にも朽ちそうな観音扉を優しくノックした

リックがやったら一瞬で破壊しそう…


しばらくすると、扉の向こうからタッタッと足跡が聴こえてきた


ギィィ…


「お前は…ジオン!?」


「久しぶりだな、我が友よ」



出てきたのは小柄な『人狼(ウェアウルフ)』の男の子だった

フサフサの耳と尻尾、セリーヌさんとはまた違う毛並みだ


『不良貴族』なんて聞いていたからもっと怖そうな方を想像して身構えていましたが…


け、結構…可愛いですね…



「…!?おい、後ろにいる女は誰だ!?

なんでこの街に人族が入り込んでいる!」


ドン!


「きゃあっ!?」



人狼(ウェアウルフ)』の少年は私を見るなりいきなり激昂して、押し倒してきた!

そして、首元に冷たい何かが押し当てられる



「よせ!ナイフをしまえテオ!

彼女は味方だ!」


「うるさい!!

コイツらのせいで俺らは…!」



少年は握ったナイフに力を入れ始めた!

い、いやっ!!


ヒョイッ


「おう、クソガキ。

その女はウチのパーティーメンバーなんだ。

気に入らねェならオレが相手になってやるぜ」


「なっ、なんだお前は!?離せ!」



リックが少年の首根っこを掴みあげると、そのまま宙ずりにした

手足をバタバタとしている

び、びっくりしました…


まさかあんな急に殺されかけるなんて…



「落ち着いて聞いてくれ、テオ。

今日は君の力を借りに来たんだ」


「冗談じゃない!

人族もいるってことはそいつらに肩入れしろってことだろう!

手なぞ死んでも貸さん!」



宙ずりのまま少年は腕を組み、プイッとそっぽを向いた


な、なんでしょう…

先ほどナイフを当てられたのに、あまり怖くない

やっぱりこの子可愛い…



「この方は僕の町の民を助けてくれたんだ。

魔族の国(アルケイン)』の手先からな」


「だから何だ!今さら亜人を助けたところ…

なに…?『魔族の国(アルケイン)』だと?」



少年はアルケインという単語に反応して大人しくなった

ダランと、手足が下にさがる


というか、この男はいつまで掴み上げてるのですか!

ああもう!



「リック!早くその子を離しなさい!

子供相手に何をしてるんですか!」


「あ、あァ!?んだよ、助けたってのに…」



リックはしぶしぶと少年を降ろすと、少し拗ねたのかあさっての方を向いてしまった

もう…これではどっちが子供か分かりませんね


降ろされた少年はキッと私を睨め付けた



「おい、女。俺は子供じゃない!

24だぞ!ジオンより歳上だ!」


「え、ええ!?

そ、それは…ゴメンなさい…」



24って…私よりも歳上じゃないですか!?

そ、そんな…



「ご、ゴードン殿?

なぜ不幸をくらったレイト殿のような顔をしている?」


「えっ!?私あんな酷い顔してましたか!?」


「オレが言うのもアレだが…

お前、黒毛のこと嫌いなのか?」



☆☆☆



それから私たちは屋敷に上がらせてもらって、お茶をご馳走になった

ジオンさんはお土産のお菓子を渡すと、彼は無言で受け取ってクールに振舞っていたけど、少し頬が綻んだのを私は見逃さなかった


屋敷の中は外ほどボロボロではなく、意外と小綺麗になっており、使用人さんたちのお出迎えもとても礼儀正しい


礼儀正しい…のだが、使用人さんたちのほとんどがスラム街の門番の人のような屈強な見た目をしていた


うーん…街や屋敷の雰囲気とチグハグしてるように感じますね…


そして私たちは先ほどジオンさんが言ったことについて詳しく説明した



「そうか…

オットー町()被害を受けていたのか」



…?ちょっと気になる返しのような…



「ええと、その…

『も』とはどういう意味でしょう?

良ければ教えていただけませんか?」



彼を怒らせないよう下手で問うと、目をつぶってしばらくの間を空けた

ま、また怒らせてしまったのでしょうか!?



「それを教える前に…

貴方はシルヴィア殿、リック殿…だな?

先ほどの件について謝罪をさせてくれ。

いきなり襲いかかってしまい申し訳ない」



彼はそう言うと、地面に頭を擦り付けた!?

な、なにを!?



「おう、分かってんじゃねェかチビ狼。

テメェの犯した行動に詫び入れられるのは、ホンモノの男だぜ」


「リック!!

貴方こそさっきから失礼なことを言ってるのを謝りなさい!

あ、あの、頭を上げて下さいテオさん!」



リックとは付き合いが長いけど、冒険以外で関わるとこうなるからあまり連れて来たくなかった

この男には一度マナー講座を受けてもらいたいものです



「いや、フランクに接してくれるならこちらもありがたい。

改めて、俺は『テオ・マスカット』。

見知りおき願うぞ」



今度は土下座ではなく、フサフサの耳と一緒にペコリとお辞儀をした


いちいち行動の一つ一つが私の心を刺激する…

……くっ、なぜこの見た目で私より歳上なのでしょうか!

もし子供だったら…



「おい栗メガネ。

なんでヨダレ垂らしてやがる?」


「ハッ!?じゅるっ…す、すみません!」



慌てて口元を拭うと、テオさんの目つきが真剣なものになった



「先ほどの質問に答えよう。

実はここ最近、国内の村や町で魔族の襲撃が相次いでいるらしい。

今のところ壊滅したというような目立った被害は無いが、この王都も狙われていると噂が立っている」


「「「!!」」」



な!?

やはり…!

フレデリカさん達の話を聞いた時から薄々予想はしていた


魔族の国(アルケイン)』はこの国を落とそうとしている?


やはり、オズベルクさんの『千里眼(ボヤンス)』で見たあの二人の騎士は魔王だったのだろうか…


でもそれならなぜ、部下と行動せずにたった二騎で乗り込んだのだろう?



「俺も聞くが、力を借りに来たと言ったな。

お前の町が無事ならなぜここへ来た?

大体、そっちと違ってこっちは没落寸前の貴族だぞ?

俺の力なぞたかが知れている」



テオさんはジオンさんに若干の嫉妬の目を向けていた

…ふむ、友人とはいえ色々複雑なようですね



「はぁ、またそれか…

何度も援助すると、僕も父も言ってるのに君が聞かないだけではないか」


「当たり前だ!

俺は…お前とは対等の立場でいたいんだ。

金を受け取ってしまったら…それは対等ではなくただの『契約』だ」



テオさんの小さな手はブルブルと震えていた

若くして家を継ぐ…その葛藤は私のような凡人には理解できないものなんだろう



「ふう…その話はまた今度にしよう。

実はこの王都でも異変が起きている。

僕たちはそれの調査に来たんだ。

ランボルト殿、『薬』は持って来ているかい?」


「おうよ」



私たちは『シード』に関する情報と、入国した目的も一緒に説明をした


人狼(ウェアウルフ)』の亜人との出会いが、私たちをおぞましい闇の裏社会へ誘っていることをこの時はまだ知りえなかった




こんにちは、黒河ハルです。

貴重なお時間を消費して読んでくださり、とても嬉しいです!


また新しいキャラが登場しました!

見た目は子供ですが、やる時はやる、度胸のある『男』として表現しようと思っています!


「続きを読ませろ!」と思った方は、ぜひブックマーク、並びに下の☆を『5つ星』お願いします!

何卒、なにとぞっ!底辺作家めにお慈悲を…!!


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