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スター・スフィア-異世界冒険はおしゃべり宝石と共に-  作者: 黒河ハル


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第60話:竜ノ矜恃

☆間宮 零人sides☆



「デ、デビル・ジョー…?

ドラゴン族にそんな奴がいたのか…」



おっさんの警告を受けて駆け付けたが、間に合わなかった


紫のエネルギーを纏っているこの恐竜モドキは見れば見るほど、身体の奥底から生理的な嫌悪感が湧き上がってくる…!


アゴの形が歪だ…

身体の形は恐竜なのに、アゴが3つに別れており、それぞれ岩石すら噛み砕きそうな鋭い牙が並んでいる

あんなもんに食われたら一瞬でひき肉にされそうだ



「レイト!

この魔族…気をつけなさい。

ただのドラゴンじゃないはずよ」


「フレイ…?

そういえばお前とルカはなんでこの魔物知ってんだ?」


「私は例の魔物リストで知識を得ている。

シュバルツァーも同じだろう?」


「ええ…だけど、私は少し違う。

昔、パパに聞かされたことがあったわ。

魔王の城には『悪魔(デビル)』の力を宿している魔族が何体か居たって…

その中にはドラゴンも含まれていたわ」



な、なんだと!?

こんな奴が何人も魔王ん家に居るの!?


…ん?待てよ…

そういえばイザベラの奴も同じように変身してたな

てことはあいつも『悪魔(デビル)』持ちか!



「冥土の土産ニ教えテやる…

我が名は魔王が下僕『ガイア』。

我ガ主の()()ノ邪魔はさセン!!

こコで滅ぼシテくれル!!」


ブシャア!!


狂った声色で叫ぶと、背中から黒色の『触手』が血しぶきと一緒に生えてきた!

な、なんだこりゃあ!?



「う、うわああああ!!」



そのグロテスクな造形に恐怖心を駆られたヴァイパーの1人が、一目散に逃げ出した



「逃ガさんト言っタハずだ」


「ひいいっ!?」


ギュルルルル!!


触手が真っ直ぐに伸び、逃げ出した男を捕らえた!

そして伸びた触手は引っ張ったリールの如く、歪な口を開けたガイアの上に戻っていった


やべぇ!



「我が糧トなる事ヲ光栄に思ウがいい」


「くっ、喰われる!?助けてくれぇぇぇ!!」


ブン!


「離せ!!」


ドゴッ!!


「ムウッ!?キサまカ…」



触手に蹴りをお見舞いすると、僅かに拘束が緩んだ

その隙を見逃さずに、すかさず男を引っ張り出し、モネたちが待機している所へ転移(テレポート)させる



「零人。全員を転移(テレポート)する余裕はないぞ。

エネルギーの残量に気をつけるんだ」


「うん、分かってる…

おい!お前ら!

俺が時間を稼ぐからさっさと逃げろ!」



ありったけの声で下にいる奴らへ言うと、やっぱりというか予想通りの人物達がNOを示した



「カッコつけてんじゃないわよ!

毎回毎回あんたに闘わせるわけないでしょ!」


「ああ!魔族がなんだ!悪魔(デビル)がなんだ!

絶対に私は逃げたりなど…」


ブン!


ナディアさんが言い終わる前に2人を転移(テレポート)させた

…俺じゃなくてルカが



「あとで殺される…」


「緊急事態だ。きっと分かってくれるさ」


「この見た目だと俺がやったみたいだろ!」


「レイト君!後ろニャ!」



セリーヌが指をさした先には、先ほどの黒い触手が俺を捕らえようと迫ってきていた


ブン!


転移(テレポート)で回避し、セリーヌの隣へ出現する

するとセリーヌは少し肩を落としながら、俺の手を握ってきた



「レイト君…

一緒に考えた『ばーじょんつー』、変身したら簡単に破られちゃったニャ…」


「マジか。まぁそんな気を落とすなよ。

次また新しい技考えようぜ。

まずはこっから皆を逃がすぞ」


「ガッテンニャ!」


パアァ…!


いつもの元気良い返事をすると、セリーヌは白い光と共に『妖精猫(ケット・シー)』に変身した



「へっ!?ケッ、『妖精猫(ケット・シー)』?

小娘、お前魔物だったのか!?」



突然の変身にみんながぶったまげた

もちろんマルクスさんもだ



「えへへ、隠しててゴメンなさいニャ。

でも、あたしは人間の味方ニャ!

ここはあたし達に任せて、早く逃げるニャ!」


「す、すまねぇ…!」



セリーヌが小さいながらも強く頼もしい声を掛けると、皆が四方八方バラバラに駆け出して行った

なるほど、退却するときの作戦もちゃんとあったんだな


しかし、マルクスさんは動かずに皆を見送っている…

あれ、どうしたんだろう?



「あの、マルクスさん?

あなたは退却しないんですか?」


「団長が部下より先に逃げては示しがつかないだろう。

俺も貴方たちと一緒に殿(しんがり)を務めるさ」



マルクスさんは毛皮のコートを翻して大斧を地面に突き立てた

3人いればなんとか時間稼ぎにはなりそうだな



「小賢シい真似を…

ドコに散らバロウがこノ姿ヲ目にシタ以上、全員殺ス!」


ドンッ!!


「なっ!?あいつ!」



俺たちを飛び越えて、後ろに逃げていった冒険者を追いかけやがった!

この野郎!!


ガシィ!!


「おっと!無視は困るな。

しばらく俺たちと遊んでもらおうか」


「…!?離セ!」



マルクスさんがガイアの尻尾を掴んで動きを止めた!

両足を地面にめり込ませて踏ん張ってる


すげぇ!リックみたいだ!



「マルクス君!そのまま掴んでてニャ!」



猫形態のセリーヌの姿が一瞬、霞がかった


ヒュンッ!


「リベンジかましてやるニャ…

鉄線拘束(ワイヤー・バインド)』!」


シュルルル!


「グッ!?マタもヤモ…!」



セリーヌはワイヤーを巨大な二本足に巻き付けて更に動きの自由を奪った!

イザベラ戦を再現したみたいだぜ


だけど、今回は必殺技を撃ってくれる魔法使い(シルヴィア)が居ない

肉弾戦で何とかするしかない!



「脆弱性のあるポイントを視界にマーク。

動きが止まっている今なら狙えるが…」


「ああ…ステゴロじゃ傷すら付けられないな」



ルカが俺より早く『ドラゴンの逆鱗』…引いては脆弱性のある箇所を突き止めてくれた


場所は人間でいうと胸あたりの位置だ

高い場所だが、宙を飛べる今は狙うのは楽勝だ


しかし、得物がないと確実にダメージを伝えられない


よぉし、それなら…!


ブン!


「せぇい!!」


ゴッ!!


「グアアアアアア!!!

きサマァ…!何故我が逆鱗ヲ!?」



蒼くマークされた鱗へ蹴りを食らわすと、痛いもんは痛いようで、少しよろめき始めた

さて、いつもの煽り開始だ



「あれぇ?ガイアくん、こんなとこ弱いの??

なんだ、『悪魔竜(デビル・ジョー)』なんて大層な種族名のわりに大したことねぇな!

部下がこのザマなら『紅の魔王』はきっとクソザコなんだろうよ!!」


「……!!!我が主ヲ愚弄スるか!

コロすッッッ!!!」


ドガッ!


「がっ!?」


『お前のかーちゃんデベソ』作戦は幸をなしたが、巨大な頭部を振り抜いて、俺にぶつけてきやがった!

衝撃はうまく逃がすも、体勢が崩れされてしまう


グシャア!!


そして背中にある触手を全て俺に差し向けてきた!


うっ!?やべ、思ったより動きが速い!



「『大斧空舞(アクス・エアロンド)』!」


ザシュ!!


下にいるマルクスさんが斧を投げ、迫っていた触手をぶった切った!

た、助かった…



「レイトさん、大丈夫か!?」


「はい!あざっす!」


パシッ


投げた斧は回転しながら再びマルクスさんの手へ戻っていった

おおっ!ブーメランみたい!



「コノ程度…フンッ!」


ブシャア!


「「なに!?」」



触手が生え変わりやがった!

反則だろあんなん!?



「ニャるほど…

これならどうかニャ?

毒麻痺(ヴェノスト)』!」


ヒュッ!


セリーヌが小さなナイフを触手に投げる

サクッと突き刺さった箇所から徐々に毒々しい色に変色していった!


なんだあの技!?



「ガ、ガ…身体ガ…?動カな…!」


「零人!チャンスだ、追撃しろ!」


「あ、ああ!」


ブン!


再び弱点のある胸部へ転移(テレポート)し、呼吸を整える



「こぉぉ…」



そしてエネルギーを両脚に集中させた



「うおおおおお!!!」


ドドドド!!


今の俺ができる、渾身の連撃を逆鱗にぶつけた


回転、回転、そして回転…

目が回るのも厭わずとにかく身体を回転させ、ありったけのキックを弱点に集中させる



「ガアアアア!!

オノれェ!!調子に乗ルナ!!」


ドン!!


短くなった前脚で俺を弾くと、上方にジャンプして無理やりセリーヌの拘束を剥がした!



「なっ!?」


「ニャッ!!跳んだ!?」


「避けろ!下敷きにされるぞ!!」



巨体が太陽の光を遮り、まるで空が落ちてきたかのような錯覚を覚えた

竜が降ってくるなんて、俺にとっちゃ隕石が飛んでくるより最悪だ!


ボォォンンン…!!!


くう!?爆発したみたいな衝撃だ!

俺は慌てて上空に回避したけど皆は!?


上から探すと離れているが、2人を確認できた


仄かに安堵感を感じるやいなや、違う場に居る2人がほぼ同時に叫んだ



「「後ろ!!」」


「え?」



振り向いた瞬間、目の前に血濡れの触手が現れた

は!?アイツ下にいる…


ギュル!


「「レイト(さん)!!」」



不意をつかれて捕まっちまった!

俺の全身に巻きついてその場に浮遊したまま留まった

クソッ!動けねぇ!



「手こズラせてくれル…

ようヤク捕らエタぞ」



ガイアはノソッとゆっくり巨体を起こすと、歪な頭部を向けた


…!!

そうか、そういう事か!



「なるほど…

あの触手の器官は背中から切り離しが可能らしいな」


「うえぇ…

背中んとこグチャグチャしてて、気持ち悪い…」



ガイアの脊椎に当たる部分がえぐれたように肉の内側が見え、しかも血みどろだ

グロい…



「マズはキサまカラ喰らっテヤろう!」


ドン!


再度大ジャンプをすると、3つのアギトを展開して俺に迫ってきた!


ひっ!?


「零人!」


座標を…いや、間に合わ…



「『雷雨落とし(ライトニング・レイン)』!」


ビビビビッ!


突然、俺の頭上から水と雷を纏っている矢が複数飛来した

そしてその矢は、俺を避けるように軌道を変え大口を開けているガイアに全て降り注いだ



「ゴアアア!?なんダコレはァァ!」



ガイアは予想していない攻撃を受け、たまらず地面へ墜落する

この攻撃は…!



「レイト!」


「フレイ!?…え」



バサッ!バサッ!


攻撃の主はフレイだが、声の聞こえてきた方向がおかしい


真後ろだ…

なんで俺と同じ()()から聞こえてくるんだ!?

しかも羽ばたき音まで聞こえてくる…



「マミヤ殿!動くなよ!

炎幕(フレイム・ヴェール)』!」


ジュウウウ!!


今度はナディアさんだ!

だからなんでその位置から声が聞こえてくるんだ!?


俺を拘束していた触手が、焼けながら下に落ちていく


位置の疑問の答えを確認するために振り返ると、簡単なことだった



「無事カ、レイト。

貴殿ラノ働キデ他ノ者ハ全員退却二成功シタ。

アトハ貴殿ラ3人ダケダ」


「おっさん!」



ドラゴン形態に変身したおっさんが、フレイ達を乗せて来てくれた!

おっさんを助けに行ったのに逆に助けられたな



「レイト。2人ヲ頼ムゾ。

我輩ハ下ノ者タチヲ助ケテコヨウ」


「え?頼むって…うおっ!?」


「きゃあああ!?」


「うあああ!?なにをっ!?」



おっさんは身体に乗せた彼女らを両手に掴むと、俺に向けてぶん投げた!


ちょお!?


ガシッ!


慌てて2人を受け止めて、それぞれ片腕ずつ彼女達を抱くとジタバタと脚をばたつかせた

やべぇ、これきっつ…



「やっ、やだ!落ちる落ちちゃう!」


「まっ、マミヤ殿!離さないでくれ!

私高い場所は苦手なんだ!!」


「わ、分かりました!

だから2人とも暴れないで!

おも…」


「「ああ!?」」



余計な一言を言ってしまい、さらに暴れさせてしまった



☆セリーヌ・モービルsides☆



オズおじさんのおかげで、上空でピンチだったレイト君はなんとか助かった…


ホッ…


「おノレ!『海竜(リヴァイアサン)』如キが!」



下に突き落とされたドラゴンは余程腹が立ったのか、周りの岩山に当たりちらして破壊を繰り返した


ニャア…気を取られている今のうちに…

そーっと…


パキッ!


あ!?何か踏んじゃった!

これ…あいつの鱗!?

レイト君みたいなことしちゃった!



「ヌっ!?キサまは…『猫妖精(ケット・シー)』!

ソコを動くナぁぁぁ!!」


「ニャアアア!!?」



ドラゴンはあたしを見つけると、大きな口を開けて追いかけてきた!!

なんであたしの毒食らったのにあんなに動けるニャ!



「セリーヌさん!はああああ!!」


ギャイン!!


「マルクス君!」



横から飛び出してきたマルクス君が、斧をドラゴンの横顔に叩きつけた

パワー満点の攻撃ニャ!



「なるホド…キサまモ居タな、『山人(ジャバウォック)』。

ナラば、マトメて喰らッテやろウ!!」


バシッ!!


「ガハッ!」



身体を回転させて強靭な尾をマルクス君にぶつけ、あたしのそばに吹っ飛ばしてきた!

そして、再び三又に分けた頭部を開きながらこっちに突進してきた


ヤバいニャ!逃げないと!



「マルクス君!起きるニャ!

あいつ来てるニャ!」


「俺はいい!

貴方だけでも逃げろ!」


「でも!!」


ドォォン!!


突然、ドラゴンの上に何かが突っ込んできた

碧い鱗……オズおじさん!


おじさんはドラゴンの首に食らいつき、そのままあたし達から守るように、反対方向の岩盤へ投げ飛ばした!


ガラガラ…


ドラゴンは瓦礫を払い除けて、おじさんを威嚇する



「キサマァ…!

竜の誇リヲ忘れタ異常者が…!

何故ソコまで人間ノ味方ヲすル!」


「無論、世界ノ調和ノタメダ。

ソレニ貴殿二言ワレタクハナイガナ。

ソノ力…『悪魔(デビル)』二手ヲ出ストドウナルカ…

知ラヌハズハアルマイ?」


「ダマれぇッ!全テは我が主ノ為に…!

貴様ノようナ半端者ナど喰ラッてくレル!」


ブシャア!


ドラゴンの背からまた触手が生えてきた!

あ、あんまり見たくないニャ…


「『半端者』…

確カニ貴殿ノ言ウダ。

我輩ハ竜トシテ有ルマジキ行為ヲシテイルノカモシレン」


「貴様ノ懺悔なド聞クに耐エン!!

黙ッて死ヌガいい!!!」



また突進して来たニャ!

おじさん!!



「ダガ…」


キィィン…!


「呪ワレ、誇リモ失クシタ『半端者』ノ我輩ニモ、『竜ノ矜恃』ダケハ…!!

今ダコノ身二残ッテイル!

オオオオオオオン!!!!!」


ビリビリ…!


す、凄い咆哮ニャ…!

こんなおじさん、見たことない…

そして次の瞬間、魔力(マナ)の流れが一変した



「『流水覚醒(アクア・ブレイク)』」



静かに魔法名を口にすると、おじさんの鱗中から水の魔力(マナ)が溢れてきた!

覚醒(ブレイク)』って…もしかして!



「それがナンだ!?食らっテヤる!!

竜喰(ドラグ・イーター)』!」


「格ノ違イヲ見セテヤロウ。

流水破撃(アクア・ブラスト)』!」



おじさんの目の前に巨大な球体状の魔力マナの塊が現れ、口を開けたドラゴンにぶつかった!



「ガアアアア…!!こ…ノ程度…!!」


「ココハ人ノ住ミシ場所。国ヘ帰ルガイイ」


カッ…ドオオオン!!


「ニャア!?」


「ううっ!?」



魔力(マナ)が、爆発した!?

爆破の力で悪魔竜(デビル・ジョー)は上に吹っ飛んだ



「『水流星(アクア・シュート)』」



浮いた巨体に水の魔力(マナ)を纏わせると、上空に向けてそのまま撃ち出した!

あんなおっきいのに軽々と持っていったニャ!



「ガァァ…!コノ屈辱…必ず晴ラス!!

再びまみエル時ヲ待ってイロ!!」



煌めく水の魔法に包まれた悪魔竜(デビル・ジョー)は、はるか彼方の地平線へ消えていった






こんにちは、黒河ハルです。

貴重なお時間を消費して読んでくださり、とても嬉しいです!


今回はほぼ戦闘シーンですね!

オズおじさんの逆襲です笑


「続きを読ませろ!」と思った方は、ぜひブックマーク、並びに下の☆を『5つ星』お願いします!

何卒、なにとぞっ!底辺作家めにお慈悲を…!!


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