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スター・スフィア-異世界冒険はおしゃべり宝石と共に-  作者: 黒河ハル


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第57話:ヴァイパーのリーダー

「…人。…人。…きろ」



馴染みのある声が耳から染み渡る

もっと聴いていたいけど、何かがおでこにコツコツ当ててきてる…

しかも何か身体が揺れてるような…


…………………………


「ん…?あれ、ルカ?」


「やっと起きたか。

先ほどは災難だったな零人」



目を開けると、宝石形態のルカが俺の目の前でふよふよ浮いている

ここはキャラバンの中か

フレイ以外のメンバーが全員いる

あいつは運転中か?


…………………………………………


はて、なんで俺はここに居るんだったか



「えーと…

俺ら確か、お使いクエストしてたんだっけ?」


「…マミヤ君?現実逃避はダメだよ。

今からドラゴ…「ナディアさん、水取ってくれますか」えぇ、無視!?」


「マミヤ殿…先ほどはすまなかったな…

また貴公に迷惑をかけてしまった」



ナディアさんが水筒を渡すと同時に、申し訳なさそうに目を伏せた

あー、そういえばさっきヘッドロック決められたんだっけか



「あはは、気にしなくても大丈夫ですよ。

人間なんだから人生、気絶の一つや二つくらいするもんですよ」


「いや、普通はしないと思うよ…?

それより今からボクたちは…「あ、セリーヌ、そういえばさぁ…」だからなんで無視するの!」


「ぐえっ!」



天パ女のモネさんが腕をつねってきた!

しぶしぶそちらに意識を向けると、頬を膨らせつつ経緯を語りだした



「まったくもう!いい?

今からボクたちは、グロック岩場に行くの。

フレデリカ君がヴァイパーの人にこっちの事情を説明したら、とっつぁんは助けてくれるってさ」



チッ…すっとぼけてもやっぱりダメか

結局ドラゴンとの戦闘は避けられないようだ


けどマミヤ邸の地下トレーニング室で、俺ら全員を相手取りながら軽くあしらったあのオヤジが負けるとは思えないんだよな



「おっさんなら大丈夫な気がすっけど…」


「忘れたのか零人?

ダアトは呪われていると言っていたではないか」



呪われ…

思い出した、そっか…おっさんは自分以外の生き物を殺すことができないとかなんとか言ってたな

具体的にどんな呪いなのか分からないけど…



「敵が殺意を持って向かってくる状況など、オズベルク殿からすれば明らかに不利な展開だ」


「そうニャ。

それにきっと…オズおじさんは村を守るために闘っている気がするのニャ」


「なるほど…」



人里を守るためにドラゴンがドラゴンを相手取るか…

そんな状況ならたしかに放ってはおけない

腹を決めて、みんなに顔を向ける



「はあ、ぶつくさ言っても仕方ねぇか。

それで肝心の作戦会議はどうなった?

『ヴァイパーの爪』と冒険者の連中で闘うことになってるんだろ?」


「「「…………」」」



あれぇ?

なぜかみんな黙ってる…

え、なんでそんな可哀想な目で俺を見るの?



「く、詳しい内容は現地に着いてから話そう!

それより、マミヤ殿!肩は凝っていないか?

たまにはマッサージをしてあげよう!」


「あ、それならボクもしてあげる!

ほらほら、ここに寝そべって!」


「レイト君、お菓子食べるニャ?

あたしのとっておきだけど全部あげるニャ!」


「は!?なに!?

何でみんな優しくするの!?

怖いんだけど!!」



いったいこいつらどんな作戦立てやがった!?

またろくでもない展開になりそうな予感がする…



☆☆☆



それから数分キャラバンの走行に身体を揺らしているうちに、とうとう現場まで到着してしまった

隊列を作っていたキャラバンを降りると、ヴァイパーの団長さんがすぐに集合命令を掛けた



「目標の『黒竜ブラック・ドラゴン』は今だに『海竜リヴァイアサン』と交戦中の模様!

やや黒竜ブラック・ドラゴンが押していると見ます!」


「そうか、報告ご苦労。

お前も隊に戻ってくれ」


「了解!」



先に偵察を行なっていた『斥候スカウト』の団員がリーダーのマルクスさんに報告をしている



「あの『海竜リヴァイアサン』が人と共生してるなんてな。

俺は傭兵業は長いがそんなの初めて聞いたぜ」


「たまにクルゥみたいに人懐っこい魔物もいるからな。

そいつもそのタイプなんじゃないか?」


「ガハハ!

今夜の酒場で話す話のネタは決まったな!」



他のパーティーの冒険者がヴァイパーの団員と楽しそうに会話している

あれ、コイツら村で黒竜ブラック・ドラゴンにかなりビビってた奴らじゃなかったか?


というか降りてから妙だ

これからあの恐ろしいドラゴンと闘うってのに冒険者組はもちろん、ヴァイパーの連中も団長以外緊張感が感じられないというか、余裕そうだ



「さて、これより『黒竜ブラック・ドラゴン』の討伐に取り掛かるが、全員作戦内容は頭に入っているな?」


「おう!一時はどうなるかと思ったが、やっぱり今回のクエストは美味しいぜ!」


「ああ!なんてつってもここには…」


バッ!


突然、その場に居た全員が俺の方を向いた!

え、え、え!?なに!?



「単独で『黒竜ブラック・ドラゴン』と『地竜グランド・ドラゴン』、それにベンターお抱えの『怒れる竜(ニーズヘッグ)』までぶっ飛ばしちまったマミヤ・レイトさんが居るからなぁ!!」


「「「おおー!!!」」」



はああああああ!!!!???

何だそのデタラメは!!


呆然としながらフレイ達の方を見ると、みんな目を逸らしやがった

まさか、お前らの仕業か!?



「おいいいい!!?

どうなってんだコレ!?」



慌てて状況説明を求めると、醜い罪のなすり付けが始まった



「わ、私は悪くないぞ!

全部フレイ殿が話したんだ!」


「ちょっとなに言ってんのよ!?

あんたも得意げにレイトのこと自慢してたじゃない!

炎獣イフリート』と闘ったこともペラペラ話して!」


「フレイちゃんも負けてないニャ!

レイト君の闘ってる姿がすごくカッコいいとかなんとか…」


「セリーヌ君も『吸血鬼ヴァンパイア』のことまで言わなくても良かったんじゃない?

傭兵団の人、お株を奪われたーって悔しがってたよ」



ギャアギャアとたがいを責め立てている…


訳が分からんのでルカの方に目を向けると、宝石形態でも分かるくらいバツの悪い様子だった



「実は君が気絶したあと、シュバルツァーがすぐに海竜ダアトの事情を申し出たのだ。

その際、そのドラゴンがこちらの仲間だと証明に足る証拠が必要だった」


「証拠?

それがなんで俺が担ぎあげることになってんだよ」


「それが…たまたまヴァイパーの団員の1人が、零人の例の噂を知っている者がいてな。

その真偽を問われたシュバルツァーは必要以上に話を盛ってしまったのだ」


「ええ!?」


「それに続くようにあいつらは次々と零人の武勇伝を伝え出し…これに至るというわけだ」



はあ!?

人が眠ってる時に何好き勝手してくれてんだこのクソアマども!



「少しいいかな?」



憤慨していると、いつの間にか団長のマルクスさんがこちらにやって来ていた

鍛え抜かれた肉体にそぐわぬ爽やかな笑顔で右手を差し出してきた



「先ほどは挨拶が遅れたな。

改めて、俺はマルクス・ボーガン。

本日はよろしく頼む、レイトさん」


「い、いえー…こちらこそ…

じゃなくて!マルクスさん!誤解です!

アイツらがどんな風に俺を紹介したのかは知らないですけど、俺にはドラゴンをやっつける力なんて無いです!」



出された握手に応えつつ必死に釈明すると、マルクスさんは吹き出すように笑い飛ばした



「ハッハッハ!分かっているさ。

実は貴方のことはウィルムさんから文通で少し聞いていたんだ。

異世界より来訪した面白い若者が居ると。

よもや今回の任務で貴方だけではなく、ご息女のフレデリカさんとも会うとは思わなかった」


「へ?そ、そうなんですか?

だったらなんで、この人達は俺のことこんなに持ち上げてるんですか?」


「それに関しては…

ちょっと耳を貸してくれ」



マルクスさんは俺の耳に顔を寄せると小声で説明してくれた



「実は俺も含め、『黒竜ブラック・ドラゴン』と闘った者はいないんだ。

しかし、貴方とフレデリカさんは交戦経験があるだけではなく、退したのだろう?

そこで、貴方たちには申し訳ないが先陣を切って部下と冒険者たちを勇気づけて欲しい。

ヴァイパーを率いるリーダーとして、部下の士気はできるだけ高めておきたいんだ…」


「………!」



せ、先陣を切る!?

真っ先に立ち向かえってこと!?

それに『討伐』じゃなくて『撃退』と言ったあたり、正確な情報を把握はしてるんだな


マルクスさんは離れると、背中の大斧に手を掛けた



「もちろんその際は俺も共に闘う。

蜥蜴人リザード』程ではないが、俺たち『山人ジャバウォック』も身体の頑丈さには多少自信がある。

貴方を守る盾くらいの役割にはなれるはずだ」


「マルクスさん…」



やはりこの人は『山人ジャバウォック』だったのか

耳が尖っている所など『森人エルフ』と少し容姿が似てるが、最大の違いは額から触覚のような部位が生えていることだ

たしか狩りが得意な人種ってガルドで習ったな



「団長!こちらの準備は完了!

いつでも出撃可能です!」


「分かった。すぐに行く。

みんなに声を掛けてくれ」


「了解!」



ヴァイパーの1人がマルクスさんに報告すると同時に、ルカがコツンと頭に乗っかってきた



「君も思うところはあるだろうが、今回は彼を…ボーガンの顔をたててやろう。

借りを一つ作っておいて損は無いはずだ」


「はぁ…しゃあねぇな。

ついでにあの女どもからも迷惑料請求してやる」


「ふふ、その意気だ。

さぁ、私たちの力をヴァイパーと冒険者たちへ見せつけてやろう!」



そうして、この世界にやって来てから何度目かのドラゴンとの闘いが始まった




こんにちは、黒河ハルです。

貴重なお時間を消費して読んでくださり、とても嬉しいです!


零人が眠っている間に、フレデリカ達は彼についてあることないことをヴァイパーの爪と冒険者たちに伝えてしまいました。

思わず興が乗ってしまったのでしょう!

許してあげて零人くん!


「続きを読ませろ!」と思った方は、ぜひブックマーク、並びに下の☆を『5つ星』お願いします!

何卒、なにとぞっ!底辺作家めにお慈悲を…!!


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