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スター・スフィア-異世界冒険はおしゃべり宝石と共に-  作者: 黒河ハル


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第41話:ナディアの望み

「作戦開始。

まずは2人と連携して奴の隙を作り出す。

エネルギーは節約して近接で仕掛けるぞ」


「怪我人によくもそんな命令してくれるな!

やっけどさぁ!」



俺とモネより先に踏み込んで行ったザベっさんが、『覚醒(ブレイク)』状態のナディアさんと激しい剣戟を演じていた


ガギン!!


「「エルフノ娘。汝ノ剣技…見事ダ。

ダガ、ソノ武器ハ…身体ノ殺傷ガ目的デハナイナ?」」


「仰る通りでございます。

お客様に傷を付けるなど、もってのほか。

私の標的は『あなた』です」


ギュイン!


鍔迫り合い状態から、互いに得物を走らせ火花と共に間合いを空けた


…ザベっさん、すげぇ戦闘センスだな

下手したらフレイより強い…?



「行くよ、ナディア君!『嵐砲撃(エリアル・キャノン)』!」


ボォォン!!


モネが両手から風の魔力(マナ)を凝縮した、巨大なエネルギー球をナディアさんにぶつけた


ちょ…すごい威力なんだけど!

ナディアさん大丈夫なんだろな!?



「「中々ノ威力ダ。私ニハ効カヌガナ」」



ケロッとしてやがる!

どうやら後ろの炎獣(イフリート)が攻撃を防いだようだ


…集中しろ

一瞬でもいい、なんとか隙を見つけるんだ!



「はぁッ!!」



ファルシオンを構え、ナディアさんへ斬り掛かる


キィン!


今度は俺が彼女と鍔迫り合いになった


…!?

あっつぅぅ!!!


覚醒(ブレイク)』してるナディアさんの身体は、超高温と化していた

ザベっさん熱くなかったのか!?



「「汝モ肉弾戦デ私二挑ムカ。良カロウ」」


ボゥッ!


ナディアさんは、さらに灼熱になった魔力(マナ)を右脚に集中し始めた


くっ!ヤバいッ!



「「『炎撃(フレイム・インパクト)』」」


ドゴッ!


鋭い正面蹴りが、俺に突き刺さるようにヒットした


ボォン!


その刹那、脚先からエネルギーが爆散した!


爆風の勢いに押され、たまらず地面を転がる



「マミヤ君!大丈夫!?」


「…大丈夫だ。…ん?あぁっ!?」



キックを防御するため盾にした俺のファルシオンが、ブスブスに黒焦げにされてしまっていた


う、うそ…



「「コレデ終ワリダ。『炎舞闘(フレイム・ワルツ)』」」



炎に包まれた大剣を水平に構え、竜巻のように回転しながらこちらに向かってきた!

まずい!転移(テレポート)する時間がない!



「零人!恐れるな!

ダアトとの訓練を思い出せ!!」


「……!分かった!

エネルギーのコントロールは頼んだぞ!」


「了解だ!」



ルカの檄で思い出した

そうだ、俺の武器はファルシオンだけじゃない!


ファルシオンを捨て、右脚を引きながら両手を構える



「レイト様!お逃げを!」


「マミヤ君!?まさか…」



まだだ…

ギリギリまで攻撃を引きつけるんだ

もう少し…!


チリ…


「今だッ!踏み込め零人!」


「…っ!おおおお!!!」



大剣の切っ先が俺の前髪を僅かに焦がす瞬間、一気に間合いを詰めた

そして、大剣を下方に避けながら、彼女の腕を掴む



「『流水反撃(アクア・パリィ)』!」


ブォン!!


「「ムウッ!?」」



回転している勢いを利用し、体勢をあさっての方向へと崩す



「お見事です、レイト様!『(ファン)(トム・スラ)(ッシュ)』!」


ザシュッ!!


ザベっさんが炎獣(イフリート)の頭部に霊力(エーテル)の剣で斬りつけた



「「グウ!?コレハ…!」」



ザベっさんの推測が当たった!

効果は抜群みたいだな



「まだまだぁっ!『嵐回転撃(エリアル・トルネード)』!」


ドン!ドン!


続けてモネが、渦巻き状の風の魔力(マナ)をナディアさんに向けて2つ撃ち出した



「「コノ程度…!…ッ!?ナニ!?」」



渦巻きを弾こうとしたナディアさんの大剣は、風のイタズラに巻き込まれて数メートル先へ飛んでいった!


ブォッ!!


「「グッ…!!」」



さらにもう1発がナディアさんにぶち当たった

大剣と同じように、彼女もまた空中へと投げ出される


……ここだ!



「ルカ!」


「分かっている!」


「「『融解(メルトロ)』!」」


ボン!!


空中戦モードに移行し、完全に無防備になったナディアさんの後ろの近くへ座標をセットする


そして、残り僅かな蒼のエネルギーを全て右拳に込めた


ブン!


「「クゥ!ドコヘ…ハッ!?」」


「ナディアさんを…返せぇぇぇ!!!」


ボゴッ!!


「「ガハァ!!」」



当たっ…た…!


やべ……力が…



「……!いけません!

あのままでは双方とも墜落してしまいます!」


「マミヤ君!ナディア君!」



2人の怒声が下から聴こえる…


クソ…

着地の分までエネルギーを残すべきだった…


パシッ!!


……?

地面に落ちてない…


なんだこれ…温かい



「グルルル……」


「…!?お前…」



炎獣(イフリート)が俺とナディアさんをそれぞれ両手で受け止めていた


助けてくれたのか…?



「「見事ダ……マミヤレイト、蒼ノ宝石。

汝ラノ絆、シカト見セテモラッタ」」


「ナディアさん!?」



反対の手に掴まれたナディアさんは、ぐったりとした表情で喋り出した

相変わらず金色の瞳はそのままだ


炎獣(イフリート)は、俺とナディアさんを近くに降ろした



「零人…すまない。

活動限界だ…しばらく眠らせてもらう」


「あっ…!」



宝石の形態になったルカが、俺から抜け落ちるように足元に転がった

慌てて拾い上げる



「ありがとう、ルカ…」



今回もまたルカに助けられた

いや、ルカだけじゃない


ザベっさんとモネが居なければ、とてもじゃないけど適わなかった



「もう〜、焦ったよ!

いきなり落っこちてくんだからさ!」


「最後の一撃は完璧でしたが、些か詰めが甘かったようですね」


「……助かったよ、ふたりと…も」



あーやべ…喋る気力無くなってきた…

ていうか、背中の傷がまた痛くなってきた…


けど、まだ気を失うわけにはいかない



「それで、炎獣(イフリート)さんよ…

なんでこんなことしたんだ?」



短くナディアさんへ問うと、フラフラとこちらへ歩み寄ってきた



「「()トノ約束ダ。

ズット…ズット昔ノ」」


「友?」


「「ソウダ。

私ハコノヨウナ身ノタメ、今日マデ果タスコトガ叶ワナカッタガナ」」


「あぁ、そう…

それより早くナディアさんに身体を戻してやってくんない?」



まずい…意識がとびそうになってきた

せめて、彼女の無事だけでも見届けないと



「「モチロンダ。

ダガソノ前二、汝トナディアへノ『詫ビ』ヲシナクテハナラナイ」」


「詫びだぁ…?そんなのいいから早く…

お、おい、何してる…?」



ナディアさんは両手で俺の頬を包んだ

……まさか!!



「「コノ子ノ望ミデモアル。ンッ…」」


「「あ」」



唇にものすごく熱く、柔らかい感触が伝わってきた!

ウソだろ!またキス!?


シュウウ……


キスと同時に幽霊の炎獣(イフリート)は消えていき、超至近距離のナディアさんの瞳も元に戻った

そしてカッと目が見開く



「んむぅ!!?プハッ!なっ…なっ…」


「あ…あの…ナディアさん?これは…」


「マ、マミヤ…どの…う、うーん…」



召喚(サモン)してないのにも関わらず、真っ赤になったナディアさんはパタッと倒れてしまった


よ、よく気絶する人だな…


……って、他人事じゃない…

俺も……限界や…


バタン


「あっ!?

ちょっとマミヤ君!?ナディア君!?」




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