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よろしく。

彼女の口調はどうやらあせっているようだった。


チカラを移された自覚は俺には無いけどまず、やることは一つ。


「あのさ、悪いんだけど…。


俺の姿で女言葉はやめてくれねぇ?」


「え?あぁ、そっか。可笑しいよね」


ようやく彼女が顔をほころばせてクスクスと笑った。


俺も釣られて少しだけ笑う。


「でも、君も十分可笑しいよ?


だって女の子の姿で女の子の制服着てるのに口調が男の子だもん」


「そうだな…、でも今更口調変えるのには抵抗あるなぁ」


「じゃぁいいでしょ?


他の人の前でだけは外見の通りの口調にして二人のときだけは普段どうりってことで」


「…そうだな」


少しの間とは言え、これからはしばらくこの姿で生活しなければならないのだ。


出来ないようなら練習しなければいけないかもしれない。


これからは彼女の友達とも接しなくてはならないのだ。


出来るだけ彼女の口調を真似て…。


ん?彼女はいったいどこのクラスなのだろう?


よくよく考えれば俺は彼女の名前すら知らない。


彼女もおそらく俺の名前を知らないのだろう。


「後、君の名前は?


悪いけど俺、君の名前知らないんだ」


「そっか。


でも、知らなくて当たり前だよ。


もともとあたしはここの生徒じゃないもの」


「え?でも、ここの制服が…」


彼女は口元で人差し指を立てた。


するとふっと笑って今度は俺を指差す。


「今は君が持ってる力」


「は?」


理解が出来てない俺をじらすように手を後ろで組んで屋上のフェンスに寄りかかった。


「言ったでしょ?


天使の力は何でもできる、ってね」


…そういうことか。


ようやく悟った俺は彼女へと数歩近づく。


「『天倉 浩』だ。よろしく」


俺が手を差し出す。


「『宮野 葉月』です。よろしく」


俺の差し出した手を宮野か掴む。


制服を自ら作ったのか、


それとも何らかの方法で手に入れたのか。


でも、屋上にいるって事は転校生とは認識されていない。


彼女が何をやったのか、俺にはわからないけど


少なくともその程度のことは簡単だという意思表示だろう。


どうやら俺はとんでもない力を託されてしまったみたいだ。


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