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真実

確かに…後に引けなくなってしまった。


「でも、あたしだってただで貸して欲しいなんていわないわ。


一つ条件を付ける」


「条件?」


「そう。条件聞く?聞かない?」


条件…。


天使が人間につける条件…そんなもの俺には検討もつかなかった。


「聞くと必然的にあたしにこの身体を貸すことになるけど」


身体を貸す…。


普通なら戻ってこないときの事を考えて拒否するべきだろう。


…だけど。俺の気持ちはもうすでに決まっていた。


何故だかは分からないけど。


「いいぜ、聞いてやるよ。


この身体だっていくらでも貸してやるよ」


何故だか俺はそんな気持ちになっていた。


今までにはない、不思議な感じだったけど


今だけはその感情に従ってやることにした。


「…ありがとう。恩に着るわ。


じゃぁ、話すわね」


彼女・もとい天使は一息置いてから話を始めた。


「あなたに…天使の力の全てを譲るわ」


「は?」


イキナリの事。


もっと分かりやすく話して欲しい。


「つまり、天使としての重い役割だけは私が背負う。


あなたは天使としての絶対的な力だけを手に入れる。


そういう事」


「天使の…力?」


こんな風に人と強引に入れ替わってみせたり…


たぶんこういった力の類いのことをさしているのだろう。


「俺は…別にかまわないけど…


君はそれでも大丈夫なのか?」


「…大丈夫なはずないでしょう?


でも、今の私にそんなこと関係ない。


目的を果たすこと、それが今の私の全てなんだから」


「…ずいぶんすごいことを言うんだな」


面食らうぐらい、俺にはすごいことに思えた。


これからのことをまったくと言って良いほど省みずに


一時の感情に身を任せて動く。


これは彼女の性格的な理由なのか、


それとも天使が皆そうなのか、俺には分からなかった。


というより、少し恐怖さえも感じていた。


周りを一切遮断するような目。


こんな奴を俺はほおっておいていいのだろうか?


そんな考えが湧き上がってくる。


「君たちに人間には理解できないかもしれないけどあたし達にとってはなんでもないことなの。


それぐらい…天使は覆らないような信念を持ってる。


それがもし覆ったら…今のあたしみたいになるでしょうね」


そう言い放った彼女はとても悲しげだった。


儚ささえ感じるほどに。


そんな思いが俺を突き動かしていたのかもしれない。


「それで…俺は具体的に何をすれば良いんだ?」


「特にあなたのすることはないわ。


ただこの身体を貸して欲しい、それだけ」


「本当に何もないのか?」


「だからないって…いや、一つだけ…あるかもしれない」


彼女の迷ったような声。


戸惑いの色を隠しきれていない。


「一つだけ…あなたが真実を知りたいなら」


「真実?」


「えぇ…考えられえないほどに冷酷な…紛れもない真実よ」

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