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彼女は。

ここは、俺の通っていた「伯藤学園」


そして彼女もここの学校の生徒のはずだ。


同じ制服に身を包んだ女子が横をすり抜ける。


でも、彼女の学年のクラスって…


俺は、彼女を見たことがなかった。


だから同じ学年ではないと思うんだけど…


正直自信が無い。


違う中学から着てる奴が多いし


俺の学年は、特別人数が多い。


はっきりいって全然生徒の名前を覚えてない。


彼女の友達にでも会えれば良いんだけどなぁ…。


でも、いまだ俺に話しかけてくるような友達らしき人はいない。


居ない以上は、教室にいけない。


とりあえず一年生の廊下をうろうろしてみるが話しかけられる気配はない。


…しょうがない。


屋上にでも行って暇をつぶすか…。


もしかしたら彼女にも会えるんじゃないかという淡い希望を持ちながら俺は、屋上に向った。




―――――――――――――――――――――――――




サァァーーーーーーー…


扉を開けたとたん勢い良く風が飛び込んできた。


まぶしい太陽。


白を主とした屋上の景色。


グランドを悠々と一望できる。


漠然とした思いが湧き上がってきたその時だった。


「やっぱり来たんだ」


俺の声だった。


振り返ると俺がいた。


俺の姿をした彼女。


今は、俺が彼女の姿をしているのだからそのはずだ。


「よかった。来なかったらどうしようと思ってたんだ」


にこっと笑う。


しかし俺には、それを笑顔で返す余裕はない。


「…あの時の夢、本当だったんだな」


「今頃気づいたの?」


「そりゃそうだろ。俺は、あの時の事を夢だと思ってたんだから」


「夢だよ」


…?


あれは、夢だったはず…。


「あれは、夢だよ。紛れもなく君の夢。


君の夢の中に私が入り込んだだけ。それも勝手にね」


俺の声から紡ぎ出される意味の分からない言葉の数々。


今の姿が本当の自分の姿ではないと嫌でも再認識させられる。


「入り込んだって…どうやって?」


「簡単よ?言ったでしょ?私は、普通じゃないって」


始めて彼女にあった時、確かにそんなことを言っていた。


「説明になってないだろ。


それに何故?何故俺と入れ替わった?」


「君じゃないといけなかったんだ」


「他の人じゃダメだったのか?」


「当たり前だよ。絶対に君じゃないといけないの。どうしても」


…意味、わかんねぇ。


そんなことを言われるとよけい混乱する。


はっきり言って今、俺の脳は働いていない気がする。


どうしたんだよ…。


もしかしてこれも夢?


俺が作り出したたちの悪い夢なのか?


そんな訳、ないか…。


一人で考え込んでしまう。


長い沈黙が訪れる。


その沈黙を破ったのは、彼女だった。


「一週間だけ、君の身体を貸して欲しいの」


「…は?」


「だから、貸して欲しいの。君のこの身体を」


「…意味…わかんねぇんだけど」


そもそも入れ替わったのだってただの興味本位だ。


いきなり身体を貸して欲しいといわれても困る。


「どうしても必要なのよ。だからお願い」


お願いといわれても…。


だいたい…


「何に使うんだ?俺の体」


「…大切な人を…取り返すために」


「取り返す…?」


「うん。天国からね」


「は…?」


天国?


天国って人が死の後に向う場所…。


「神様は、あたしから大切な人を奪っていった」


「…事故か何かか?」


「違う。彼は、死んだんじゃない。


連れて行かれたのよ…」


「ふうん、神様がそんなことするのか?」


もちろん冗談半分だった。こんな言葉。


振り回されてることに腹が立ったのだ。


「するよ。平気でね。知ってる?


直らない病気とか不慮の事故とか…。


あれの大半が神様の気まぐれなんだから」


「…っ?」


「びっくりしたでしょ?」


そりゃそうだ。


世界で起こる悲しい死が神様の気まぐれだったなんて…。


ていうか、ふざけてる。こんな話。


「でもあたしの場合は、特別ね。


あたしは、人間じゃないから」

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