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始まりの夢

「私は、普通じゃないのよ」


彼女は、そういった。


「どこが?」


「全てが」


少しだけその返答に困ったが繰り返し質問を続ける。


「例えばどのへんが?宇宙人だったりする訳?」


「そうじゃないわよ。私って言う存在そのものがおかしいの。


たぶんあなたとも違うわ」


「ふぅん。俺には、そうは見えないけど」


「きっと見えないだけよ」


彼女は、普通だ。


それなりに可愛いしコンプレックスだってなさそうだ。


…それのどこがおかしいんだ?


「おかしいのよ。私の未来も過去もおかしいわ。


きっとあなたが私になったら分かるわ」


「そんなの無理だろ」


「無理だって思ってる所が普通なのよ。


私には、無理だって思えないの。絶対に出来る」


…確かに普通じゃない


俺は、彼女の仲の普通じゃなさを少なからず一つだけ見つけた。


でも彼女は、普通だ。


「そんなに疑うなら入れ替わってみる?」


「出来るのか?そんなこと」


「出来るわよ。意識交換って奴?手順は、一つだけ」


「何をすれば良いんだ?」


ニコっ。彼女は、笑った。


実に嬉しそうだ。


「飛ぶのよ、ここから」


彼女と俺の二人しかいなかった空間に突如屋上が広がった。


しかし、俺は驚かない。


「二人で?」


「えぇ、一緒に飛ぶの。


次の日には、すっかり入れ替わってるわ」


「…面白そうだな。今からやってみるか?」


「そうね。試してみよっか」


俺は、彼女の手をとった。


「行くよ」


「うん」


うなずいた彼女の姿を確認して俺は、屋上から飛び降りた。


落ちる途中、彼女の顔がチラリと見えた。


その顔は、天使の微笑からは一転し悪魔のような笑顔に変わっていた。





そこで俺達は、夢から覚めた。




―――――――――――――――――――――――――




…変な夢。


目覚めは、悪りーし内容もはっきり覚えてる。


おまけに落ちてる時の感覚も覚えてる。


…最悪。


とりあえずいつもの時間に起きる。


   ぐ ら っ


目前もする。


ちょっと立てそうもない。


学校…休むか…。


髪をかきあげる。


いきずまった時ついやってしまう癖。


……?


俺、こんなに髪長かったっけ?


比較的髪は長いほうだけどこんなに長いはずがない。


おかしい。


それに良く考えてみれば、ここどこだ?


知らない場所。


まるで夢の中だ…。


でも、このあとどうすれば良いか俺は知ってる。


いや、体が覚えてるんだ。


熱のせいか?


起き上がって机へ向う。


その先には、鏡があるはずだ。


覗き込む。


そこには、俺の知ってる顔。


でも、俺の顔じゃない。


髪の毛も目の色も体型も…


全部が違う。


「待てよ…。ありえねーだろ…こんなの…」


夢じゃない。


でも、現実でもない。


これは…いったいなんだ?




―――――――――――――――――――――――――




この家は、たぶん二階建てだ。


扉を開ける。


この階段…


覚えてはないけど使ったことがある。


やっぱり俺はこの場所を知ってるんだ。


今、家には俺しかいない。


うん。これも知ってる。


一階の部屋は、ガランとしてシンプルだった。


その後、この家を見回って分かったことがある。


この家は、俺の家じゃない。


けど俺は、この家を知っている。


そしてこの顔は、夢の中の女の子の顔。


間違いない。


俺達は、入れ替わってしまったんだ。


本当になった。


本当に入れ替わってしまった。


そうしたら、俺の姿をした彼女は今どこに?


同じように俺の家に居るのか?


彼女は、きっと俺のようにうろたえてはいない。


彼女は、入れ替われると知っていた。


というこは、前にも一度入れ替わって事があるんだ。


それを知った上で俺と入れ替わった。


何のために?


その前になぜ夢の中で入れ替わった?


あれは、ただの夢だったはず。


それとも今こうしていることが夢なのか?


しゃーない。学校へ行って俺に会おう。


そしてもう一度入れ替わって本当の俺に戻るんだ。




―――――――――――――――――――――――――

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