04.
オフィスの真ん中にいる少年に悠は声をかける。
「ねぇ、君。そこで何してるの?何かあった?君の横にいるのは君のカースドールかい?」
できるだけ優しく声をかける。すると少年はゆっくりとこちらを向いた。
「おじさんこそ何してるの?僕、忙しいんだけど。あぁ、それとも僕に殺られたくて来たの?それなら、叶えてあげようか?」
少年の首にかかっている十字架のネックレスがぼんやりと光り出した。それと同時に少年のドールがゆっくりと動き出す。
「はぁ、なるべく穏便に済ませたいんだけどなあ。おじさんのこの願いを叶えてくれよ。」
「あはっ!その願いは叶えられないなぁ?どうしてか知りたい?いいよ、死んでくれたら教えてあげる!」
『コードGPに主が命ず!対象を滅殺せよ!』
少年の呪文を合図にドールが激しく動き出した。
「やっぱりこうなるんだね。清涙、凛華、ティー、準備はいいかい?」
『コードil,ff,teaに主が命ず。対象を捕獲、無力化せよ。』
悠のドール3人が意識を失う。悠は肩幅に足を開き、手のひらを上にした状態で両手を前に出す。手にはめた指輪が光ると同時に清涙が走る。悠は手にはめた指輪と、指の動きで3人を操る。ドールを操るときに使う「コード」も、呪文のひとつで、コードilは清涙、コードffは凛華、コードteaはティー。
「おじさんずるいなぁ?3人も同時に操れるなんて。ま、僕が勝つけどね?」
少年がネックレスを強く掴み右手を動かす。少年のドールが清涙の右腕を掴む。そして大きく口を開けた。
「清涙の腕を噛むのはよしてくれるかい?」
悠は左手の人差し指をほんの少し動かす。すると清涙は左手で少年のドールの頭をつかみ、ふぅっと息を吹きかけた。
刹那、少年のドールは清涙の腕をつかんでいる手を残して遠くて飛んでいき、壁にぶち当たり、そのまま壁に張り付く。清涙の使った氷の呪いで壁に凍りついたのだ。
「っ?!」
少年は更にネックレスを強く握り、右手を下に向ける。少年のドールはガタガタと動くが、清涙の呪いを解けない。焦った少年の背後に回ったのは凛華。悠が右手の小指と中指を器用に動かし、少年の捕縛に成功した。
少年は暴れ、少年とは思えないほどの汚らしい言葉を並べ罵る。
「まぁまぁ落ち着いて?」
悠はにこりと笑うと少年のネックレスを引きちぎった。
「がっ…」
呪いを発動するにはそれ相応の大きな力が必要になる。それの補助をしてくれるのが少年でいうところのネックレス。プロトタクトというその補助道具は悠の場合、指輪。プロトタクトを使わない呪術者もいるが、それは相当な力を持った呪術者である。プロトタクトを取り外すと、自身の力だけで呪いを維持しなくてはならない。そのため、大抵の場合はすぐに意識を落とす。この少年も、呪いを維持出来ず、すぐに意識を手放してしまった。
『呪いを解け。』
「ん?あ、主。終わったの?」
「あぁ。お疲れ、清涙。右腕についてる手はさっきの少年のドールのものだ。」
「わぁっ?!びっくりした!ほんとだ~」
清涙が腕を掴んでいた手を引き剥がす。
「さて、行くかね。」
「主ー、このドールどうします?いつも通りでいいですか?」
「あぁ。任せるよ。」
少年とドールを担いだ悠とドールたちはエレベーターに乗り込み、1階に降りる。エレベーターの扉が開くと、無人のオフィスに2人の男が立っていた。
「お、悠。早かったな、待ってたよ。」
「出たな、クソ上司。」
少し顔を綻ばせた悠は、信頼する上司の元へ歩き出した。
戦闘シーン、ぬるくてすみません。新キャラ登場です。少年とドールはどうなるのか。次回はゆったりと進んでいきます。
間に合ったら挿絵入るかもしれません。




