09.
「はぁ…主行っちゃいましたね」
「そうだね」
つまらなそうにため息をついたティーは、勝斗の隣に座る。ティーは、悠との訓練でかいたであろう汗をちら、と見て、タオルを渡す。
「勝斗くん、汗凄いですよ?これ使ってください。」
「ヒョエっ!?あ、ありがとう…。」
ティーが話しかけると、勝斗は変な悲鳴をあげた。そっと受け取り汗を拭くが、拭いても拭いても汗がダラダラと流れ落ちてくる。
「?勝斗くん?暑いですか?あっ!ティーが火属性だからか!すみません!退きます!」
「あっいえそんな事ないです全然大丈夫です」
「どうしていきなり敬語なんですか?!」
ティーが少し離れたところに座ると、勝斗は少し残念そうにティーの方を見る。それに気が付かないティーは、あ、と思いついたように話し始める。
「そういえば勝斗くん。主にもらったプロトタクトは使えるようになったんですか?」
「あ、あれね、少しだけ呪力が流れるようになったんだ。凄く頑張れば借りたドールの指くらいは動くようになった。」
「そうなんですね~!勝斗くん、あのネックレスのプロトタクトに相当力借りてましたよね!」
「そうそう!父さんの使い古しだったから比較的呪力も流れやすくなってたし、初心者でも大きな力が出せるように改良されてたって真司さんが言ってたんだ。」
「なるほど…勝斗くんはドール。使いこなせるようになったら、プロトタクトはどんな形にするんですか?」
プロトタクトは、元々丸い石のような形をしている。それを、それぞれの呪術者の整備士が、その呪術者が使いやすいような形に改良する。悠の場合は指輪。ゴツゴツした大きい指輪が3本、指にはまっている。
「うーん、常に持ち歩けるものだよね…。僕忘れ物とか多いし…体に埋め込んだり出来ないのかな?」
「体に?プロトタクトは、使うとき光りますから、体に埋め込んだら体全体が光ることになりますよ?」
「あ、そっか!体が光ったらダサいし恥ずかしいよね」
「服とかにしたらどうですか?」
「重いって!子供用の光るパジャマみたいだね?!」
「うーん、やっぱり主みたいな指輪とか、イヤリングとかどうでしょう!!」
「イヤリングかぁ…女の子みたいでやだなぁ」
「そんなことないですよ!イヤリング光ったら可愛いじゃないですか!」
「えっ可愛い?そうかなぁ。ティーちゃんが付けたら可愛いかもね!」
「本当ですか!?えへへ、ありがとうございます。」
「凛華ちゃん!!いる?!」
大声と共にやってきたのは事務所の整備士、成天梓。手には沢山のフリルとやわらかそうなリボンの付いたドレス。
「こんにちは、梓さん。凛華ちゃんならキッチンかリビングに主といると思いますよ?」
「ありがとう、ティーちゃん!今日も可愛いね!あ、そうだ。このドレス着てみない?!」
「結構です~。」
強烈な梓のアピールにも全く屈さないティーは、梓を半ば強引に部屋を追い出したのだった。
挿絵、絵師から届いたら入れるので、お待ちください。入れたら活動報告の方で連絡させてもらいます。今回も終わりが中途半端ですみません。次回はその頃の悠と凛華のお話です。
キャラ秘話
勝斗は現在14歳。ちょっとティーちゃんのことが気になっています。青春ですね。ラブコメではないので、あくまで気になってる、というだけです。