08.
晴れて悠の弟子になった勝斗は、悠の家にある訓練室に来ていた。普段、訓練室はドールとの訓練に使う部屋だが、今日は悠と勝斗の呪術者訓練に使う。
「いいか、勝斗。呪力っていうのはな、人間なら全員同じ量持ってるんだ。それをいかに増やして、いかに上手に使うかが、呪術の鍵になるんだ。」
「はい!悠さん!」
悠は説明が上手な訳では無いが、真司作、「これでカンペキ!呪術者訓練ノート♡」をもらい、必死に勝斗に教えていた。
「主~、お茶持ってきましたから休憩しましょ?」
「お、ありがとう、清涙。勝斗、休憩だ。」
「はい!悠さん!ありがとう、清涙ちゃん。」
「いえいえ!主も勝斗くんも頑張ってるから凛華が持っていけって言ってたのを持ってきただけなので!」
凛華が入れたのは、冷たい麦茶と暖かい紅茶。悠は暖かい紅茶を手に取ると、ゆっくりと飲む。お腹の底から温まる気がした。そんな悠を清涙がニコニコと見つめていることに悠は気がついた。
「清涙…。飲みたいのか?」
「え?!いいんですか?!やった!」
ゴクゴクゴクゴク
「おい!全部飲んでいいとは言ってない!あと返事もしてない!清涙…!」
『 コードilに主が命令するっ!動くな!』
「あっ…」
途端に清涙の動きは止まる。が、紅茶は止まってくれず、ついにティーカップの中の液体は全て清涙の口の中へ入っていった。
「ああああああああ…凛華の紅茶が…」
「悠さん…どうぞ…」
勝斗がそっと麦茶を差し出す。
「ありがとう勝斗…」
「主~お疲れ様です~。あれ?清涙ちゃんまた主のやつ横取りしてコード使われてるの?学ばないねぇ」
ティーが訓練室に入ってくる。ケラケラと笑いながら動けない清涙の背中をポンポンと叩く。
「そもそも人形なんだから食べなくても飲まなくても平気なのに清涙ちゃんは食事好きだよねぇ。清涙ちゃん温かいやつ苦手なんだからまた梓くんに整備してもらわなきゃいけなくなるよ?」
ドールは、元はただの人形。悠のドールたちは動いたり喋ったりするため忘れがちだが、人形が食べたら異常だろう。さらに清涙は、氷系の呪いで作られているため、暖かい飲み物や料理に弱い。しかし清涙は食べることが好きなため、定期的に梓の所へ通っている。しかし、梓にとってはそれは嬉しいことではある。
「そういえばティー。凛華は何をしてるんだ?」
「あぁ!凛華ちゃんならもうすぐ来ると思いますよ?朝ごはんのお皿の片付けしてたから、ティーも手伝うよーって言ったんですけど、水は苦手でしょってバチバチしながら言ってました!」
「待て、バチバチってもしや感電か?かなりヤバいんじゃ…ちょっと言ってくる。」
悠は急いで訓練室を出ていった。そんな悠を、2人きり(正確には3人、清涙はノーカウント)になったティーと勝斗は見送った。
中途半端になっちゃってすみません。
はなちゃんです。
次回は勝斗くんとティーちゃんのおしゃべりです。ほぼ会話文になってしまうと思いますが、ご了承ください。
キャラ秘話
ティーちゃんは炎系のドールなので、熱い料理も240度位は余裕で食べます。お風呂も280度くらいのお風呂が暖かいと感じるようです。逆に清涙ちゃんは料理は-50度、お風呂は-55度くらいまで余裕です。