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第26話:先生と、生理用品アンケート回答

 生理ネタの詳しい描写は、とりあえず今回までとなります。


 シャノンから白紙の手紙を貰ってから部屋に戻り、皆に外での顛末を説明した。

 そこで、意外(俺にとっては)な人物から反応があった。

 デイジーだ。


「シャノンさんっていえば、あたしのパーティに加わってくれた人だ! もしかして、あたしが戻ってこないから心配して来てくれたのかな……」


 そこまでは解らないけど、俺は、俺を陰ながら支援してくれている人達について、もっと敏感になるべきなのかもしれない。

 結局その日は、デイジーにだけでなく、彼女をツテにシャノンにも配ってもらった。




 ◆ ◆ ◆




 それから数日後。

 アンケートでの返答が、ギルドのポスト経由で幾つも送られてきた。

 ちなみにこの前日くらいには、アレットの生理は終わっていた。


「回答者は、わたし含めて105名でした」


 アレットの報告に対し、いの一番にウスティナが頷いた。


「ふむ。結構な数が集まったじゃないか」


 ウスティナの言葉に、アレットも満面の笑みを浮かべる。


「やりましたね、先生!」


「やはり綿瓜の供給が途絶えていたのが響いたのかもしれません。多めに作っておいたのは正解でした」


 項目は大きく分けて2つ。

 1つ、魔術的加工の中で強化して欲しい箇所はどれだろうか。

 2つ、追加して欲しい機能は何があるだろうか。


 まずは強化して欲しい機能(複数回答可)の票数だ。

 全体的なアンケートの枚数に対して、チェックの数は……。


 脱臭 ―― 38

 乾燥 ―― 31

 自動回復発動 ―― 28

 微量冷感 ―― 26

 一時的魔力循環経路形成 ―― 16

 吸収 ―― 11

 魔力変換 ―― 7


 脱臭が特に多いのは、そこを気にしている人が多いって事だ。

 優先順位順に、魔力の供給を増やそう。特殊機能が


 なになに……?

 “夜に寝る時用の大容量タイプが欲しい”。

 そうか、寝ている間は交換できないから、漏れ出すのか!


 “もっと薄くして欲しい”

 素材の選定からかな。


 “交換が面倒だから水流を発生させて洗浄して欲しい”

 こ、これは……複雑だな! だが、やって見る価値は充分にある。

 問題は魔力をバカ食いしそうなところだ。

 何せ洗って乾かすというプロセスを下着からはみ出さないように行うわけで……魔術の規模をそこまで小さく抑えるのは決して楽ではないだろう。


 だが一見すると実現が難しい事ほど、潜在的にはそれを求めている人がいるかもしれない。

 その可能性を! 俺は! 否定なんてしないッ!!


 “シミを消したい”

 ぼかして書いてあるから何とも言いがたいが、これも情報を集めて原因と対策を特定しよう。

 場合によっては専用の商品を作ったほうが早いかも……。


 “固定するための羽の部分が欲しい。紐で結ぶのは面倒”

 磁力か何かで固定できないかな。


 “ビキニアーマーだとはみ出る、目立たない色を”

 なるほど、はみ出る箇所の色を変えるべき、かな。


 “交換時期が体感的に解るようにして欲しい”

 魔導ナプキンの貯蔵魔力がなくなりかけた時に、少しだけ冷感を強めにすれば行ける、かな?


 “下腹部内の状態異常を瞬間的に察知して冷やすか温めるかの魔術を自動で発動させて欲しい”

 これも中々……複雑だ。自動診断の魔術を魔道具に組み込むとなると、コストが馬鹿にならない。

 紙に術式を書き込むとして、魔導書が何冊もできてしまう。

 あまり現実的ではないが、何とかして叶えたい。


 “腹の中にまで根を張るタイプの痛み止めの魔術”

 あ、これは割と簡単……実現する事それ自体は。

 だが、異常を検知するのが遅くなって、何らかの疾病や傷が悪化した場合のリスクを考えると、特定の痛みのみを消すという方式を取るべきだろう。

 透視能力を持つ人達に協力をあおがないと、実行に移すべきではない。



 ざっと、こんなところか。

 今の所、俺が作っているとは知れ渡っていないようだから『男が生理用品を作っているなんて!』といった意見は耳にしていない。


 いつかそうなりそうだけど……いや、気をしっかり持てよ、俺。

 あくまで、きっかけは俺の大切な仲間が生理用品の不足に苦しんだのを助けたいと思ったからじゃないか!

 何を恥ずかしがる必要がある? これは、人助けだ。


 改良を加えて製品化するには……まだまだ時間が必要だな。

 だから、次の地域に移動する!




 ◆ ◆ ◆




 アレットとウスティナに報告し、南方のフィッツモンド湾に向かう際に大きく迂回する事になるが、ナジャーダを経由する事にした。


 論文発表ののち魔道具工房を開いた生徒が、そのナジャーダにいる。

 データを渡して、改良を重ねてもらおう。


「それにしても先生、なんかスゴイ事になりましたよね……元々は、綿瓜が売り切れていた事が発端だったのに」


「僕の他にも、同じように考える人はきっといますよ」


「それでも、わたしのすぐ近くで、わたしの為に動いてくれたのは先生が最初です」


「……」


「それだけで、わたしにとっては充分に幸せな事なんですよ?」


 まだだ。この程度で満足されては俺が困る。

 こんなの人並みにも届いちゃいない筈なんだ。


 俺は目指す……“目の前の女性が生理になって困った時に、これがあれば大丈夫”といえるものを!



 ……元魔道具学科のジュドー・ハプセンスキ。

 君の力を、俺に貸して欲しい。



 皆さまの応援が作者の励みになります。

 感想、ツッコミ、心よりお待ちしております。


 たくさん感想が増えても必ずお返事いたします。

 よろしくお願い申し上げます。

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― 新着の感想 ―
[一言] もしかして作者さん女性ですか? 基本的に生理に関しては男は完全に理解はできません。 なんせ、男にはないものなので。特に痛みは。 ここまで話を引き延ばせるのは男では無理かなと思いました。 ちな…
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