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第22話:先生と生理用品・手作り構想編

 シャワーシーンならぬ、シャワーを聴覚で感じるシーンです。


 女将さんからナプキンの使い方を具体的に教えてもらったから、これをメモ帳に図解で書き記そう。

 文章だと、書いてるこっちがワケわからなくなりそうだ。

 アレットが知らなかった場合でも、これでどうにかできるだろう。


 俺に絵を教えてくれた生徒、エミール・フランジェリクには感謝だ。



「ウスティナさん、すみませんが、これ脱衣場に運んでもらっていいですか? 男の僕が行くべきではないと思うので……」


「ふむ。“届けた”という結果が同じであるなら、私を頼るよりも貴公が真心を込めて届けるべきだと思うが」


「……そこを何とか。あくまでも仕事仲間である以上、適切な距離は心掛けたいので」


「なるほど。引き受けよう」



 ――ガララッ


「アレット。ルクレシウスから届け物があるから、カゴの中に入れておくぞ」


「はぁ~い! ありがとうございます! 先生にもよろしく伝えて下さい」


「伝えておこう。して、具合はどうだろうか。ひとまず洗い流せたかな」


「うーん……もうちょい、ですね」


「心得たよ。私は部屋でくつろいでいるから、貴公もゆっくりしておくといい」



 ――ガララッ

 ウスティナが部屋に戻ってきた。


「何から何まですみません……」


「構わんさ。貴公の誠実さについては、アレットが評価していたぞ。今しがた風呂場でも、彼女の声が聞こえただろう」


「はい。頑張った甲斐があります」


 ウスティナはテーブルを挟んだ向かい側で、ソファに座りながら手紙をひとつずつ読んでいく。

 丁寧に一通ずつ返答を記入しているようだったが、手首は疲れないのだろうか?



 しかし、どうしたものか。

 激しい運動をすると布がズレてしまう……だから綿瓜わたうりのような挿入型(……うん、多分挿入だよな?)の生理用品が冒険者達の間では普及しているのだろう。


 だが綿瓜は植物だ。仕入れが途絶えてしまうと、アイテム屋から姿を消す。

 今回のように、数多くのユーザーの需要があるにもかかわらず、供給されないという事態が発生した場合の備えは必要だろう。

 それも、なるべく嵩張らないほうがいい。


「ウスティナさん、どう思いますか? もしも垂れ流さなくていいアイテムができるとしたら、どんな機能が欲しいですか?」


「そうだな……匂い消しは、おそらく必須だろうな。それから、濡れそぼった状況を良く思わないのであれば、それを乾かす何かも欲しいだろう」


「なるほど」


 その辺りの機能を追加しよう。

 形状は……挿入型はちょっとハードルが高すぎる。

 まずはナプキン型で作ろう。


 複数の女性に配布。

 その後、アンケートで情報を集める。


 もちろん俺は製作のみで、配布とフィードバックはアレットとウスティナにやってもらう。

 男性の俺がやるとセクハラになる。ばっちりシモの話だもんな……。



 ――ガララッ


「ふぃ~すっきりすっきり……」


 俺はメモ帳の図面と睨めっこしながら、アレットの声を聞く。

 意外と早くシャワーを済ませたようだ。

 もう少し掛かると思ったが。


「ナプキン、でしたっけ。あれの使い方は大丈夫でしたか?」


「先生のおかげでバッチリですよ。図解、上手なんですね。すごく解りやすかったです」


「昔、生徒に教えてもらいまして。いや、教師も生徒から学ぶのは、大切ですね。役に立ってよかった」


「そういう謙虚なところも先生の素敵なところですよ」


 とか言いながら、アレットは隣に座ってブラをつけようと――は!?

 パンツ一丁!?


「……――!?」


 だからね……君は忘れているかもしれないが、俺は男なんだってば。

 隣でパンツ一丁のままでいられると、心穏やかにはいられないというか。

 努めて冷静に……俺はそっちを見ないようにした。


「あ、あの、アレットさん」


「はい?」


 アレットが顔を近づけてきたのか、石鹸のいい匂いがしてくる。

 石鹸の主成分はハーブだろうか? いやいやいや、雑念を振り払え!

 くそ、メモ帳に集中だ……!


 せめて、胸は見ない……胸は見ない……胸は見ない……。


「アレット。その辺にしてやれ。清純な殿方には些か刺激が強すぎるようだぞ」


「へっ? ……あ」


 見ない、見ない、見ない……あ、鼻血。




 ◆ ◆ ◆




「僕としたことが情けない……演劇などで興奮した男が鼻血を出すシーンがあったりしますが、まさか本当に鼻血を出す事になろうとは」


 こうして俺は、ソファの上で仰向けになった。

 下着姿のままのアレットが膝枕を申し出たが、もちろん俺は丁重にお断りして、まずは服を着てもらった。


「ご、ごめんなさい……なんか色々と浮足立っちゃって……つい、色々忘れちゃうというか……おまけに生理になっちゃうし、わたしって面倒な女ですよね……」


「人を平気で傷つける奴に比べれば何千倍もマシですよ。それに、生理を面倒だとは思いたくない、というのが僕の見解です」


 俺自身そう思いたくないし、他人が誰かに対してそう思うのだって俺は嫌だ。

 人間の身体機能をまるきり否定するようなものじゃないか。


 あ、でも……生理になっている本人が面倒だと思うのは自由であって欲しいかな……。

 なんたって、血が出ているわけだから。


 血?

 ……そうだ、血だ! 今まさに俺は鼻血を出しているじゃないか!

 せっかく(?)血を流しているわけだから、巻物スクロール用紙に術式を書き込んで性能テストをしてみよう!


 魔道具学科の生徒とも交流があったから、その時に色々と教えてもらったのだ。

 よし、早速実験だ!




 皆さまの応援が作者の励みになります。

 感想、ツッコミ(たとえばいつまで続くのかとかそういう)、心よりお待ちしております。


 たくさん感想が増えても必ずお返事いたします。

 よろしくお願い申し上げます。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 検索から辿り着いたのですが、すごく面白くて一気に読み始めました。ありがとうございます。 ちょっと理屈っぽい主人公たキャラの立った登場人物。 普通のファンタジーとは違う視点が素晴らしいと思い…
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