あたらしいかぞく。 〜その肆
朝間ナヲミがコントロール・スティックを握る川崎「T-4 Gen.1」は、博多湾へアクセスする数多の空路を無遠慮で横切る。
代替着陸地として指定された周辺の空港周辺では多数の着陸便が集まっているのだろうが、福岡空港周辺の民間航路は既に完全に封鎖されている。
既に全日空の旅客機に向けて、地上や海上から対空ミサイルが飛んで来たと言う現実の脅威が示されているのだ。これでは、テロリストの良心や道徳心を当てにして、福岡空港周辺の空域を安心して飛行してくださいとも言えない。
重量が嵩む大型機、主に国際便は山陰、中国、関西などの地方にある空港へダイバートさせる事が決定していた。一方で、比較的短距離でも安全に着陸出来る国内便の中小型機は、北九州空港、大分空港、熊本空港、佐賀空港、長崎空港へと誘導されていた。
何事も、命あっての物種だ。日本訪問の目的がビジネスであっても観光であっても、まず最初に安全に着陸出来なければ何事も始まらない。
全世界の旅人に開放されていた筈のウクライナ上空の民間航路を飛行して、親ロシア反乱軍のレオニド・某だか、ロシア連邦保安局(FSB)だか、ロシア参謀本部情報総局(GRU)だかの辺りが撃ったブーク地対空ミサイルでドネツク州へと撃ち落とされたマレーシア航空・MH17便撃墜事件(2014年7月17日)が後世に残した教訓は2040年代になってもまだ生きていた(誰だよ。撃墜現場に転がっていた死体からクレジット・カードを抜き取って、欲しい物を爆買いした畜生共は?)。
そんな訳で、福岡空港へのアクセス航路だけでなく、通過する国内航路や国際航路も纏めて封鎖されていた。だから、民間軍事組織が作戦飛行を行う上で、どこの組織に対しても遠慮はいらない(民間の機器でも受信可能な識別コード発信は行っているが)。どんな高度でも、そんな方向でも、どんな上昇率下降率でも、法的に文句を付けて来られない(※ 閑過ぎる、または思想的にヤヴェえ弁護士を抱えている不思議な団体とかは除く)。
ハデな機動に目くじら立てて文句を付けて来る航空管制官がいない戦地。しかも航空優勢下の敵国上空を飛行するかの様に、自由に、同時に最大限の警戒をしながらも目的地へと進める。普段ならば、もう少し開放感に漬れる筈だった。
しかし、今は違う。親友の家族の安否確認と言う重責を担っている。だから、機体後部に2本まとめて搭載されている、ターボファンエンジン「XF3-400」のアフター・バーナーを炊き続ける。既に、燃料の残量が心許なくなって来た。
この出所がとても微妙なエンジンは、十中八九、日本国の旧・石川島播磨重工業(現・IHI)が大昔期に実用化した最初期の国産ターボファンエンジン「F3」。そのシリーズを開発する途上に、可能性を試す為にいくつか製造されたヴァリエーション・モデルの一つだ。
結局、川崎「T-4」ではと言うより、「F3」2本ではどうやっても水平飛行では音速を超えられそうにないと判断されて、開発が中止されて、そのまま御蔵行きとなっていた(鉛筆みたいなボディ+極小面積で薄い主翼の形状へと機体を完全に設計し直せばもうワンチャンあったかも知れない)。
長期保存状態あった川崎「T-4 Gen.1」を叩き起こす時に、丁度良いエンジンが余っていなかった為、入れっぱなしなっていた御蔵からまとめて4本を引っ張り出して現在に至る。
朝間ナヲミは、高度8,000mで飛行しながら、現場空域を支配する戦術ネットワークに機体ではなく、自分の擬体をリンクさせる。大量の情報が次から次へと流れ込んで来る。何から何まで、芳しくない。対応が後手後手に回っている事は明らかだった。
「・・・こいつは」
海上自衛軍の早期警戒機「EP-3B」経由で受信した現状は、「どうしてこうなった!!」と言う感じの惨状だった。
第七管区の巡視艇が2隻も大破、炎上中。急ぎ、自衛用の30〜40mm機関砲が搭載されている大型の巡視船が自慢のウォーター・ジェット推進機をぶっ飛ばして現場へ向かっているが、とても間に合いそうもない。
敵勢力は携帯式対空ミサイルで攻撃して来るのだ。どれほどに大型でも「船」程度で相手が出来るとでも考えているのだろうか? 搭載されている火器管制システムを当てにして、少数の機関砲でファランクスの防衛機能と張り合うつもりなのだろうか?
ふざけているとしか思えない。その昔、いつのものテロ支援国家の、携帯式対空ミサイルで武装している不審船を監視中にも、海上保安庁は固定翼機を使って真上を横切る超低空飛行を行わせたと聞く。
ーーー武勇伝が過ぎる。
旧陸軍の一式陸攻による捨て身の対艦攻撃精神を、20世紀末に見せ付けたのだ。TVのニュース映像でその様を見せ付けられた当時の航空自衛隊と海上自衛隊の航空隊は、本当にハラハラドキドキしながら見守っていたそうだ(当時、自衛隊はこの事件では蚊帳の外に置かれていた)。
ーーー勇まし過ぎた彼等が、どうにか生還出来たのは偏に幸運の御陰である。
不審船側に撃墜の意図がなかっただけの事なのだ。
恐い物知らずと言うのは、本当に勇敢なものだ。朝間ナヲミは、近寄りがたい為に遠くから現場情報を集めているだけの灯台見回り艇のマークを見て、「突撃精神なんて発揮するなよ」と本気で願った。
海上保安庁の航空隊の方も事態を遠巻きに見守っているのが分かる。固定翼機、おそらくガルフストリームVが、敵勢力の保有が確認されている対空ミサイルを警戒して、一定の距離を保って旋回中だ。ただし、それだけ離れていては、海面の状況を詳細に観測出来そうもなかった。
新田原基地から離陸した航空自衛軍の2機は、間もなく到着らしい。ただし、海保と空軍が現場の指揮権で揉めているっぽい。宙域の航空機の一を示すマーキングを見比べれば、二つの組織で綱引きの真っ最中である事は一目瞭然だった。
ーーーこうなると、この現場で自由に動けるのは"民間機"である自分だけだ。
朝間ナヲミは、海上保安庁に遠慮しながら現場周辺空域を旋回中の、海上自衛軍所属の早期警戒機「EP-3B」のオペレーターに、"フシミ00"がたった今管制下に入ったとIFF信号を自発的に送って登録させた。
ーーーあの"フシミ00"が何故ここに?
海上自衛軍のオペレーターは、"新潟沖空戦"を飛んだ伝説的なパイロットの突然の登場に戸惑った。しかし、擬体から機体経由で発信されている認証コードは、通信元が本物である事を保証している。
その直後に、今津湾へ侵入する為に全力航行中の仮装ミサイル艇の2隻に、"フシミ00"の方からマーキングして見せた。
メッセージはこれだけで十分だった。現場慣れしているオペレーター、更にその上の指揮官が、"フシミ00"が仮装ミサイル艇の2隻の攻撃宣言していると察した。
5秒後に、海上自衛軍のネットワークから、仮装ミサイル艇の2隻の未来予想の含む、詳細な航路、速度変化傾向、現場海上の高度100m毎の風速情報が送られて来た。
どうやら、先行してプローブの現場への送り込みが完了しているらしい。何事も先手必勝である。組織間を行き交う釈明は、勝ってからゆっくりと立てれば良いのだ。
「感謝」
意思疎通は叶った。朝間ナヲミには、いや、既に実戦の厳しさを経験した者同士では、たったこれだけの遣り取りで十分だった。第二小脳の力を借りて、自機と2つの標的の相対的な位置関係のリアルタイムな完全把握作業を開始する。
朝間ナヲミの操縦する川崎「T-4 Gen.1」に、現在は武装は搭載されていない。通勤目的の飛行であった為に、ミニガン・ポッドは馬毛島に置きっぱなしだ(あれを取り付けているだけで、かなり余計な燃料を消費するのだ)。
しかし、亜音速機であれ、この手の形状の飛行機はそれだけで強力な武器となりえる。自機が保有する運動エネルギーを以てすれば、小型船舶くらいなら破壊は可能だ。
朝間ナヲミは、マイクを、早期警戒機「EP-3B」のオペレーターに向けて三回オンオフを繰り返す。これなら、誰かが聞き耳を立てていたとしても、これから5秒後に何が起こるかを把握出来る者はいない。
その直後に、エンジン・スロットル全開で川崎「T-4 Gen.1」を海面スレスレ目掛けて急下降をさせる。すぐに機体表面温度が急上昇する。それでも、遠慮なく加速を続ける。
川崎「T-4 Gen.1」は地球の重力加速度の影響のままに、二次曲線的な加速を続ける。すぐに遷音速に達する。そして、機体はついには音速を突破した。
海面は目前だ。
その少し前に引き起こしを終える。可能な限り減速しない様に努めて、海面スレスレの水平飛行へと入る。
それでも超低空の濃密な大気密度がもたらす機体摩擦のせいで、折角稼いだ飛行速度=運動エネルギーがあっと言う間に奪われていく。
仮装ミサイル艇を肉眼で捉えた。こちらの間合いに捉えた。ここまで接近すれば音速突破はもう不要だ。
川崎「T-4 Gen.1」の後方で、機体の拘束機動が産み出している断続的な大気圧のバラツキが海面がV字型に裂き続ける。
朝間ナヲミは、かなりの速度差で仮装ミサイル艇の真上を通過する前に、主翼下に吊っていた増槽タンクの1本を放り出した。
慣性エネルギーを十二分に与えられた増槽タンクは、海面に落下・到達しても水中にへと沈むことなくそのまま海面スレスレを跳ね続ける。
川崎「T-4 Gen.1」が、一足先に仮装ミサイル艇のスレスレの真上を遷音速で通過する。ものすごい衝撃が仮装ミサイル艇の喫水から上の構造物を襲う。
すぐに先ほど海に落とした増槽タンクが、産み落とした親である朝間ナヲミを追い掛けて来る。しかし、増槽タンクに推力はない。だから、仮装ミサイル艇を跨ぎ超えられずにその艇側面へと吸い込まれて行く。
ーーー反跳爆撃。
激突。表面構造貫通。すぐに機関部と燃料タンクを捻り潰す。ボロボロに引き千切られた構造材に向かってばらまかれた燃料に引火する。川崎「T-4 Gen.1」の衝撃が起こした爆風が、喫水から上の構造物の全てに火の手を広げた。
ーーー命運は尽きた。
その直後、仮装ミサイル艇の1隻の船体が大爆発。喫水から上がバラバラに引き裂かれた。おそらく、乗り込んでいたテロリスト達は、一体何が起こったか分からない中に、首を引き千切られたり、全身を強く打ってぼろ雑巾の様になったり、幸運な者は海面目掛けて凄い勢いで吹き飛ばされた。
音速超えで、仮装ミサイル艇へと接近した為に、つまり、音の到達速度よりも速く間合いを詰めた為に、テロリスト達は攻撃を受けた方は朝間ナヲミが操縦する川崎「T-4 Gen.1」に接近されると言う危険を見過ごしていた。いや、おそらく、何にも気付かないままほとんどが来世や異世界や畜生道へ、極少数が警察病院へと送られてしまった。
アフター・バーナーを伴う爆音は、川崎「T-4 Gen.1」が通過した後から現場に到達した。川崎「T-4 Gen.1」の主翼がフラップ全開で制動を掛けながら上昇する段階で、残されたもう1隻の仮装ミサイル艇が遅ればせながら上空の脅威に気が付いた。
対空レーダーを索敵モードに入れた様だ。おそらく、常時オンにしておくだけの発電力を持ち合わせていないのだろう。つまり、武装だけを優先したせいで、やたらに足腰の弱い仕様であるらしい。
もう遅かった。射撃管制レーダーへと繋げる時間は残されていない。博多湾上空で一回転の宙返りを終えた川崎「T-4 Gen.1」は、もう攻撃準備が終わってた。急降下爆撃の真似事だ。
川崎「T-4 Gen.1」は、仮装ミサイル艇へ真上から襲い掛かった。そして、引き起こしのギリギリのタイミングで主翼下に吊っていた増槽タンクの1本を解放した。空中で放ち捨てたのだ。
増槽タンクは、川崎「T-4 Gen.1」と違って、理想的な自由落下コースを辿った。そして、対空ミサイルを放とうと努力していた仮装ミサイル艇のほぼ中央に突き刺さった。
朝間ナヲミは、もう振り返って確認しない。道は開けたのだから、後は閑な人達に任せておけば良い。一秒間の遅延も惜しんで、博多湾と今津湾を分けるランドマークである能古島西側を急旋回。そのまま、今津湾へと亜音速で低空侵入した。
川崎「T-4 Gen.1」が去った後、仮装ミサイル艇は真っ二つに裂けて海中へと沈んでいった。
しかし、そんな事はどうでも良い。今は、筑紫洲大学・伊都キャンパスの強行偵察だ。現場がどうなっているのか、まずその確認をしなければ地上部隊を送る段取りも付けられない。
思うほど減速出来きていなかったので、プガチョフコブラの要領で急激な機首上げして腹下を大気にぶち当てる。そのまま機首を下げて、暴れる前の機体を安定させる。御陰で、一瞬で安全速度にまで運動エネルギーを消費出来た。
川崎「T-4 Gen.1」は、海上から陸地へと入る。森だが林で覆われた丘越えた。
もうそこは筑紫洲大学・伊都キャンパスである筈だ。円形の建物が目印となる筈だ。
「ーーーないっ!!」
しかし、朝間ナヲミの視界にはある筈のものが入って来ない。
眼下に広がってたのは、筑紫洲大学イースト1号館と筑紫洲大学イースト2号館までをも巻き込んだ瓦礫で埋まった、まるで大震災跡地の様な光景だった。
ーーー間に合わなかった!! テロリスト達は建物ごと自爆しやがったんだ!!
朝間ナヲミが操縦する川崎「T-4 Gen.1」は、一瞬でちょっと前まで椎木講堂だったモノの上を通過した。
気を取り戻した時は、既に玄海町の上空だった。
朝間ナヲミは川崎「T-4 Gen.1」を右旋回させて、さっきと同じコースで筑紫洲大学上空へと進入した。
さっきよりも低速で、そして低空で飛行した。
さっきと同じ瓦礫の山だか海が周辺に広がっていた。ところどころから、煙が上がっている。
ーーーガンっ!!
突然に、機体下部に大きな衝撃を受けた。何事かと思って、機体情報を確認すると、油圧用のパイプに軽度の損傷を受けた事が分かった。
そのまま上空を旋回していると、瓦礫の山の上で仁王立ちしている男らしき者の姿が見えた。義眼で拡大視認して見ると、その男は連発式らしいライフルを構えてこちらを狙っている。
朝間ナヲミは、一瞬で状況を理解した。
地上施設はテロリストの自爆でを破壊し尽くされた。
自爆に失敗した生き残りが一人出た。
そいつが、やけくそになって、川崎「T-4 Gen.1」の撃墜を試みている。
おそらく、ここで華々しく散る気分に酔っているのだろう。
朝間ナヲミは、急降下で川崎「T-4 Gen.1」の機首をライフルの男の重なる様に向けた。
ーーー惜しい。ミニガン・ポッドさえあれば、直ちに肉屋の店頭のショーケースに納めれる程に見事なミンチにしてやれたのに。
男が乱射を始める。しかし、携帯式ライフルの装弾数など大したことはない。すぐに使い果たした。今回は、先ほどの様なまぐれ当たりの被弾はなかった。
朝間ナヲミは、弾を撃ち尽くしてもそれに気付かずに自分に向けて銃口を向け続ける男を見据えた。そして、三本目の外部燃料タンクをそいつめざして放ってやるつもりだった。
旧式のヘッドアップデスプレイの中央には、醜い笑い顔で歪んだ男の顔が収まっている。その顔が最後は恐怖でねじ曲げられたのが見て取れた。
ーーーこんなヤツが、万条さんの家族を!!
朝間ナヲミは、久しぶりに明確な殺意を自覚した。そして、確信した。その醜い男は決して生きていてはいけない種類の生き物だ。誰一人として幸せにしないくせに、誰でも無限に不幸にするタイプのクソである事を。
ーーー八十治さん、ごめん。
朝間ナヲミは、ギリギリのところで、外部燃料タンク・リリース用のインターフェイスから意識を反らした。そして、その大切な機械の指を使って川崎「T-4 Gen.1」の引き起こしを行った。
地上の惨事を目を反らせる大空へと戻る為に。
朝間ナヲミは、その男を逮捕してバック・グラウンドなどを探る為に取り調べを受けさせる為に発射スイッチから手を外したのではなかった。
会津震災の被災経験から、男が仁王立ちする瓦礫の下に、まだ生存者が埋まっている可能性が高い事に気付いたからだった。
朝間ナヲミは、海上自衛軍の早期警戒機「EP-3B」と馬毛島コントロールに状況を継ぎ歯やに伝えた。
それから暫くして、陸上自衛軍が突入して、脅威のほとんど消滅していた現場を確保した。その後、押っ取り刀で県警が到着して、現場の指揮権を要求したと言う。
陸上自衛軍は、それの要求を無視して、まず最初に救命作業を行う消防本部の指揮下に入った。
県警はヒステリーを起こしたが、唯一の生存者であるテロリストの生き残りを引き渡されると、文句を叫きながら本音は大喜びで現場の第一線からは退いた。
なお、テロリストの負傷の度合いは命に別状はないものの、何か巨大な恐怖に襲われた様で、完全に腰を抜かして放心状態。大と小の両方を、ズボンの中に満遍なくぶちまけていたので相当に臭かったそうだ。
朝間ナヲミは、「被弾して一部の油圧が飛行継続不能な程に低下している」と嘘を付く事で現場の上空から逃げ出した。ちょうど、脅威の消滅を確信してから大急ぎで駆け付けた海上保安庁のヘリコプターを見付けたので、上空監視と警戒の義務を引き継げたのだ。
途中、新田原基地所属のF-35A「ライトニングII」の編隊を捉えた。擬体に残された戦闘記録を送信。直後にエマージェンシー宣言をして素通りしてしまった。
アフター・バーナーを焚き過ぎた。当然だが、燃料の残量が残されていなかった。そのまま、進路上に位置していた航空自衛軍の新田原基地に緊急着陸させてもらった。
馬毛島へは帰らなかった。いや、今は帰りたくなかったのだ。
朝間ナヲミは、擬体の義歯をガチガチとぶつけながら全身を震わせて、川崎「T-4 Gen.1」を航空自衛軍の新田原基地に着陸させた。
ーーーどうやって、万条さんに言い訳しよう。
親友の夫と娘の命を救えなかった。
間に合わなかった。
朝間ナヲミは、人生二度目の、どうにもならない事=取り返しの付かない状況に追い込まれていた。




