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オリジナル対戦型VR クロス  作者: 雨宮 大樹
2/2

Sudden death Gamm

魔王の捨て身の突撃が直撃するも、なぜか勝敗は決しなかった

困惑する二人を世界に閉じ込めたままクロスは次のステージへと場所を変えた

何も無い暗黒

体の感覚はあるが、何も見えない


(勝ったのか}

周りを見渡すがやはりなにも見えない

(いや、勝ったにしてはいつもと様子がおかしい)


(最後に当てた感覚あったんだけどな)

(なんなんだ?タイムラグか??」


≪ Sudden death Gamm  ≫


「ん、ん!!??サドンデスゲーム!?」

中央、突然何かが伸びた

咄嗟に目をやるとそこにあるはずの緑の体力ゲージはほぼ空で出現した

(まだ終わってなかったか)

お互い僅か5%を残してすでに喪失している

視界中心、何かが動いた


≪ 3 ≫

「え!?」


≪ 2 ≫


一気に世界が色を取り戻していく


両方に果てなくそびえ立つ藍色の壁

藍色の壁に挟まれた幅25mの道が先が見えないほど続いている

そこに150m離れて俺たちは出現した

≪ 1 ≫


「これが噂で聞く、終焉への道(End  Load )」

長くやってきたがこの場所に来たのはこれが初であり

貴重な体験かと思うと僅かに鳥肌がたった


≪ Fight ≫


一瞬の感慨を彼方へと押しやり、俺は動き始めた



最小の動きで愛用のリボルバースナイパーライフルを構え

≪バァンッ≫

即座に魔王に狙いを定め発砲した


魔王も同時に動いた

≪バッ バッンッ≫

バイクのフロントに埋め込まれているワイヤーフック2発が時を同じくして

クロスを描くように発射された


≪ガキィーーン≫


射出されたフックは魔王の胸を捉えていた銃弾を見事に弾いた


ワイヤーフックは車体を引っ張ることなく発射された勢いをそのままに根元からパージされ藍色の壁に大きな音を立てて激突した


≪キュッキュッッーー~≫

バイクの後輪が空転し白煙を上げる

即座に前方への過度な加速が生まれ前輪を持ち上げる


クロスが始まってまだ4秒とたっていない



1発目を綺麗に防がれたことに驚きながらも2発目の発射はいつもよりコンマ1秒早かった

≪パァッン≫

しかし、撃ち込んだ二発目はパワーリフトしたバイクの腹に直撃しだが、破壊することは到底できずまたしても防がれてしまう


魔王が一瞬体制を崩したように見えたがすぐに立て直しに成功する

≪バシュッ、バシュッ≫≪バシュッ、バシュッ≫

続いて息つく暇もなく両ミサイルポットから各2発合計4発全弾が発射された


「っ!!やられた….」


先制攻撃の一撃で勝負を付けようと考えていたが見事にすべて防がれ、ミサイルまで撃たれてしまった


弾装には残りの弾は4発、すべてが初期装填の貫通弾である

今更バイク本体を狙ったところで破壊する前に、ミサイルに焼かれるのが先であり、破壊できたとしてもタイヤを狙ってパンクさせることだけだろう

しかし後輪をパンクさせただけでは、おそらくこの距離では倒れる前に俺が牽かれるのが先だろう


(さて、どうする)


強敵であることは先の一戦でもうわかっている

ここからは小技が通用するような領域ではないし、ミスなどもってのほかである


チリチリと肌を刺すミサイルからの噴出音

頬に当たった銃身はまだひんやりと冷たい


最後の瞬きをし「カッ」と目を見開く、猛然と向かってくるミサイル4発を目にとらえた

雷に打たれたかのごとき速さでライフルが跳ね上がりミサイルを照準し火を噴いた


≪テッュン、ボガァアン≫

左ポットから発射されたミサイルの1発目に命中し、激しい爆発を起こした

後続を付けてきた二発目が爆煙を突き破った直後にこれもまた激しく爆発した


思考の限界に近づき、目の中で小さな虹色の光の粒がちらつく


スコープに目を付けたまま、息を止めたまま3発目をバイクの前輪タイヤめがけて発射した

タイヤは圧迫感を持った破裂音を響かせ木っ端微塵とかし、青いポリゴンの霧へと形を変えた


最初のミサイルを落としてから6秒がたち、残った2発のミサイルが俺を焼こうと切迫している

「はぁー、ッウーー」

一呼吸で必要な量の酸素を体内に取り込む

光のちらつきも無くなった


引き金にかけていた右人差し指を放し、右太ももに装着されている予備弾箱を流れるようにつかみ取り、そのまま右手を後方に伸ばした

振り子のように綺麗な弧を描いて腕は前方へと動き、予備弾箱を前方に高く放り投げた


光の粒がまた発生した


素早く照準を合わせ、落下をし始めた予備弾箱を射抜いた

≪≪パッパッパッパッッッ≫≫

弾箱の中には散弾がいくつか入っており連鎖を引き起こして辺りに銃弾をまき散らした


前方40mに迫る魔王に向かって俺はダッシュを開始すべく愛用のリボルバーライフルの銃身に手をやりストッパーを二つ外した


≪カァィン、パシャァ≫ ≪ボガァ、ボガァアン~≫

無意志に乱射された銃弾は俺のフルフェイスヘルメットとミサイル2発を巻き添えに静まった



ストッパーが外された長く重い銃身からバレルと肩当が地面に転がった

スナイパーライフルは2つの部品をパージしリボルバー拳銃へと形を変えた


走りながら左太ももに残っている予備弾箱に無造作に手を突っ込み一発の銃弾を取り出し残りは地面へと自由落下させ消滅した


空になったシリンダーに無造作に手を掛けた

≪カシャッ、カランカラーーン≫

6発の薬効が地面に触れたそばから青いポリゴン片へと変化していく

たった1発のみがシリンダーに装填された

≪カシャッ≫


魔王と目があった

苦しい表情をしている


それは俺もだった


軽くなった愛銃を手に姿勢を低く正面衝突すべく猛突していく


こちらから見て右方から攻め込むために、右足をほんの少し大きく出したのを魔王は見逃さなかった


右手のみでハンドルを握り左手にはこれまた折り畳み式の刃が握られている

瞬時に持ち替えられるように、まだ展開はしないようだ


即座に右に行きかけていた体制を真正面に戻す



本来ならバイク中央下から伸びる刃渡り2mの刃と地面に滑り込む隙間は体一つ僅かにない、そのためバイクをやり過ごすにはジャンプして刃の翼を越えなくてはならない


しかし今バイクは5発目の銃弾が前輪をパンクさせたため必然的にウイリーを続けなければならない状況に置かれている、故に刃と地面との隙間が広がり滑り込むスペースが生まれた


バイクとの距離が10mを切った

9m 8m 7m

6m


(今だ!!」

俺は一瞬のフェイントをかけた

突如左足を大きく力いっぱいに踏み込んだ、左から仕掛けると見せかけた


魔王が瞬時に右手に持ち替えた、まだ展開はしていない


力いっぱいに踏み出した左足の力で上ではなく前へと踏み出す

体制を極限まで低くし右足を伸ばして左足を折りたたんだ


持ち替えている時間はないと判断した魔王は、右手に持っていた折り畳み式の刃を俺めがけノーアクションで投げてきた

≪ガシャン≫

投げられた刃とバイクに搭載されている刃がスライディング中の俺の腹の真上で衝突した

衝突した衝撃で折り畳み刃は弾き飛ばされた


≪ヒュンッ≫

刃が顔面の5㎝上を通過した、右足に力を込め地面に突き立てる

勢いで体が持ち上がり、滑りながら体制を起こす

同時に右足かかとを支点に体を反転させ左足を後方へ伸ばしブレーキを掛ける


右足全面を地面につけ力を込める、抵抗力が増す


右手の拳銃に左手を添えて体の正面へと構える

全身が停止した


≪バァアーン≫

発射の威力は拳銃に収まる威力を遥かに超えており両腕を弾かれたゴムのように大きくのけぞらした


咄嗟にバイクを投げ出し避けようとする魔王の右肩へと銃弾は命中した


≪ Your WIN ≫


「よっしゃぁああああああ!!」

集中の糸が切れ、チカチカと飛び回っていた光の粒はだんだんと消えていった


どすんと腰を下ろし、クラッシュした魔王に目をやった


魔王はバイクから投げ出され、藍色の壁のあたりまで滑っていったようだ


(え?まじかよ}

よく見ると魔王の両足は太ももの中間くらいできれいになくなっている

切断されたような跡は無いため、もともとアバターメイキングの時点で足を切断してあるのだろう


(まさか、ホントにそんな奴がいるとはな)

全てが自由なこのゲームでは体をいじることもできるわけだが、切るやつなんてほとんどいない、しかしどこの世界にも極めたい奴はいるようで空を飛ぶために足を切り軽量化を図ったやつもいれば、片腕をパイルアンカーにするために切断したやつもいる


そしてこの魔王もその一人というわけだ

おそらくは軽量化と重心を中心に集めることによる安定性とバイクという限らてたスペースをうまく使うための作戦だろう


俺も昔、腹の中に機関銃を仕込もうとして、アバターメイキングを行ったことがあるが、軽い計画案の時点で運営側に無理があると完全否定されたことがある


物理的に限界を超えてはならないという絶対条件はあるもののそれ以外はすべてが自由である、それがこのゲームの醍醐味だ


故に全く同じ戦闘スタイルを持った対戦相手は滅多にいない


この魔王というプレイヤーは独特のスタイルを持っていて、しかも強い

(また、やりたいな)


そう感じた時にはすでにフレンド申請を送っていた


≪シャララーン≫

『 Lucifer からフレンド申請が届いています 』

『 フレンド登録しますか? 』


(勿論)

右手でポップアップウインドウのYESを押した


読んでいただきありがとうございました。

良かったら感想、コメントなどを残していただけると嬉しいです


次回作はこの二人のVRではなくて現実世界でのお話を書きたいと思いっています

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