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オリジナル対戦型VR クロス  作者: 雨宮 大樹
1/2

王子と魔王の初対戦

至らないところが多々あると思いますが、どうぞ読んでみてください。





≪≪起動≫≫

現実の体から意識だけが切り離される感覚、完全なる無が一時訪れる


次第に色彩を取り戻し、ゆっくりと視界がクリアになっていく

四肢の感覚が戻り始め間接部分に重力を感じる

まだ体は動かないが視界から入る情報だけでもある程度のことは把握できる


「ラッキー♪セントラルフィールドか」

「ここならいつものパターンで行けるな」

「さて今回はもセントラルビルでいいな」

「あそこならなんとでもなるだろう」


軽く状況把握をしている間に装着ステージに入ったようだ

頭を包み込むような感覚を感じたと同時に

≪シュパッ≫と音を立てアイガードが下がった

視界が薄っすらと暗くなり建物の輪郭だけが見やすく視覚拡張される


ヘルメット上部に通気口兼収音耳の突起が両サイドに1つずつ生え

ネコ耳の様なスタイルになる


体にぴっちりとした締め付け感が駆け抜け

両脇に特徴のあるボディースーツが構成されていく

続けざまに、背中にはずっしりと重みが加わり世にも珍しい

大口径のリボルバースナイパーライフルが姿を現した


装備ステージも終わり視界上部中央にカウントダウンが表示された

≪3≫

「相手の名前は Lucifer 『✳︎』」

「魔王かいい名前じゃないか」

「『✳︎』ってことは自作アバターか」

「俺が Japanese Prince 『※』 和王子 で相手は 魔王(Lucifer)面白い組み合わせになったもんだな 」

≪2≫

体力ゲージが同時に伸び始めた

≪1≫

全ての準備が整いゲームの火蓋が切られた

≪≪≪Fight≫≫≫



体の拘束が解かれるや、あらかじめ決めておいた狙撃ポイントまで猛ダッシュをかける


俊敏力にステータスを全く振っていないので、足取りは遅いが最初のサテライトスキャンまでに後15分ある

ので、余裕でビルの屋上で狙撃体制に入ることは出来るだろう


しかしながら、ここで15分が過ぎるまでに初撃を当てるか否かでは勝率が大きく変わってくるので

僅かな時間も惜しいため、脇目も振らずただひたすらに猛ダッシュ!!


12.7mmの大口径ながら十分に走ることが出来るのは

弾装類、装填部品を完全に取っ払ったリボルバー型だからこその軽さゆえだろう

有効射程1200m

重量11kg

全長1300cm

装弾数6発

ダブルアクション


長所としては

・非常に壊れにくい

・口径さえ合わせれば様々な種類の弾を撃つことができる

・場合によるが装填がしやすい


短所としては

リボルバーの構造上、雷管とハンマーに隙間があるため

・大口径により発砲時高圧のガスが噴出し切傷を負うことがある

・ガス逃げにより弾速の低下による、威力の減衰、有効射程の低下

・有効射程の割に全長が長くなる



その性質上命中精度などは落ちてしまうのだが、アタッチメントと口径の大きさでカバーしている


プレイヤーステータスのほぼ全てを装備操作に振り切っているので多少の武器側のマイナス面はカバーできる

その反面、身体能力全般、体力、防御力が極端に貧弱であるので、殴り合いの真向勝負となると

俺に勝てる相手などゼロに等しいだろう


しかしながらこれまでの勝率は7割強であるのでかなりの好成績と言えよう

極端なステータスの振り方をしているが、装備面とお互いをカバーすれば問題ないということだ




《ブァーン、アァーーーーン》

「なんだ、この音は?車か??それにしては甲高いな」

《ブゥン、ブゥン、ブァ―――――ン!!》

「まぁいい、走り回ってくれているのなら見つけやすくて助かる」


ビルといっても内装は何も無くただとてつもなく大きな駐車場のような作りとなっている


屋上に出ると音はさらに大きく、けたたましいくらいだ


バイポを立てながら、小走りでビルの縁へ向かい音の正体を目視するため目を凝らす


「バイクだったか!!!」

「ん?んッ!!なんだあれ速すぎやしないか???」


5㎞×5㎞の都会フィールドの広めの道路をスポーツ系のバイクが疾走いや爆走している

目測ではあるが、このステージで最も長いであろう直線4㎞をたったの40秒で走行している

これを時速に計算し直すと360㎞/hである

「あれに牽かれたら一撃だろうな」

「さっさと上がって正解だったか」


超スピードで走行しているとはいえ、さすがに曲がる時は減速しているので

そのタイミングに合わせれば狙撃可能だろう

ここからの有効射程は射角も入れて1100mといったところだろうか


予定通りフィールドの中心にそびえたつビルに陣取ることが出来たため長くても2.5㎞しかない

ビルを中心に田を描いて通る環状線道路の

少し内側の道を通りさえすれば、まず間違いなく


「いける!!」


焦らず手早く射撃姿勢に入った、うつ伏せの姿勢でも十分に射角が取れ安定感が増す


視界中央の対戦時間を見てもまだ8分しかたっておらず

まだ初めのサテライトスキャンまで7分もある


「さぁ、どう料理してやろうか」


あるポイントに狙いを定めた

俺が陣取るビルから真っ直ぐに伸びる2.5㎞の直線の真ん中あたりより少し手前

大体この場所から1㎞の地点に脇道からの合流がある


ここにおびき出し左折したところを

真後ろから狙撃する

いくら早いとはいえライフルの弾よりは断然遅い

射線さえ通せばなんのことはないが


「この感じだと勘付かれた可能性が高いな」

分かりやすく頭をかきながら少しずつ思考ギアを上げていく


敵バイクはこちらからの射線が通りやすい十字の大通りを避けて

こちらからは見通しの悪い街中を走行している


相手はおそらくサテライトスキャン待ちといったところだろうか、こちらの位置を確定させ死角から一気にビル内部へと突っ込んでくるのだろう


「接近戦は勘弁願いたいな」


王子はにやりと頬を釣り上げた

「ここは狡猾王子の腕の見せ所だな」


リボルバーの装填数は6発であるので、この6発で一撃、上手くいけば二撃まで入れたいところである


1発目で目を潰し攪乱する

2〜4発目で目標を惑わし誘導する

おびき出したところを5発目の本命

6発目は予備&二連撃目

というところだろうか


首を軽く鳴らし体の力を抜いた

「勘違い作戦開始だ」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



《ブォーンン、ブォーーーーン》

「ちっ、いねーな」


ゲームがスタートした直後から索敵を開始したが、五分たっても全く気配すら感じない


「スナイパーか…嫌なやつに当たっちまったな」

「しかも、最悪のフィールド設定じゃねーか」


道路が整備されていて走りやすく地上戦闘ならやりやすいのだが、今回の場合だと

全くの反対というか一方的に不利な状況である

フィールド中央にセントラルビル群、フィールドを取り囲むようにサイドビルが点在している

最も高さがあるのはセントラルの中心にある240m級のタワーだ


「こちらの動きはもろバレだろうから停車は危険だろうな」



フィールドを中心にいくつかの高いビルがあるためどこから狙われてるか分からないので、こんな時はサテライトスキャンまでなるべく脇道を走り

タイミングを合わせて突撃をかけるのが鉄則だ


「とりあえず、十字の大通りは出ないようにして、走り回るしかないか」


真っ向勝負が好きな俺にとっては一番嫌いな相手だ

コソコソと逃げては見えないところから攻撃してきやがるので

鬱陶しく感じる


とは言っても俺も爆走魔王の二つ名を持つハイランカーの意地ってものがあるので

簡単に負ける気もないが


「あと7分は当たらないように俺が逃げ回ってやる」

「見えたら一気に加速してこれで跳ね飛ばしてやるぜ」

バイク後輪手前の両脇に折り畳み式の刃が仕込まれている、これより射程を拡張し

速度によっては相手を真っ二つにできるので必殺の刃となる


「俺にとっても敵にとってもこの7分で勝敗の8割方が決まるか」

「短い戦闘になりそうな予感がするな」


現在走行しているのは、セントラルビル群から1.25㎞、サイドビルから1.25㎞で

丁度両方のスナイピングエリアの中間地点である

ルートの中には開けているところもあり

狙撃される危険が増すので、回避のために多少のどちらかへの接近はやむ負えない


≪ブォーン、ブォーン≫

エンジンを吹かしなるべく速度を落とさなぬよう、立ち並ぶ雑居ビル群の間を駆け抜ける


「ここなら、まず狙われないだろう」


ビルが遮蔽物となり己に射線が通るところはほぼない

しかし、このバイクの特性上止まることは出来ないし

第一に敵の姿が全く見えないうえに

位置がバレているのに停止するなど

どうぞ、打ってくださいと言っているようなものだ


このバイクはほぼうつ伏せの体制で操縦するような形状をしており

大き目なタイヤとタイヤの間にエンジンと操縦席が埋め込まれており

可能な限りの空気抵抗を抑えた設計となっている※(ターミネーターのバイクの様な設計)


サテライトスキャンまで3分を切り

気が抜けたという事ではないのだが、最高速を保ち続けてきた体の力を

少し緩めた瞬間に、事態は急展開を見せた


もしかしたら、ずっと見られていたかもしれない

一瞬の隙を狙われた


《パヵッ!!キュァーーン》

目の前で閃光弾が炸裂し、視界と聴覚が奪われる


間髪入れず何かが爆発し衝撃が伝わってくる


「くっそたれ、何処からだ」


もろに貰ったものはなかったが

3回に及ぶ爆発による破片がザクザクと体に突き刺さり

体力が1割ほど削れた


とにかく速度を上げこの場から離脱を試みる

視界が回復してくるも、敵の姿が見えない


「ハァア???閃光弾だったぞ、スナイパーじゃないってことか」

「最悪じゃん!!」


曇天を見上げるが、敵は見当たらない


「畜生、マジで最悪、見えん!!」

建物が邪魔で視界が視界が悪すぎる

「全てが裏目かよ、時間稼ぎも、壁選びも」

「あー最悪」


もう一度空を見上げるが左右は視界が悪く

限られた範囲しか見通すことができない


「おそらくドローンからの攻撃か?」

操作主は高いところからこちらのことをじっくり観察した上で攻撃を開始したのだろう

「このクロスいよいよマジできついじゃん」

まずは、敵の形だけでも確認しなければ攻略はありえない

このまま街中にいてもやられるだけであり、すぐさま移動しなければならない

「外回りの道路までいったん引くか」


再加速を開始し、外周道路に出るための最短ルートである十字環状道路が見えてきた

「割と広いからここで見つかるか

と期待しだが、居なさそうだな」


脇道から十字道路に飛び出し外周へ向かうため左折し、セントラルビルに背を向けた直後


≪ブァシャッッ!!!≫

心臓の真下に真っ赤なダメージエフェクトとポリゴンが散っている


≪≪ヴァーーーンンァーー≫≫

遅れて銃声が聞こえ距離の遠さを物語る


あまりの衝撃に思考が停止しかける


≪チッ テューーーン≫


2発目が打ち込まれわずかにタイヤを掠めた


固まりかける思考に油をぶっかけ、無理矢理に

体を動かさせる


急ブレーキをかけ、急旋回を開始する

セントライルビルに向けて猛然と加速し始める


「最悪。意味がわからない」

「どうなってやがる」


『チカッ』

セントラルビル屋上からマズルフラッシュが見えた

反射的にハンドルを左に切り、わずかに減速する


『スッ!』

≪パーッン≫


銃弾はわずかに右を通り抜け背後のアスファルトを抉った


「ハァハッ、いいじゃん」

「後手後手過ぎてて、わらけてくる」


一瞬表情を引き締め

「つえーじゃんか、こいつ」


再びニタニタと笑みを浮かべアクセルを全開にし

セントラルビルへ突っ込んでいく



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



『カン、カラーン』

空の薬莢が地面に落ちたそばから青いポリゴンとなって消えていく


「まぁ良しとしよう」

「二発目は当たらんかったけど、魔王様は源泉体力が相当少ないらしい」

今の一撃で全体の六割もの体力が一気に吹き飛んでいる

これまでに与えた一割程度と合わせてすでに残り三割を残すだけになっている


「人のこと言えた体力してないんだけどな」

苦笑いしながらも次弾を素早く装填していく


『カシャン、パチン』

装填が完了し、敵を再確認する


「やっぱりはえーな」

もうすぐそこ300mのところまで接近していた

「あんな速度でビル内のスロープ突っ込んで大丈夫なのか??」


こちらとしてはもう余裕の勝利を確信しているためか、相手の心配すらしてみる


現状急いで構え発砲したとしても角度が悪くほぼ当たらないため

発砲はせずに敵がビルを駆け上がってくる間にさっさとズラかる計画を立てている


「フン♪ フ♪ フーン。」

余裕で相手の無茶な特攻を見物をしていた

≪バンッ、バンッ≫

続けざまに二回の爆発音

バイク前方に内蔵装備してある先端に鉤爪のついたワイヤーが発射されたようだ

それはみるみる空を駆け上りビルの屋上を越えたあたりで落下し


≪ガッキンッ、ガッキンッ≫

急速で巻き取られ、ビルの縁にがっちりと食い込んだ

「ま、まさか!!!」

目を見開いて敵の行動の細部まで凝らす

バイクのエンジンの出力が全て巻き上げ能力に変換されたかのような異常な速さの巻き上げ

次第にバイクとビルの壁につながったワイヤーが『ピンッ』と張り

そこを境にバイクの前輪が浮き始めた

「キタッーーーーーーー!?!」


バイクのタイヤにはおそらく推進力は伝わっていなのだろうがこれまでに溜めた回転力&速度は

たとえ重力に逆らおうとビルの壁を確かな速度で駆け上がる


「嘘だろ??!!」

「え?まじで!!!!」

角度が直角なのでスコープを除くことは全く出来ない

のんびり照準している時間などあるはずもなく無造作に構え引き金を引く


「そりゃ無理だ....」

発射された2発の弾丸は当たるはずもなく空しく空を切るのみだった


巻き上げの力でバイクを押さえつけつつ、元々の慣性の力も加わりたったの4秒で240m級ビルを掛けの上がった


≪≪ヴァアアアアアアーン≫≫

バイクがついに屋上の空へ舞い上がった


≪ドガッ、キュキューーン≫

着地と同時にバイク後方に折りたたまれていた羽根のような刃物が展開された

刃渡りは有に2メートルはあろうか、これが両端についているので4メートル強の射程をもつことになる


急旋回を終えた魔王が、右前方から即死の両翼刃を全開に広げビルの縁をなぞるかのように

切迫してくる


バイクの片幅2mにもなる刃から逃げれるほどの回避は己のステータスでは無理であることは

俺が一番よく知っている

刃と地面の隙間に滑り込もうにもその隙間が無い

重い装備を捨てて取り合えずジャンプして回避した場合の後はどうなる

完全な丸腰でこれこそ打つ手無し


だがしかし


「残念だったな、じゃあな」


捨て台詞を残し

俺は、240m級のビルの屋上から飛び降りた


元々の計画では相手がビルの中に入り見えなくなったところで

飛び降り逃げ切る予定だったのだが、まさかビルの壁を駆け上ってくるとは

夢にも思わなかった


ある程度スピードが乗ったところで両脇に仕込んであるムササビの様な膜を展開した


一気に抵抗が生まれ、ぐわっとスピードが落ちる

後は高度を下げて背中のパラシュートで急減速すれば多くても

2割のダメージで済む ※(カーレースに使われる減速用のパラシュート)

魔王を確認するために振り向く


「うわっっ!!」

「ミサイル!!!!」


四発ものミサイルが左右から二発ずつ俺を撃墜するべくかっとんでくる


「やられた、これを狙われたか」


先ほどの捨て台詞を全撤回したい気持ちに駆られ

顔が熱くなる


「まずいな」


高度も高く撃墜されたらまず即死は免れない

4発ものミサイルをすべてよけ切るのは到底無理なので

せめて生き残るため、知恵を絞る


「っ!!」


一瞬の気合とともにムササビ膜を閉じ再度急降下を開始する

ミサイルは少し弧を描くように方向転換を距離を詰めてくる


地上から50mほどの高さまで下がり

再展開し、ビル群の間をすり抜けていく

ミサイルの誘導も切れることもなく見事な隊列を成して全てしっかりついてくる


このまま直進すると衝突するところに100m級のビルが建っている


「いくぞ!!!!」


ミサイルがあと5秒で接触するところまで接近している

膜を操作しビルの端ギリギリぶつかるところを凝視し、突撃していく


≪≪激突≫≫

左肘あたりからビルに衝突し、一気に2割の体力が持っていかれた


『カッッ』

≪≪ドゥガーン!!!≫≫

ミサイルの先頭がビルを僅かにかすめ起爆した


腕はポリゴンとなって残ってはいるものの、左の膜はもう使い物にならなくなっている

即座に背中のパラシュートを展開し、超急減速


≪≪≪ヴァーーーー≫≫≫

  

ミサイルが恐ろしい速度で右前方抜けていく


「フッッ!!!!」


≪パン、パン、パン≫

スナイパーライフルからマシンガンのように火を噴く


≪テュンッ≫

≪≪≪≪ドゥガーン≫≫≫


ライフルの三発目がミサイルを捉え撃墜したと同時に

ミサイルの三発目がついに俺を捉えた


「ぐっ わっっ」

≪≪ボゥガーーン≫≫


ついに撃墜され黒煙を纏いながら落下していく

地面に接触する直前に旋回をし終えた4発目も俺を捉えた



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「あー残ったか」

王子の体力バーを見ると6%残っている


墜落した地点を確認し


屋上の縁にワイヤーフックの右側のみを食い込ませ

バイクごと今し方、王子が飛んだ空へと飛びこんだ


急降下していくが、ある一定の速度以上にはならない

ワイヤーの射出可能速度の時速120㎞までにしかならず

降りるのに7秒ほどかかった


これでもビルの中を入ることに比べてれば相当に早いのだが

移動しとどめを刺すとなるとわずかな猶予も与えたくない


ワイヤーを回収する時間も惜しく射出装置の根本から切り離す


ビル群の中へと落ちていったため視界が遮られる

出来る限りの最速で王子の墜落した地点へと向かう


「次の交差点を左に曲がった先におそらくいるだろう」


こちらも待ち伏せされ当たってしまえば一撃でやられてしまうため

気を抜くことは全くできない


≪バンッ!!≫

左のワイヤーが射出され交差点の手前左角にあたるビルの壁へと突き刺さる


魔王は速度を緩めることなく左折を試みる

突き刺さったワイヤーを支点に弧を描き異常な速度で90°旋回を始める


『テューーン』 『テューーン』


ライフルの弾が俺の通った軌跡をなぞるように2発目飛んできた


「あ、ぶねー」



500m先から王子が立ち膝でライフルを構え今まさき3発目が打たれる直前である


魔王は無理やりバイクの前輪を持ち上げ、後方に全体重をかけ

前輪を浮かせた


《パッーーーン》

直後に放たれた3発目はウイリーしたバイクの腹底板に当った

車体本体はこのバイクで一番の強度を持ったせているので破壊されることはおそらくはないだろうが、問題はタイヤだ

残り400mの間に破壊されてしまった場合、たとえ体力が残っていようとも急減速し制御不能は免れない



《スパーーーン》

「ちっ」

《スパーーーン》

2発の弾丸が後輪を捉えた

《パーッン》

タイヤのチューブがポリゴンとなって飛散した


「やってくれるじゃんか」


剥き出しになったホイールから火花を激しく散らしながらも即座に倒れるこなく持ちこたえた

だが、ウイリーしたまま残り100mを走行することは不可能であり前輪を下ろしたいところだが

即座に銃弾に撃ち抜かれることは想像しやすい


王子の口はフルフェイスヘルメットで確認することは出来ないはずなのだが

にやりと笑みを浮かべているのがわかる


王子の右手はライフルの引き金ではなくその上長いバレルの根本を触ったように見えた


「そう簡単にいくかよーー!!」


前輪のブレーキを全力で絞り前輪をロックした

続いて後方に乗っていた全体重を前方へ移動させるべく上体を起こし

一気に重心を移動させた


重心が移動したことにより後輪ウイリーからの前輪ウイリーへとなるはずだが

前輪のタイヤはロックされているので回転することが出来ず、力を速度に変換することはなく

力はそのまま慣性の力として魔王の体を前方へと発射した


魔王は人間大砲に打ち出された弾丸のごとく残りの50mを飛翔した


≪ゴチンッッ≫

王子は飛んでくる魔王に遅まきに気付きライフルを盾代わりにした様だが

ライフルもろとも王子に体当たりをかました


ライフルは3つに分解し、王子の体力も今の衝突で残り2%あるかないか、というところまでになっている


このまま二人そろって地面に倒れ込めばその衝撃で体力が削れ王子の体力は0になり、魔王の勝利が決定する


はずだった。


≪≪ドガヵッ≫≫

突然また意味の分からない衝撃が顔面を襲った


両者、足は地面についておらず打撃を振るう力など生まれるはずがないのに

恐ろしいスピードで繰り出された王子の右アッパーを魔王はもろに食らった


魔王の体力も残り2%ほどとなってしまい両者同時に


地に倒れた






























読んでいただきありがとうございました。

次回で最終回です

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