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神愛  作者: 近野万智
4/10

サークル


「あ...」

我は彼女のものと思われる落とし物に気づいた。学生証だった。

「うちらの大学と同じじゃん!しかも学部も学科も!!」

「「白咲 桜」」そう書かれていた。

「早く届けなきゃ大変だよ!」

「そうだな、、」

上東大学では教室に設置してある端末に学生証をかざすことで出席となる。

「でも、ここで拾ったものを大学に落とし物として届けるのもなぁ。」

とりあえず今日1日は持っておいて、それでも会わなかったら交番に届けることにした。それにしても朝から災難だった。さらにこれから興味もないサークルを見に行くなんて気が重いにも程がある。

学校につくと、キャンパス内はとても静かに感じた。昨日が騒がしすぎたのだろう。

「お前が見たいサークルってなんだよ?」

「旅行サークルだよっ!」

よりによって旅サーとは。みんなでワイワイして行きたくもない奴らと金かけて旅行。悪夢である。

そんなことを考えているうちに旅サーが活動している部屋の前についた。

「ねー、俺やっぱやめ」

「失礼しまーす!!」

我が話してる最中でも玲奈はおかまいなしに勢いよく扉を開けた。

「旅行サークルに興味があってきたんですけど、、」

部屋には二人しかいなかった。そのうちの金髪ピアス、日サロにでもいっているのだろうかという黒い肌の、いかにもチャラい男が近づいてきた。

「おぉー!一年生?来てくれてありがとね!俺、サークル長の馬場隼人って言いまーす!馬場ちゃんて呼んでねっ、よろっ」

絵にかいたようなチャラい自己紹介をかましてきやがった。

「法学部一年の藤堂玲奈です!」

「神道陽です。」

一応名乗った。

「へー!玲奈ちゃんか!めっちゃキレイ!彼氏いるの?どこ住み?」

我をフルシカトである。玲奈が答えるのに困っていると、メガネをかけたもう一人がきた。

「藤堂さん、困ってるからー。ついでにその状況に神道くんも苦しがってるからー。」

先に派手を見てしまったからとても地味に見えるが、おそらく並みであろう。顔も並みだな。

「俺は泉徹。馬場ちゃんもおれも経済学部の3年生。よろしくね。」

「よろしくお願いします!」

玲奈と我は奥に通され椅子に座った。このサークルの部屋は広く、中央に大きな机があり、その回りにたくさんの椅子がある。さらに右端にはソファーが、三個ほど連なって置いてあった。冷蔵庫、テレビ、電子レンジ、ポットもあった。

「いやいやいやー、美男美女が来てくれて嬉しいよー!あんまりイケメンにこられても困っちゃうんだけどね!!」

「…ははは。」

笑えぬ。早く部屋から退出したい。しかし、ここからサークル活動の説明にはいった。この旅行サークルはみんなで行きたいところを決めて大学が休みのときに旅行をし、それ以外のときは特に活動はないらしい。

「この部屋は自由につかっていいんだよ!昼飯食べたり、空きコマつぶしたり!」

緩いサークルだな。しかし、部屋を使えるのはなかなかいいかもしれない。

そんな話をしているとノックの音がなり、扉が開いた。

「失礼します。」

とても小さい細い声が聞こえた。ドアの方を見た瞬間「あっ!!」と思わず声が漏れてしまった。今朝助けた彼女であった。彼女は深いお辞儀をしていた。拾った学生証の名前を思い出した。

「白咲さん...」声に出すつもりではなかったがふと口に出してしまった。彼女は驚いたようにすごいはやさで顔をあげた。我は彼女のもとへ近づいていった。

「覚えててくれたんですか??」

「??えーと、学生証落としていかれてたので名前見てしまいました。」

白咲さんは顔を赤くした。

「なんでもないです、すみません。学生証ありがとうございました!」

学生証を渡した。

「なになにー?二人はお知り合いなの?」

馬場ちゃんだ。かるい。

「いえ、朝たまたまあっただけです。」

「やっぱり覚えてないんだ、、」

白咲さんがなにか言ったが気に留めなかった。

「キミもこのサークル入りたいの??」

「は、はい!法学部一年の白咲桜です、よろしくお願いします。」

小さい声だった。

「桜ちゃんかー!かわいいねぇ!彼氏いるの?どこ住み?」

玲奈に聞いてきたときと同じことを繰り返す。それを泉がとめる。どうやらお決まりのパターンらしい。

再び奥へ戻ると玲奈が俺の席に座っていた。

「陽、奥座って。」

白咲さんと喋りたいのだろう。言われるがままに奥へ座った。玲奈を真ん中に三人座り、サークルに入るか最終確認された。

「入ります!陽も入ります!」

もう反抗する気もなかったから、お願いしますとだけ言った。白咲さんも入ると言った。

断れる雰囲気ではなかったからなのだろうか。

「三人ともよろしく!とりあえず最初の旅行はGWに新入生歓迎会旅行を予定してるから!」

このとき我はいくらかかるのだろう、費用のことしか頭になかった。

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