日常
さて、勧誘に捕まる前にさっさと帰宅するとしよう。上東大学から最寄り駅まで徒歩10分、そこから電車で30分、さらに10分程歩いたところに我の家、いや、神道陽の家がある。駅から家までは自転車でいった方が速いが、我はそれをしない。なぜなら我は自転車に乗れないからだ。
「ただいま~」
「陽ちゃん、おかえり~♡今日の新入生代表の言葉、とっても良かったわよ♡まるで若い日のパパを見ているようだったわ~♡」
「…そっすか、」
このキャピキャピしたおばはんが我の今の母親である。名前は神道百合恵、歳は40。正直このキャラはもう限界な年齢だと思う。
二階の自分の部屋へ行き、着替えを済ませてからリビングへ行くと、ソファーに妹が寝そべって雑誌を読んでいた。我は心のなかで雑誌など似合わぬと思った。
「お兄ちゃん、おかえり。大学初日どうだった??」
「別に大したことないな。みんなアホそうだった。てゆうか、アホだと思う。」
「またそーゆーこと言うー。お兄ちゃん友達いるのー?笑」
兄である兼神(見習い)である我にたいして無礼な態度をとった妹の名は神道栞。高校二年生で見ての通り生意気。我が神になった暁には妹という家族ポジションを抹消してやりたいものだ。
「友達くらいいるわ!一人…」
必死の抵抗をした我だが、よく考えてみると、そもそも友達が必要なのか?と、ふと、我は我に返った。((我は我に返る))少しうまいことを言ったと思い、にやけてしまった。と同時に妹が変態を見るような目で我を見ていた。ちくしょう。
「心から信じあえる友達が一人でもいればいいのよ♡パパも昔一匹狼みたいでね、、♡」 その時、ちょうど父が家のドアを開ける音がした。
「ただいま~」
今日は早めの帰りだ。母が玄関に一目散に走っていった。
「おかえりパパ~♡」
「ただいまママ~♡寂しかった??」
気持ち悪いが二人はいつもこうだ。我にとって仮の父母であるのでまだいいが、妹が少し不憫だ。二人が風呂に入りにいってしまったので我が夕食を作る。大抵いつもそうである。今日は栞のリクエストでオムライス。料理など神見習いの我にとって容易いことである。
「おいしそう~♡」
栞と我、二人で先に食べているところに父と母が風呂からあがり、リビングに来た。我の料理に、もちろん満足していた。
夕食を終え、風呂を済ますと我はいつもすぐに寝る。早く時が経ってほしいからだ。布団に入ると今日、玲奈に言われた約束を思い出す。
「めんどくせーなー。。」
そう呟いて我は目を閉じた。