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「ようこそ来てくれたね リシュアム嬢 」



「瞳の色にその宝石がよく映えている

しばらく会わないうちにまた綺麗になられたねぇ


本当にあの幼い じゃじゃ馬のリシュかい?

ギル坊と 木に登り降りられず泣いて雨を降らしたあのリシュなんだね」


ブリュール伯爵の屋敷の階段を兄様にエスコートされ登ると懐かしい顔が迎えてくれる


ブリュール伯爵は祖父の友人である


伯には娘しかおらず

孫が拝爵できるまでと

言語に長け 人好きな性格をいかし

今も精力的に外政の仕事をしている

やり手で有名だ


リシュにとっては ただの食いしん坊のおっさんだけど


「お招きいただき光栄です

ブリュール閣下

舌の肥えたおじ様の晩餐会ですもの

とても楽しみにしていましたのよ

ただお褒め頂いて恐縮ですが、

残念ながら中身は今もあの頃のままですわよ」


いたずらに笑みをたたえ

リシュが答える


伯は豊かな髭を撫でながら


「すぐに 自慢のオルゴールは隠して仕舞わないといけないね

あの頃のきみ達は不思議なものに

探究心がすぐに負け

バラバラによくしてしまったからね」


ふふふ


リシュはじわっと心が温かくなっていく


「大丈夫ですわ 閣下

リシュも少しは大人になりましたのよ

『知れないからこそ 素晴らしい 』 ですわね?」


バサッと熊のような伯の身体に抱きしめられた


苦しいです おじ様

リシュの肺は潰れそうだ



「ーー 本当にッ 本当によく来てくれた リシュアム わしは誰よりも君をここに迎えたくて仕方なかったんだよ」

「 おじ様…」

リシュの口が言葉をつむごうとしたとき



カッカ




広い玄関ホールに響く擦過音



伯が、情けなさそうな声で

「…リシュどうしようか?

アルフレッドが凄い顔で睨んでいる」


リシュに耳打ちする


どうやら後ろで待つ兄様が

ステッキに苛立ちを込めているらしい



「大丈夫ですよ 兄様も親になられてから 広い心を学んだそうですし」

リシュが小声で答える


「…アレでか?」


そんなに信用出来ない様子と言う事ですね

伯爵様




「いつまで 僕のリシュにくっついているのです ……北方に飛ばしますよ」


リシュが折角褒めてくれているのになぁ〜

やれやれと

私を離したブリュール伯は一歩下がる


「これは これは

アルフレッド グレール伯爵様

そこにおいでで 失礼いたしました

今日は 若いもの達の交流が目的の晩餐会 珍しい方々もおよびしています

その為に 皆様に 少し 目を瞑る

お目こぼしをお願いしていますよ」

今気付いたとばかり アルフレッドに声をかける



「それにしても アルフレッドよ

脅しはこっそりやるのが紳士のたしなみ


王下騎士団の名が泣くな


だから若僧だというんだ

やはり

まだお前には早かったんじゃないか?」



アルフレッドはリシュを引き寄せる


「…早く案内しろ 熊ジジィ」


やれやれ

お兄様 素を出しすぎです





主賓クラス が来る頃には

もうすでに 大広間には沢山の人がいる


「リシュ 深呼吸だよ 」

頭を撫でてから 凛々しい姿で腕をさしだす


「大丈夫です お兄様 今度は心構えができています

さぁ 連れて行ってくださいませ」


リシュは手を添える


扉番が名を呼びあげ 扉を開いた





























すいません 全然 『貴方』が出てませんが

もうすぐ正体がバレるはずです

……多分

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