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王都の夏も暑い
領地に比べれば湿気も少なく 昼を除けばだいぶ過ごしやすい
でも夏が苦手なリシュにとっては同じである
暑い
「リシュラム様 その格好はいただけません」
見上げれば
従女の プリムが情け無い顔になっていた
「…だって暑いんだもん 自室にいる時ぐらい いいじゃない 本当は裸になりたいぐらいなのよ?」
プリムに言わせれば ほぼ裸である
「子女とは、そういうのにも耐えるのが習わしです 文句言われずはやくこちらの服を着て下さい
大体 さっきまで着られていた服をどうやって脱がれたのですか? あれは後ろのボタンをはず…」
「 ギルがさっき部屋に挨拶に来てくれた時
お願いしたのよ
数が多くて面倒くさいって文句言いながらも、はずしてから仕事に戻ったわ
あの子が遅刻したら私のせいね 大丈夫かしら」
プリムが絶句してサマードレスを落とした
ギルことギルベルト カリムは
今年から 王都にある研究所の研究員として働きだした リシュの一つ違いの弟である
今朝 王都に上がってきたリシュに良い本がありますと 手土産を持って来たのだ
よく双子に間違われた二人だか 最近では身体が出来てきたギルは 若い日のアルベルトに似てきたらしい
それからプリムは無言でリシュの服を整えて
お茶を取りに行きます
といって退室した
「…あれはかなり怒っているわね〜
一晩寝たら機嫌が直っててくれないと困るわね」
プリムはよい姉のような侍女である
気も回り手先も器用で 何より根が優しい
だからいつも 子女らしくできない私に怒るのだ
情があるから
怒り と 許し を繰り返せる
ギルだから頼んだんだのよプリム
アル兄様は駄目
もう一人の弟も駄目
ギルは特別
過保護気味の家族の中でいつも私を普通に見てくれる
寝室に続くリシュ用の書斎には山程積まれた書類が主を待っている
明日半分に減らしていたら
プリムの機嫌は治る?
いや 夜更かしは美容に悪いとまた叱られるのかも