お題『プール、爆弾』
AくんとBくんはビニール製の買い物袋を両手に引っさげて、市民プールの入り口に向かって歩いています。
入り口を抜けると、受付のおじいちゃんに声をかけられました。
「AくんBくん、その袋の中身はなんじゃ?」
AくんとBくんは袋の中身をおじいちゃんに見せてこう言いました。
「ねんど! 夏休みの工作で使うんだ!」
たしかにそれは、青色に着色された粘土のように見えました。
「おぉ! 粘土か! わしもコドモん頃はよく遊んでたのぅ……」
おじいちゃんはそれが粘土だと信じて疑いません。
Aくんは星型の粘土をおじいちゃんに差し出しこう言いました。
「はい! 幸運のお守り! 身につけていると天にも昇るくらいシアワセな事が起きるんだ! ぼくが作ったんだよ!」
おじいちゃんは「おお! ありがとや!」と言いながら喜んで受け取ってくれました。
AくんとBくんは更衣室に向かいます。更衣室に入り際、Bくんは一度だけお祖父ちゃんの方に振り返り、「ちゃんと身につけててね!」と言いました。
※
更衣室に入るとAとBは腕時計を確認した。
午前十時ジャスト。この時間になると徐々に客足が増えてくる。
AとBはできるだけ怪しまれないように、室内にある使われていないロッカーの鍵穴に粘土……プラスチック爆弾を詰めていった。
AとBは小学生ながら市販のポリイソブチレンと家にあるモーターオイルで爆弾を作っていたのだ。
図書館の本や映像資料で色んな知識を身につけ、そして彼らは最も擬装効果が高いと言われている爆薬を作り上げたのだ。
しかし、いくら爆弾を作ろうが彼らは小学生である。好奇心には勝てない。この作ったプラスチック爆弾によって壊れゆく人、モノが見たかった。
「行くぜ、A?」
Bが緊張した面持ちでAに言った。
Aは唾を飲み下したあと、頷いた。
それを合図にBは、
「いっけね! ゴーグル忘れた!」
「お、おれも!」
更衣室からバタバタとAとBが飛び出した。そのまま走り、おやおやと笑っている受付のおじいちゃんの横をすり抜けていった。
施設を出たAとBは家の方向には向かわず、爆発に巻き込まれない範囲まで走った。
「ここまで来れば安全かな」
Aは息を切らしながらそう言う。
「うん……。……あ!!!」
Bが何かを思い出したように口をあんぐりと開けた。
「どうした?」
Aが聞く。
「おまえ、起爆装置作ってたっけ?」
「あ……」




