第5章 天空の楽園(前編)
ジュリー視点
最初の樹林島で一泊し、翌日の早朝。一番早く目覚めたのはジュリーだった。ぼんやり海辺を見つめていると、遠くの上空に川が流れる巨大な山が浮いて…?
(なんで!?浮いてる!?)
「お二人共!!起きて下さいよ!!山が…山が浮いてます!!!」
急いで二人を起こすが、寝言を言うだけで何も変わらなかった。
「もう!いいですよ!!私一人で行って来ますからね!!…後悔しても知りませんからっ!!」
そして、ジュリーは水色の『飛行』カードを手にし、自分の荷物だけを持って行ってしまった。
(も~、相変わらずあの二人は寝付きが良いんだから…。でも、これで私が卵を見つけたら…くふっ!)
そんな考え事をしている内に、山の目の前までやって来た。遠くから見た時とは違い、迫力が凄く勇ましい。川は未知の魚が楽しそうに泳ぎ、草原には鹿や兎等の草食動物が仲良く暮らしている。まるで、天空の楽園の様だ。
「あれ?あんな所に女の人が…話しかけてみよう!」
一際大きな大木の根元に、とても美しい青色の長髪の女性が座って、虹色の小鳥達と遊んでいた。
「すみませ~ん!この島の方ですか?」
女性はこちらに気付くと、ニッコリ微笑んで立ち上がった。
「あら、珍しいですね…こんな辺境に地上の住人が訪れるなんて。」
(わあ、綺麗な人…。)
「?どうかしましたか?」
「あっ!いや、綺麗な髪だと思って…アハハ。」
すると、女性は少し恥ずかしそうにしながら手を差し出した。
「ありがとう。私はセナ。エンジェリー·セナよ。」
「私はローン·ジュリーです。ジュリーって呼んで下さい!」
セナと名乗った女性は髪を耳にかき上げ、青々とした空を見上げてこう言った。
「『正しさなんて物、大人にも分からない幻想』ですよね。」
「え?」
「『形無いからこそ、感じようと思える』。あ、ごめんなさい…私の母が教えてくれた言葉でして。」
どこかで聞いた事のある…歌だった気がする。何故か懐かしい。
「…そうです!折角ですし、私の家に来ませんか?」
「え、いいんですか?」
「服が汚れているみたいですので、私ので良ければ着替えていって下さい。」
あぁ、そうだった。昨日の捜索で服が汚れていたのだ。
「ん~じゃあ、お言葉に甘えて…。」
「クスッ…では私について来て下さいね。」
とりあえず、セナの家にお邪魔する事にした。




