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第七話:複雑な恋心

今回は好いた男を恋慕う想いと肉親に幸せになって欲しい気持ちを絡ませて書いて見ました。

夜になる一刻前に店に辿り着いた。


「ただいまー」裏口から中に入るとテーブルに料理を置いている、お葛がいた。


「あ、お帰りなさい。空牙様、お姉ちゃん・・・・・・・・・どうしたの?」夜叉王丸に背負われた水藻を凝視する。


「・・・・・えぇと・・・・・・・・」返答に困る水藻。


「俺の勘通り、奴ら水藻殿を襲おうとしていた」


「ッ!?」


「まぁ、間一髪の所で間に合ったんだけどな」お葛は安堵の溜め息を吐いた。


「本当にありがとうございます。空牙様」


地面に下ろされた水藻は改めて礼の態度を取った。


「なぁに、用心棒である以上、依頼人の身は守らないと・・・・・・・・」


「それでも、礼を言わせて下さい」


「あの時、空牙様が助けに来てくれなかったら私は


「あの時、空牙様が助けに来てくれなかったら私は今頃・・・・・・・・」



「俺が用心棒である限り水藻殿もお葛殿も守ってみせるから・・・・・・・」


「そんな泣きそうな顔をしないでくれ」


いつの間にか涙を流していた水藻の頬を優しく撫でる夜叉王丸。


「・・・・・空牙様」水藻は涙を拭き頷いた。


「・・・はい。頼りにしてますから」


「あぁ。任せてくれ」にっこりと笑う夜叉王丸。


二人が慰め合っている間にお葛も自室で涙を流していた。

『・・・・・・・どうしてお姉ちゃんなの!?」


涙を流しながら夜叉王丸に慰められていた姉に嫉妬した。


『ダメ!お姉ちゃんは私より大変だったんだから・・・・・・・・!?」


しかし、直ぐに嫉妬した自分を叱った。


二親が亡くなってから、水藻は、お葛の幸せだけを願って自分の事は後回しだった。


好きな物や欲しい物を諦めて、自分を養うために捨てていった。


そんな姉を信頼し誇りに思った。


だが、同時に激しく嫉妬した。


何時までも大人として扱ってくれない。


店の切り盛りだって百七十歳の時に、やっとの思いで手に入れたのだ。


“私も働ける歳だし一人で出来るよ!?”


この言葉に渋っていた姉も折れて、店の切り盛りを任せて貰えたのだ。


しかし、子供扱いされるよりも我慢ができなかったのは・・・・・・・・


「どうして、私が好きになった男の人は、お姉ちゃんを好きになるのよっ」



更に布団に顔を沈め、握り締めていた枕にも力を入れた。


献身的な上に美人な姉に幾度となく求婚する男性がいた。


その中には、初恋の相手もいた。


初恋の相手は幼なじみで同い年の男性。


幼い頃から遊んだ中で何時の間にか、恋い慕うようになった。


百七十歳の時に意を決して告白したが、無惨にも振られた。


“お葛は水藻さんじゃないから無理”


これが初恋の男性から送られた言葉だった。

これを機に仕事により力を入れた。


仕事に打ち込んで失恋の辛さを忘れようとした。


結局、幼なじみの恋も失恋に終わったが、お葛の心には大きな穴が残った。


二百歳になった時に、再び恋をした。


店の用心棒、時雨空牙だ。

浪人だが、礼儀正しく人柄がよく、何より店と自分の身を守ってくれた恩人。


今度は成就したいと思ったが、空牙も自分を女性として見てくれなかった。


歳の離れた妹や娘を可愛がるような扱いだった。


姉には自分より幸せになって欲しいが、自分だって人並みの幸せを掴みたい。


好いた男と慎ましいながらも幸せに暮らしたい。


しかし、好きな男が自分より姉に好意を抱いているために、その夢は叶わない。


大好きな姉と争いたくはない。


だが、好いた男を姉に渡したくもない。


心の中で二つの想いが葛藤して胸が強く締め付けられた。


複雑な恋心を気にしながら自分を呼ぶ姉に返事して自室を出た。

どうでしたか?あまり簡潔に書き過ぎでしたか?

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