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第十五話:追いつ追われつ

最近、更新が遅れてすいません!!

「・・・・・・ん?」


玉藻と横になっていたが何かを感じ取ったのか起き上がる夜叉王丸。


「どうしたの?飛天」玉藻も起き上がって尋ねた。


「どうやら月黄泉が追い掛けて来たようだぜ」


「予想より早いわね」大して驚きもしない玉藻。


「しかも、水藻殿とお葛殿を連れて来てるぞ」


「あらあら、二人も災難だこと」少しも哀れんでない口調だった。


「どうするんだ?素直に捕まるのか?」


「冗談でしょ?この私が簡単に捕まって上げる訳ないでしょ?」


ニヤリと笑う瞳は心から今の状況を楽しんでいた。


「そうだな。姫はそんな甘い女じゃなかったな」


夜叉王丸は苦笑して懐から竜笛を取り出した。


「俺も少しだけ邪魔してやるか」


「魔曲、“魔霧”」


竜笛を吹き始めると霧が濃くなり周りを包み込んだ。


「相変わらず聞く者を心酔させる音色ね」


うっとりと声を漏らし夜叉王丸にもたれ掛かる玉藻。


「これで暫くは足止め出来るかな?」


玉藻の肩を優しく抱いて銀髪を撫でる。


「えぇ。十分だわ」白く長い指を夜叉王丸の頬に触れる玉藻。


「私と貴方が一時の逢瀬を楽しむのには十分よ」


「そうだな。五月蝿い奴らが来るまで楽しむか」二人は折り重なるように再び床に倒れこんだ。


「愛してるわよ。飛天。それも殺したい程にね」玉藻の言葉に夜叉王丸は微笑んだ。


「罪の業が大きな姫さんだな。まぁ、そこが良いんだがな」


静かに、しかし深く玉藻の唇に口付けを落とした。







「・・・・・むっ」霧が深くなり周囲が見えなくなるにつれ妾は不快な気持ちになった。


この霧、ただ自然に起きた霧じゃないな。


「ど、どうなさいましたか?月黄泉様っ」


水藻が妾の微かな反応に気付いた。


「この霧は飛天が起こした霧じゃ」


「えっ?」


「夜叉王丸様が?」


「あ奴は養子でも地獄帝国の皇太子。この程度、造作もない事じゃ」


妾の言葉に絶句する二人。


この二人は自分の夫がどれ位、力があるのか知らんようじゃな。


まぁ、それも仕方ないかのう。


飛天の功績は伽話のような功績じゃからな。


疑われても仕方ない。


飛天の功績が本当だと証明できる者は戦場を共にした者だけじゃ。


「信じる信じないは主らの勝手じゃが、油断していると倍返しを食らう事になるぞ」


大真面目な顔で語る妾を見て二人は小さくだが、こくりと頷いた。


「飛天がただの霧を発生させたとは思えん。二人とも油断するでないぞ」


飛天が妾に牙を向けるとは思えんが、油断は禁物じゃな。


妾と二人の側室を乗せた牛車はゆっくりと霧の深い道の中に入って行った。

もう少しで終盤だと思います。長編より中短編になりそうな感じです(爆)

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