第十四話:道行き不安
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ゴトン、ゴトン
妾と側室の二人を乗せた牛車はゆっくりと飛天と母上の牛車を追っていた。
しかし、その速さの遅さに妾は苛立っていた。
「遅い。これでは母上の牛車に追い付けぬではないか!?」妾は苛々と扇を叩いた。
「ま、まぁまぁ。落ち着いて下さい・・・・・・」水藻が宥めるように言った。
「主は心配ではないのか?!仮にも自分の夫が消えたのだぞ!!」
「そ、それは心配ですが大御所様と一緒なら大丈夫ではないでしょうか?」
水藻の言葉にお葛が頷いてみせた。
「主らは何も分かっとらんな。母上が一緒だから心配なのじゃ」
「「・・・・・・・?」」
二人は首を傾げる。
「母上の実力なら簡単に飛天と人間界に行って身を隠すなど造作もない」
「そうなれば厄介じゃ」自分だけが唯一の存在になりたい。
「母上が飛天と恋人だった時があったのは知っておるじゃろう?」
二人して頷く。
「母上が手傷を負っていた所を飛天が助けて手当てをして看病し、更に追っ手から命懸けで護り抜いたらしい」
人間の頃から無茶はしていたようじゃな。
「別れの時に、また会う約束をしたらしい」
「・・・・・そして約束を守り二人は再び会った」
話し終えて二人を見る。
「・・・・・あの、話しを聞いていると夜叉王丸様と玉藻様は運命の赤い糸で結ばれているような気がするんですが・・・・・?」
怖ず怖ずと言った口調で水藻が言ったが
「何を言う!?緊急事態ではないか?!愛し合う二人が愛の逃避行をするかも知れないではないか!?」
「そ、それはそれで良いではないでしょうか?」消え入りそうな声でお葛が言った。
「お葛!お主は嫌ではないのか?!愛する飛天を奪われたのだぞ?!」掴み掛かり揺さぶる。
「つ、月黄泉様っ、落ち着いて下さい!!」水藻が静止を呼びかける。
「ぐぅぅぅぅぅ」乱暴にお葛を解放し妾は扇を握り締めた。
「おのれ・・・・・・・母上。この妾から飛天を奪い去るとは!!」握っていた扇が音を立てて粉々に砕け散った。
「この怨みどうして晴らしてくれようか・・・・・・・・・・?」
「「ひぃ!!」」水藻とお葛が悲鳴を上げ抱き締め合うのを尻目に妾はどうやって母上から飛天を取り戻すかを考えていた。
「・・・・・・覚悟しておれよ。母上。必ず飛天を連れ戻してみせる」
憤る妾と怯える側室の二人を乗せた牛車はゆっくりと歩み続けた。
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