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獣様と私  作者: あむ
獣様と私と時々師匠
8/13

野いちごとウサギさんと 前編

なんだかんだで読みきり展開中。

今回は2話に分けてあります。

「わー木がよけてく~~♪」

猫のバスに乗って、ではなく、漆黒の獣にまたがって、森を走る。

動物も、草も、木も、道を作るようによけていく。爽快って、こういうことを言うんだね!!


ただ今、獣様の背中に乗って、森に薬草狩りにきておりまする。

いつもの日課プラス、野いちごのジャムを作る材料集めもしようと思って。

で、出掛けようとしたら獣様も付いてくるって。この前みたいに一緒に歩いていくのかと思ったのに、背中に乗れって言われたのでございまするよ!!

もふもふに触れる!! しかも乗れるなんて!!

いつの間にかよだれが垂れてたらしくてドン引きされたけど、気にしない!! 一度言ったことに責任もってもらいます!!


そんなわけでまたがった獣様の背中は…もう最高!!

もふもふというよりは、サラサラしっとりな毛並みに、がっしりと安心の肉付き。暖かな体温と、程よい揺れ…。さらに、何か魔法をつかってるのか、どんだけ早く走っても程よい揺れと心地いい風を感じるだけというステキ設計!!

まさに、快適至極な背中でござる!!

このまま寝たらきっとステキな夢が見れる…。


『寝たら振り落とすぞ』


は、なんでわかったんだろ…。

うっとりうとうとしかけたところで、釘を刺された。残念。

あ、よだれが垂れてた。ばれる前に拭いておこう。


『……次はないからな』

「あ、ばれてた…」



そんなこんななやり取りもまた楽しい。


そうそう、獣様は元魔王様で、フェル様でもあるんだけど、ん?なんか違う?まあいいか。

まぁフェル様は今みたいに獣の姿にもなれるし、私と同じ人型にもなれるけど、どっちがホントの姿とかはないんだって。獣にもなれるし、ヒトにもなれるし、鳥にだって龍にだってなれる。自由自在なんだってさ。すごいね!!

試しにアリになってくださいって言ったら拒否されたけど…。なんでかな。私、踏んだりしないのに…。

あの檻を出てからは、だいたいずっと人型でいるみたい。なんでかって聞いたら、この姿が一番ご飯が食べやすいからだって。確かに、獣姿だと熱いの苦手そうだもんね。……ん?猫じゃないから大丈夫?

けど、森の中とかは獣姿のがいいんだって。4本足で安定感? それか、森の王者的な? だからみんな避けてくのかな。便利でいいけど、動物に避けられるのはちょっとさみしいかも。



まぁ、そんなこんなで森の中の空き地にやってきました。

ここに野いちごが群生しているのです!

ついでなんで、ここでお昼食べようとお弁当持参できたんだ。ここは日もあたって気持ちいいんだ~。

あ、ちゃんと師匠の分は家に作り置きしてきたから大丈夫だよ!

師匠も誘ったけど、来なかったんだよねぇ。あんな奴と一緒に行けるかって。そろそろ仲直りしたらいいのに。

ん? 仲良かったことはないから、仲直りではないか。

まぁなんにしろ、仲良しこよしがいいと思うのになぁ。



とか思いながら獣様の背中から降りたら、さっそく何かの穴に落ちた。

足を引き抜いてみれば、可愛いウサギさん。どうやら彼女の巣に足を突っ込んでしまったらしい。


「ごめんねぇ。お騒がせしました」


軽く巣の形を整えて、お詫びのしるしにお弁当のサラダをおすそ分けした。

さっとレタスを一枚咥えて巣に引き返したと思ったら、今度は小さな子ウサギさんたちを連れて出てきた。そして、みんなで揃ってサラダをもぐもぐ。めちゃかわいい!!



「俺のメシはまだか?」


子ウサギさんたちに癒されてたら、いつの間にか人型に戻った獣様にせかされた。

そういえば私もお腹すいた…。

子ウサギさんのお食事シーンは惜しいけど、自分の食事も大切だ。

よし、食べよう。


もちろん食べるのはウサギさんではなくて、持参したお弁当。

サンドイッチにから揚げ、ウインナー、卵焼き。簡単につまめるものばっかりだけど、早朝から張り切って作ったんだ。さらに、こんな風に外で食べるっておいしさアップアップだよね!


「おいし~~!!」

「お前は本当においしそうに食べるな」


うまうまと食べてたら、なぜか獣様に笑われた。しかもなんだかいい笑顔。イケメンの笑顔は武器であるよ!!

師匠もイケメンだけど、こんな風に柔らかに笑うことはないから、照れてしまう。

照れ隠しにもう一つサンドイッチをほおばる…つもりが、つかんだのは子ウサギだった。なぜに……。


「踊り食いはどうかと思うぞ?」

「…私もそう思う……」


そっと放してあげたら、慌てた感じで巣に入っていった。

うん、ごめんなさい……。


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