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獣様と私  作者: あむ
獣様と私と時々師匠
6/13

元魔王と元魔術師と

後日談。書いちゃった。

「うまい」

「ありがとう。こっちのパンもおいしいよ~」


ポテトを一口食べた獣様、改めフェル様が発した一言に嬉しくなって、パンもすすめてみた。

今日の朝食は中はホクホク、外はカリカリの揚げポテトに、ふわふわに焼いた卵をかけて、それに採れたてサラダと焼きたてパンを添えたもの。パンもチーズを練りこんだ自家製。ちぎって口に入れるとチーズの風味が口いっぱいに広がっておいしいんだ!


「あぁ、確かにパンもうまい。お前は料理だけはうまいな」

「えへへ。ありがと」


褒められるのは嬉しいものだ。

あれ、……褒められた、よね?

まぁ、いつも師匠は黙々と食べるだけで、全然感想言ってくれないし。

なにか言ってくれるだけで場が華やぐ。

やっぱり、料理は楽しく食べないとね。



「……なんでワタシが、元魔王(こいつ)と肩を並べて喰わなきゃならないんだ」


そんな、和やかな食事の時間に放たれたのは、ずっと無言で食べていた師匠の言葉。

ただ今、丸テーブルに私とフェル様、そして師匠の3人が座ってまする。


「今が食事の時間で、席がここしか空いてなかったからじゃないか?」

「そうそう。このテーブル、元々は4人掛けだけど、椅子一つ壊れちゃったし」


まぁ壊したのは私だけども、それはまぁ今はいいか。

私とフェル様が事実を言ったのに、師匠はまだなんだかご機嫌斜め。

そんなに眉間にしわ寄せたら、せっかくの美形が台無しですぞ?

この前200歳越えが発覚した、見た目30台くらいの若作りな師匠。

顔だけはいいんだから、もっといい顔してればいいのに。


「そういうことを言ってんじゃない。

 だいたい、なんでお前はそうやって、厄介ごとばっか巻き起こすんだ」

「お前の弟子だからじゃないか?」


憤慨する師匠と、それに淡々と応える獣様。

なんかちらっと私の悪口が聞こえた気がする。

厄介ごと……身に覚えがありすぎるゼ……。


「そういえば、師匠は獣様を倒しに行ったのに、なんで獣様はピンピンしてるの?」


未だ発覚してないであろう『厄介ごと』が発覚するのを防ぐために、話題を変えてみた。

ま、気になってたことでもあるし。

勇者御一行とともに魔王退治に出掛けた師匠が、手ぶらで帰ったとも思えないし。

倒されたはずの獣様が、元気に師匠と肩を並べてご飯食べてるってのも不思議だし。


「……」

「師匠?」


ザ・無言。

眉間のしわが更に増えてますよ!


「……思い出したくもない」


更に問い詰めてみても、そんな返事。ツレナイわぁ。

だったら、と質問の相手を変えてみた。


「あぁ、めんどくさいから、魔王を放棄した」

「え、魔王を、放棄?」

「俺は何もしてないのに、なんで倒されねばならないんだ。

 返り討ちにするのは容易いが、それも面倒だった。

 だから、魔王の位を別のものに移して、城を出たんだ」

「じゃあ、師匠とは会ってなんだ」

「いや、城を出たところで挨拶だけはしておいた」

「あいさつ……」


師匠から発せられる負のオーラが激しいっす。

魔王ってそんな簡単に辞めれるものなの?

代理の魔王ってどんな奴だったのかとか、挨拶ってどんなだったのかとか、聞きたいけど、今は止めておこう。私だって、空気読めるんです!


「あ、じゃあなんで、檻に入ってたの?」


空気を読んでまた話題を変えてみた。

わざわざ魔王を辞めたのに、なんで捕まってたのか。しかも、簡単に出れたっぽいし。


「ああ、暇だったから」

「暇つぶしで、捕まってたの?」

「そうだ」

「……変なの」


獣様って、不思議。

暇つぶしで捕まるとかありえないのに、獣様だからありえるのかもとか思えてしまう。

変なヒトだ。


「お前の師匠も、充分変なヒトだと思うぞ」

「へ?」


最後のセリフは心の中でつぶやいたつもりだったのに、口に出ていたらしい。

チラリと見れば、少し弱まったきていた師匠の負のオーラがまた復活している。

あわわ。


「師匠は口が悪くてちょっとロリコンなだけで、変態ではないはずだよ!!」

「……いつまでもしゃべってないで、さっさと食べて薬草を取って来い」


負のオーラに包まれた師匠は、さっさと席を立っていってしまった。

えっと、私のせい、じゃないよね? ね?

…あ、食事はいつの間にか完食していたらしい。早いな。

獣様も特に気にしてないようで、のんびりと食事を続けている。

私? もちろん気にしてないよ! 師匠が機嫌悪いなんていつもの事だしね!

もう年なんだし、ゆっくり噛んで食べたほうが身体にいいと思うけど、それを今言うとまた怒られるんだろうなとも思う。

何度も言うけど、私、空気の読める子なんです!


さて、ご飯食べたら言いつけ通り、森に薬草採取に出掛けますか!




師匠があんまりしゃべらなかった…。

ノリと勢いで書いてます。スイマセン。

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