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04,何が作者に起こったか?

「どういうことなんだろうね?」

 いろいろ想像できるが、答えは決められない。浩樹は大介の考えを聞きたかった。

 いろいろ想像できるのは、

 そもそも更新が止まってしまってから大介とあれこれ考えた。


 作者に何かあって……、病気をしたとか、怪我をしたとかで、書けなくなった。


 解決が思いつかずに書くのを諦めてしまった。


 大まかに言ってこの二通りだろう。

 事情があって書けなくなったのなら残念だし、作者にも気の毒に思う。

 でも、自分の作った問題を自分で解けないで放り出してしまったのならがっかりだ。

 どちらも同じくらいの可能性で考えられたが、作品のファンであった浩樹は是非一つ目の事情であってほしいと思う。

 でも大介は当時から二つ目の事情を疑っていた。

「だってさー、合理的な犯人なんて分からねえもん」

 と、さんざんホラー映画を見てホラー小説やホラーマンガを読んでいるマニアの大介は、真相と真犯人を自分の知識の中の様々なパターンから推理したが、どれも納得のいく答えには至らなかった。この時浩樹は大介の豊富なホラーの知識に驚かされたものだ。

 大介は自分の知識で分からない設問に、

「答えなんかねえじゃん」

 と、プンプン憤慨した。そんなに本気になって素人の書いたネット小説の謎を考えている姿に笑ってしまったが、「無形人間」にはそれだけのリアルな力があった。この時は浩樹もまだ「最終章」の再開に大いに期待を残していたのだが………。

 大介が疑うのももっともなのだ。

 「無形人間」には作者自ら


「事件の最後には驚愕の結論があなたを待っているはずです。」


 と、思わせぶりたっぷりにアナウンスしている。

 そう自信満々に言うだけあって事件の様相は不可解だ。

 状況的に限定された中で、犯人もある程度の範囲に限定され、なおかつ犯行は人間業とは思えない凄まじいもので、登場人物と犯人像が結びつかないのだ。

 催眠術による「火事場の馬鹿力」にも言及されているが、「大男のプロレスラーでもなければ絶対に無理」と肉体的に限定し、誰かの安っぽいB級作品のように「催眠術師自身がモンスター」みたいなくだらない真相はこの作品に限ってあり得ない。警察の捜査のリアルな描写と共に、法医学的にも具体的な言及がされて、犯行は「あり得ない」ものなのだ。これが実は「人外のモンスターの仕業です」なんて事になったら抗議の感想が殺到したことだろう。


「どういうことなんだろうね?」

 という浩樹の質問に、大介は、


「面白いことになったよな?」


 と、ニヤリと笑った。

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