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25,「コンパスの支点と円」
「コンパスの支点と円」 作者:リュウ・ライター
コンパスで描いた円には中心に紙に針を突き刺した穴がある。
正確な円を描くために欠くことの出来ない大事な支点なのに、描かれた円とその中心の点は永遠に交わることはない。
円周の線上に存在する無数の点たちは等距離で中心の支点を眺めながら、自分たちが足蹴にした彼を笑って眺めている。
彼らは仲良くサークルを組んで、点を取り囲み、笑い物にする。
彼らは一つの意志を共有し、空間を電波で結び、テレパシーを有する。
テレパシーで結ばれたきれいなサークルは、
いったん
中心の支点がテレパシーをキャッチしてしまえば、
円周の線は乱れて、
切れて、
全ての点が支点である「穴」に頼って1本の線になる。
「穴」は知ってしまった。
自分を取り囲んで笑い物にしていた者たちの存在を。
「穴」は1本の線に連なった者たちを順番にたぐり寄せる。
まず1番近い点を。
そうだよ、おまえのことだよ。
今夜おまえのところに行くからな。
なーんちゃって。
(笑)
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